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新城幸也が最も信頼を寄せるギア、 シマノ・S-PHYRE RC903シューズ

ロードレーサーにとって最も大切なギアとは何か? 世界の舞台で戦い続ける新城幸也は、迷うことなく「シューズ」と答えた。その彼が今シーズン「今までのシューズの中で最も気に入っている」と太鼓判を押すのがシマノの最上位ロードシューズ、S-PHYRE(エスファイア)のRC903。旧モデルのRC902との違い、RC903の最も優れていると感じる部分を聞いた。

“クリートの位置が同じ人”は、一人としていない。

2022年シーズン、RC903のプロトタイプを使用していた新城。かかとの色が製品版とは違うことがわかる

「ロードレーサーにとって最も大切なギアは?」と言うと、ある人は「バイク」と言うかもしれない。だが、新城幸也はきっぱりと「シューズです」と答えた。

新城幸也(以下、新城):自転車は、ある程度自分のサイズと合っていたら誰の物でも乗れます。でもシューズ、特にサイズに加えてクリートの位置がまったく同じという人はまずいない。だからロードレーサーとしてのギアを考えた場合、最もシューズにはこだわりたいし、大切なギアですね。

自転車に乗った体勢で使うものだから、乗った状態で履く

ライド時に最大のパフォーマンスを得るために重要な締め具合。BOAフィットシステムは「自転車に乗った状態で締める」という新城

編集部:RC903は通常履くスニーカーと同じサイズを選んでいますか?

新城:はい。まったく同じサイズで40ハーフを使っています。

編集部:どんな姿勢でシューズを履いていますか?

新城:シューズは立ったり座ったりした状態で普通に履きますが、アッパーを締めるBOAフィットシステムのダイヤルは、自転車に乗ってペダリングした状態で締めます。締め具合はかなり締め付ける感じです。

編集部:ロードレースやTTでは、シューズの締め具合を変えていますか?

新城:いえ、まったく同じです。TTだからと強めに締めると、足に痺れが起こったりしますから。

編集部: 最新のRC903も前作RC902と同様にBOAのダイヤルは2つありますが、どちらから締めますか?

新城:どっちからなんてことはありません。どちらから締めても、常に同じフィーリングが得られるので、新作はこんな点も「ラクになった」と思える部分です。

歴代RC9を履き続ける新城幸也に聞く「その違い」

ここ数年シューズはS-PHYRE RC9を履き続けている新城幸也。(左)RC 902T、(中央)RC903のプロトタイプ(右)RC 902。RC903はRC902と似たルックスだが、素材や構造も改良することでさらに進化している

編集部:昨シーズンはRC902を使われていたと思いますが、同じLi2というモデルを使うBOAフィットシステム搭載のRC903の使い心地は違いますか?

新城:まったく違います。昨シーズン当初はRC902を使っていて、今のRC903と同じようにBOAのダイヤル2つで締め具合を調整していました。これは自分の印象なのですが、2つのダイヤルでの締め具合が同じようになる位置を探すのがRC902では少し難しかったんです。それでシーズン途中からはRC902T(トラック用モデルでBOAダイヤルは1つ)を使っていました。そしてその後RC903のプロトモデルを履きましたが、BOAのダイヤルは前作RC902と同じ2つなのに、2つのダイヤルで締めたときにシューズ全体を同じように締められるようになったと感じました。

乾燥時は軽くても、乾きにくいシューズは重く感じる。RC903は通気性もよくて乾きも早いので、非常に軽く感じるという

編集部:アッパーは軽くて通気性のより高いマイクロファイバーレザーに変更するなど細かく変更されましたが、見た目にはRC902からRC903では大きな進化はないように思えます。履いてみた違いはどうですか?

新城:履き心地は驚くほど違いました。そして確かに涼しく感じますね。もしかしたら、この素材変更がよりフィット感を高める要素にもなっているのかもしれません。また、この素材になってからシューズが軽く感じます。シューズは、自転車に乗っているときにかなりの汗を吸い込んでいると思いますが、RC903は通気性が良くて乾きも早いからか軽い! どれだけ軽いシューズであっても、シューズの中に水分を残してしまっては重く感じるし、フィット感も変わってしまうと思いますから。とにかく、RC903はシューズ全体のちょうどいい締め具合が素早くできるのが最高ですね!

レースガイドを変えたことで「締め具合」がより調整しやすくなった

前作RC902に搭載されていた、BOAのレースを通す樹脂製の“パワーゾーンガイド”。レースガイドへのレースの通し方を変えることで締め付け感を変化させてホールド感を高める機能をもっていたが、RC903では省略されている。

レースを通す部分はよりシンプルかつロープロファイルとなり、より軽量化に貢献。新城が「ちょうどいい締め具合が素早くできる」と感じたのは、このガイド変更とアッパー素材の変更が大きく影響しているのかもしれない。

ちょうどいいアッパーの締め具合が簡単に!

引き脚を強く意識しているという新城は、ペダリング時にどこにも空いている箇所がないように、足全体に隙間なくぴったりとフィットさせているという

編集部:レーサーにとって、シューズのアッパーのちょうどいい締め具合というのは、かなりシビアな調整を必要とするのでしょうか?

新城:特に自分は引き脚を強く意識してペダルを踏むので、足はシューズにぴったりフィットしてくれないとイヤなんです。ぴったりフィットしていないと、引き脚のときにシューズがブレることでロスが生まれてパワーが100%伝わらない。逆に、ペダルを踏むときはそれほどフィットしていなくても問題ないんですが……。

シマノ製シューズは、BOAのダイヤルの1クリックの細かさもちょうどよく設定されていて、「もう少しキツめにしたいな……」というときも、1クリックで締め過ぎないのがいい。

RC901のIP1から、RC902以降はLi2ダイヤルに進化

RC902から採用されているLi2ダイヤルは、BOAフィットシステム L-シリーズの最新ダイヤルだ。より薄型になり耐衝撃性も向上している

BOAフィットシステムのダイヤルは、RC901ではIP1というモデル、RC902からはLi2というモデルが使われており、ともにダイヤルを上に引き上げて締め具合を緩められるうえ、逆回転させることで少しずつ緩めることが可能になっている。

ただしIP1からLi2の違いは、ダイヤルを回したときの精密感が上がり、ダイヤル自体のフィーリングもさらに良くなっているという。

編集部:最後に、シューズにBOAフィットシステムが搭載されている利点は?

新城:2010年からBOA搭載のシューズを履いていますが、今のシマノ製シューズはダイヤルを引き上げることで一気にリリース可能なので、脱ぐのも早く行えます。レース後はとにかく早く足を締め付けから解放したいのでこれはうれしい。また、逆回転による“少しだけ緩める操作”も可能で、1クリックで緩み過ぎないのもいい。他にはアッパーの革の長さや素材、レースの長さもじつによく考えられていて、カスタムする部分などないほど今回のRC903の完成度は高いと感じます。

そしてBOAフィットシステム搭載のシューズは、自転車に乗っているときのフィット感の調整が抜群にラクで、ひもやベルクロで締めるタイプのシューズを履く他の選手が信じられないくらいです。

BOAフィットシステムが目指すもの

 

RC903のみならず、多くのパフォーマンス製品に搭載されているBOAフィットシステムは、かつての「単に脱ぎ履きが簡単」という領域から、「パフォーマンスのためのフィットソリューション」という方向へと進化を続けている。

2001年にスノーボードブーツに採用され市場に登場して以来、サイクリング、ゴルフ、ランニング、卓球やバドミントンなどのコートスポーツ、そして医療器具まで、あらゆる分野で採用されるようになった。BOAが目指すのはアスリートが最高のパフォーマンスを発揮するためにギアとの精密なフィットにダイヤルド・イン(仕上げる)すること。

20年以上に渡りあらゆるカテゴリーでグローバルブランドと協業し、研究・開発を重ねてきたBOAフィットシステムは、単なる締め付けパーツではなく、シューズの持つ機能性を適正に引き出すためのフィットソリューションへと進化した。世界レベルで戦う新城幸也も信頼するハイエンドシューズに採用されているのも納得だ。

S-PHYRE RC9
(SH-RC903)

希望小売価格:5万4550円(税込)
重量:225g(サイズ42)
サイズ:スタンダード>3637 47(ハーフサイズあり)、48
ワイド>3637 47(ハーフサイズあり)、48
カラー:ホワイト、ブルー、ブラック
BOAフィットシステム:Li2ダイヤル+CS1レース
クリートタイプ:SPD-SL
ラストタイプ:シマノ ダイナラスト
剛性指数:12

加速時にはさまざまな方向へ力が加わる甲まわりのアッパーは剛性を高め、ねじれを抑えることで足とシューズの一体感を確保。ジャストフィットしたシューズは最適化されたサポート力で瞬間的な加速運動へも追従してくれる
ソールとアッパーを一体化させ、軽量化とスタックハイト(ソールとペダル軸の距離)を低減。スタックハイトを低く設定することでよりペダリング効率はアップし、ペダルストロークも安定する

 

シマノ バイシクルコンポーネンツ 製品サイト https://bike.shimano.com
BOAフィットシステムに関するお問い合わせ BOAFit.com

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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