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ヴィンテージフレームをグラベルバイク化|グラベルバイクの作り方

自由なグラベルの世界は新旧織り交ぜたカスタムもアリ。編集部ニシヤマが最近はまっているヴィンテージグラベル作りを披露!

オールドフレームのダート化という活用法

巷ではオールドМTBがひそかなブームになっている。そんな流れを受けて、ちょっと古い自転車をダートバイクに仕上げて、グラベルライドやバイクパッキングに活用して楽しむ。これはなかなかにおもしろい。
登場したのは、70年代ランドナー時代の鉄フレームだが、こんなランドナー時代のものや、古い鉄ロードフレームなども、アレンジ次第でグラベルバイクになる。
ポイントは、時代考証とか無視して、手持ちのパーツをフル活用して自由に作ること。1×化やフレアハンドル、チューブレスのセミブロックタイヤなど、いまどきな仕様を盛り込んで、それっぽく仕上げる。
ジャンクな自転車をダート仕様にするという、原始的な自転車カスタムだ。ビーチクルーザーでクランカーを作った、MTBのフロンティア時代に戻ったような高揚感がある。
グラベルを走ってみると、たしかにブレーキがプアとか不便は多少あるにしろ、普通に走破できる。ふだん乗りにも常用しつつ、近所の河原グラベルを楽しむなら、油圧ディスクブレーキや12スピードでなくても十分。むしろこんなボロのほうが気分だ。

サルベージされた70年代の片倉シルク

70年代前半の片倉シルク製だ。ランドナーが隆盛だった時代の、どちらかというとロードマン的な位置づけの27インチのフレームだ。ボロサビだったものを塗り替えて再生。廉価なモデルながら日本製らしく作りはていねい。

片倉シルク号スポルティーフフレーム
シルク号らしい、ユーテクのロウ材を使ったラグレスフレーム
ヘッドマークはレプリカシール
70年代初期のロゴ。時代は巡って今どきにも見える

before

入手したときは、こんな感じのボロボロバラバラ状態だった
元のモデルと思しきカタログ写真からグリーンカラーを選択。剥離して凹みを直して再塗装

27インチを650Bにインチダウン

700CのWOがメジャーじゃない時代のフレームで、27×1・1/4ホイール仕様。700Cでも32Cくらいの太めのタイヤが入る感じだ。さらに650Bにインチダウンして、より太い38Cのセミブロックタイヤを入れたい。

700C と650B。フレームに入れ比較。650Bでは太いタイヤが収まるクリアランスが生まれる

ラージアーチでブレーキシューが届くように

問題はブレーキだ。ラージアーチのブレーキを使ってシューがリム面に当たるようにする。リアはそれでも数㎜足らず小径車のカスタムなどで使われるオフセットしたシューを導入。許せるレベルの制動力を発揮できるように。

ギザプロダクツ・SR-CNC1オフセットブレーキシュー。リーチを伸ばせる秘密兵器

ダブルピポッドの元祖ワインマン・ダイナミック。軽く引けるようバネを自作

定番グラベルタイヤをチューブレスレディー運用

走破性ポイントとなるタイヤまわりは最新に。ベロシティー・A23リムはチューブレスレディ対応。グラベルタイヤの定番、マキシス・ランブラー 27.5×1.50(38C相当)をシーラントを使ってチューブレスで運用。

マキシス・ランブラー 27.5×1.50

グラベルに特化したモデル。中央部トレッドが密で舗装路でも転がりが軽い。シーラントは、ケブラー繊維入りのフィニッシュライン・ファイバーリンクチューブレスタイヤシーラントを使用。
問:マルイ https://maxxis.jp

ちょい古サルサのフレアハンドル

フレアハンドルをいち早く作っていたサルサのウッドチッパーズバーを導入。ラインアップのなかでも元祖で過激な超末広がりフレアだ。ダートでダウンチューブシフターは辛いので手元変速化できるレトロシフトを導入。ダウンチューブ用をこれにつけて手元シフターとする。

ギブネールになる前の、シルバーカラーのレトロシフトを装着。アイデアは秀逸でグラベル愛用者は多い

手持ちのスレッドステムに合わせるために、クランプ径25.4㎜時代の古いウッドチッパーを、けっこう探した

バイオペース38Tでフロントシングル化

フロントはシングル。黒いシマノ・デオーレLXを剥離してアルミ地化したPCD110クランクに、38Tのインナーリングをインストール。アウターにはチェーン落ちを防げればとチェーンガードを装着した。

ギヤ軽めのグラベルにちょうどいい38Tのリングは、はるか昔の楕円リング、バイオペース。こういう出番がくるとは

最大リア40Tの1×仕様 延長ブラケットで実現

ダートの激坂も行けるリアスプロケット40Tを導入して激軽のギヤ比1以下へ。エンドのリアメカ装着ブラケットへ延長アダプターをかませて、もとは最大スプロケット34T対応のマイクロシフト製、サンエクシードリアメカを40Tでもシフトできるように。

エンドアダプターをエンドに装着。古いエンドに合わせるために削る必要もある

古いフレームのエンド幅に合わせてフリーは7段用。10Sを9枚使ってインデックスしている

完成したバイクがこちら

こんなグラベルアリですか? 私はアリと思います

サドルは、古いサンマルコ。バーテープは、昭和のシャイニーバーテープ。私の年と同じくらいの時間、自転車の半世紀がごちゃまぜになったグラベルバイクが生まれた。自己満足ながら、いい感じに仕上がった。ダートの走りも全然問題なし。河原の季節の移ろいを、これからこのバイクで感じることにする。

最大40Tとサンエクシードのリアメカ。このあたりは今でも売っている部品でここだけ見るとべつに古くない
レトロシフトには、サンエクシードのダウンチューブ用レバーを装着。10段用を9段で使う
セミブロックだけどゴツゴツしたタイヤがつくだけでカッコイイと感じる。SUV流行の影響?

最新号ではグラベルバイクの注目モデルをピックアップ

最新の2023年モデルを一気に公開する大特集。各社の注目モデルが出そろったいま、ロードバイクではビアンキのハイパーバイク「Oltre RC」などエアロ全盛時代の最新モデルをインプレッション。グラベルバイクの注目モデルほか、eバイクの新作も紹介。毎年開催される今年の一台を選ぶ「バイクオブザイヤー」情報も掲載。

BiCYCLE CLUB 2023年1月号
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※この記事はBiCYCLE CLUB[2022年1月号 No.441]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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