冬を走る者だけが味わえる特権|reric
小俣 雄風太
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冬に自転車に乗らない人は一定数いる。冬に自転車に乗る頻度が下がる人は相当数いる。正直なところ、自分もまたその一人かもしれない。いや、「かもしれない」ではなく「その一人である」と言った方が正しい。
冬に走らない理由は「寒いから」?
冬に自転車に乗らない理由をつけるのはカンタンだ。日の出が遅いから、支度に時間がかかるから、荷物が増えるから、グローブがまだ濡れているから、日の入りが早いから、ライトが充電されていないから……でもシンプルに、「寒いから」。これでいいか。
しかし私は知っている。「寒いから」を理由に自転車に乗らない人は、己の無知を公言していることに他ならないことに。それはすなわち、「冬に何を着たらいいか知らないから」と同義なのだということに。
レリックの『ガリビエ ベントブロック ジャケット』を着た今、もうこの言い訳はできなくなる。この一着があれば、むしろ冬に走る理由が生まれるというものだ。
防風と通気、相反するサイクリングジャケットのジレンマ
冬用サイクリングジャケットの設計には途方もない難しさが伴う。単純に暖かいジャケットを作るだけでは全く使い物にならないからだ。激しい運動を伴うサイクリングでは、真冬であってもライダーの体は発汗する。その汗を逃がす設計、つまり通気性と、冷たい風をブロックする防風性、この相反する要素を高いレベルでミックスさせて初めて冬用サイクリングジャケットは実用に足る。
ガリビエ ベントブロック ジャケットはメイン素材に防風生地を採用。腕のところは切り返しのデザインだが全面防風になっており、冷たい風を正面から受けても寒さを感じにくい。防風生地というとシャリシャリのシェル素材がイメージされるが、イタリアのVAGOTEX社のAldebaran生地は伸縮性も良く、着用時の違和感が少ない。
かさばらない軽量ジャージジャケットにカテゴライズできるウェアだが、この防風生地を全面的に採用することで見た目以上の防寒機能を備えている。
一方で、オーバーヒートしないための通気性の確保が問題になるが、こちらは肩のエリアに通気性に富む起毛素材ARTICAを採用することで解決している(写真のグレー起毛部分)。ベンチレーションのスペースとしては決して広くないが、真冬に着用する想定と割り切っての判断は正解だ。上り坂などで暑くなったときにはジッパーをフルオープンにすることで、この肩口から冷気が通り抜けていく感覚があった。ジャージライクなジャケットだから、ジッパーの開け閉めは容易なのもいい。
ディテールにも抜かり無く、ジップの金属が顎に触れるのを防ぐチンガードや、グローブと干渉しにくい薄手のカフス部分、背面のリフレクターや裾のグリッパーなどライドにストレスを感じる部分へのケアがうれしい。
スタイリングとサイズ感
テストライドは外気温5℃のもとで行ったが、インナーにロングスリーブのものを着れば問題なかった。寒がりな方、あるいは冬でも峠を登るライドで長い下りが想定される方はこのジャケットの上からさらにコンパクトな防風ジャケットをプラスすればよいだろう。それはそのまま、平地の厳冬期にも対応できるレイヤリングだ。
とはいえ、いくら基本性能に優れた冬用ジャケットがあっても、スタイリングを犠牲にするならばウインターライドは遠ざかる。前述のようにガリビエ ベントブロック ジャケットは全面防風素材を使用したことで比較的薄手のジャージライクな軽量ジャケットに仕上がっており、着ぶくれとも無縁。ジャストサイズで着ればオーバーサイズの冬用ジャケットに起こりがちなバタつきに悩まされることはなくなるから、スマートなジャケットをこそ正しいサイズ感で着こなしたい。筆者は181cm/64kgの痩せ型で、Lサイズを着用した。
さぁこれで、これからの冬に走らない理由は無くなった。いやむしろ、優れたジャケットを着たいがために走りたくなってくる。冬の頬を刺すピリッと冷たい空気の中を走るウインターライドの気持ちよさは、この季節に走りに出た者だけの特権。帰宅してこのジャケットを脱ぐ瞬間、ライダーは満たされている自分に気づくはずだ。冬のライドは、ちょっと特別なのだ。
製品情報
reric
ガリビエ ベントブロック ジャケット
価格:28,600円(税込)
サイズ:S、M、L、XL、XXL
カラー:ブラック、グレー、ホワイト
問:イノセントデザインワークス
https://reric.jp
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