ガルシアはMTBへ転向、スペイン帰省中の選手も走るメモリアル・マリア・イサベル・クラベーロ
Bicycle Club編集部
- 2022年12月01日
11月27日、マドリード北部のラス・ロサスで、クリテリウムのメモリアル・マリア・イサベル・クラベーロが開催された。シーズンオフに入っている多数のプロ選手やかつてのプロ選手が集まり、シーズンオフのレースを楽しんだ。この日の様子をスペイン在住の對馬由佳理がレポートする。
冬のマドリードを彩るクリテリウム
毎年11月に開催されるメモリアル・マリア・イサベル・クラベーロ。例年どおりマドリードの北部にあるラス・ロサスで開かれるクリテリウムレースで、今年で31回目の開催を迎えた。
じつはこのラス・ロサスは、今年のブエルタ・ア・エスパーニャの最終21ステージでスタート地点となった場所である。この日のクリテリウムの会場と同じ場所に、9月4日のブエルタの最終ステージのサイン台が設置されていた。このラス・ロサスでメモリアル・マリア・イサベル・クラベーロが毎年開催されていることが、ブエルタ・ア・エスパーニャの最終ステージのスタート地点になった背景のひとつと考えてもいいだろう。
そんなメモリアル・マリア・イサベル・クラベーロは、今年も昨年同様に前半と後半で趣向を変える形で開催され、よく晴れた冬の土曜日に自転車を抱えた家族連れが大勢集まった。
前半の主役は子どもたち
この日最初の主役は、自転車に乗る子どもたちとその家族である。具体的には、1周約600メートルのクリテリウムのコースを自転車で走ることが、この日の前半のメインイベントとなる。
8歳から15歳までの子どもたちが年齢別にグループを作り、小さな子どもたちから順番にコースを走る。子どもたちの乗っている自転車はさまざまで、MTBやロードレーサーはもちろん、ママチャリ型の自転車も少なくはない。
じつはこの日、大会側は「今日のイベントは、自転車のレースではありません。だから急がずに、自分のペースで走ってくださいね」と、子どもたちに話していた。レースではないので、自転車に乗った子どもなら誰でも参加可能、というのがこの大会のスタンスである。
子どもたちが走るときには、地元のラス・ロサス警察の白バイが子どもたちを先導すると同時に、現役のプロ選手やかつてのプロ選手が一緒に走って、子どもたちの安全確保をする。今回は、かつてエウスカルテル・エウスカディに所属しブエルタでもステージ優勝したイゴール・アントンや、今年のブエルタ・ア・アストゥリアスで山岳賞を獲得したイザック・カントンが、子どもたちを励ましながら一緒にゴールを目指していた。
日本に縁のあるプラデス兄弟も出走
そしてこの日の後半にマスターズの選手や現役のプロのサイクリスト、そしてかつてプロ選手だったサイクリストが集まり、クリテリウム形式のレースが開催された。
今年もメモリアル・マリア・イサベル・クラベーロには、日本に縁のある選手が出走した。まず、今年後半チーム右京に電撃復帰した後に日本のレースで優勝したベンジャミンと、かつて日本のマトリックス・パワータグに所属していたエドゥアルドのプラデス兄弟が出走した。エデュアルドは、昨年生まれのもうすぐ1歳になる息子さんを、友人たちにお披露目していた。
また、かつて日本のインタープロ・サイクリング・アカデミーとヒンカピー・レオモ・BMCに所属していたパブロ・トーレスも元プロ選手のカテゴリーに出走し、久しぶりのレースの感触を楽しんでいた。ちなみに、現在トーレスは、カハルラル・セグロスRGAのマッサージャーとして活躍中である。
ラストランとなった、キナンのマルコス・ガルシア
この日、マルコス・ガルシアがキナンレーシングチームのジャージで走る最後のレースとなった。家族みんなでレース会場に訪れたガルシアはレース後、日本のファンへ次のようなメッセージを送った。
「この7年間日本でレースを走ることができてとても幸せでした。できれば日本の皆さんの前でラストランを走りたかったのですが、遠く離れたこのスペインでキナンの選手として最後のレースをすることになったのは、個人的にもちょっと残念でしたね。でも、私は日本で7年間レースができたことは本当に幸運だったと思いますし、いつも応援してくださった日本のファンの皆さんには、こころから感謝しています。(日本語で)ありがとう」
また、ガルシアは「来年から、マウンテンバイクの選手に転向します。スペイン国内を中心に、レースに出走する予定です。去年私はマウンテンバイクのウルトラマラソンでスペインチャンピオンになったのですが、今年は日程が日本で私がレースをしている時期と重なってしまい、チャンピオンジャージを守ることができませんでした。ですから、来年は、もう一度マウンテンバイクでスペインチャンピオンになりたいと思っています」と話した。
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