サンツアーのリアメカ、SVXのパンタ部分だけを買う
ニシヤマ
- 2023年02月15日
自転車はスポーツではなくホビーと言い張るいじってなんぼのレストア編集者の手記。
ライドの頻度はさておき、たくさんの変速機を集めては「こんなに持っててどーすんの」と自問自答。今回はSVXのパンタグラフ部のみを入手したというお話。
サンツアーのハンパなパンタ
私はかつて日本にあった変速機メーカー、サンツアーの愛好家だ。私が書いた「旅する自転車の本VОL・3」のサンツアーの記事は「バイシクルクォータリー」で英訳されて世界で読まれているのが自慢だ。
サンツアーのメカといえば、スラントパンタ。パンタグラフが斜めってるやつね。それでシングルテンションのシンプルなメカが、私のサンツアー感としてはいちばんカッコよくて、今使っても性能がいいやつ。
変速系統に工夫してサンツアーを入れるのが、私の自転車カスタムのテーマのひとつだ。こんなことを30年以上もやっていて、いまもネタとして生業にしている。
ヤフオクで600円で入手したSVXというリアメカのパンタ部分だけ。いかにも80年代後半な近未来グラフィックが、今見ると一周してビビッとくる。まあ当時も今のマニアも興味は薄く、あまり話題に上ることのないメカではある。
SVXの先祖となる、サンツアーのVシリーズこそが、世界を席巻した勝利の系統だ。70年代初頭のバイコロジーブームに乗っかって全米で普及した。VからVXに進化した70年代後半くらいがサンツアーがいちばんよかった時代かもしれない。
80年代は、どちらかというと失敗作続きのサンツアー。85年のプラザ合意で円高ドル安になり、1ドルが235円から翌年150円台になって、いよいよ輸出がマズくなってきたときに出てきたのがSVXだ。
円が150円台になって、輸入品が高くなると悲壮感漂っていた昨年の我々とは、対象的な危機感といえる。
シンプルで性能がよかったサンツアー全盛期のVX。基本に立ち返ったSVXは、VXをつるっとさせて化粧直ししただけの、ポップに見た目だけ進化したメカだった。
ということで、SVXにVXのパーツを移植したら、そのまま使えた。ということが言いたかっただけだ。
これまた当時としては不人気メカの80年代初頭のBLからGTケージ(このGTケージは70年代半ばの初代サイクロンからずっと同じ)を移植して、グラベルカスタムバイクに導入した。
話のオチは、手に入れたハンパなパンタを運用したら、ハンパなメカが2つ増えてしまったということである。
※この記事はBiCYCLE CLUB[2023年3月号 No.448]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
SHARE