
体重も生かせる2種類のダンシングとは?|チルクライムのためのテクニック

Bicycle Club編集部
- 2023年03月26日
平地はスイスイ進むのに上りがキツくて苦手! と悩むライダー必見。バイシクルクラブでおなじみのベテランライダー、管 洋介がフォームからペーシングまでわかりやすく解説する!
2つのダンシングは見た目こそ近くても、勾配の変化やリズムを保つために手元で押し引きを細かく使い分けている。どのような場面で使い分けるのかフォームも含めて解説する。
ダンシングも腰を入れるのが大事
上り坂でペダルが重くなって踏めなくなったときに使うイメージがあるダンシング。確かに頑張ってもケイデンス60回転を下回るような高負荷がかかる急勾配のヒルクライムでは、ダンシングで乗り切るのが正解だ。しかしダンシングは瞬間的に大きなパワーを出すだけではなく、低負荷のペダリングでも使えるものなのだ。
低負荷のダンシングは、まず腰をサドルから持ち上げることでリラックスでき、さらにペダルの上に立ち上がって体重をペダリングに生かせる。やや緩めの上りでも、長い道のりを考えて楽をするために、リラックスするためのダンシングを取り入れていくメリットは大きい。
シッティングでは腹圧を高めながら、上半身の重さをクランクに乗せるイメージだったが、ダンシングでも同じ。上腕を軸に上体の角度をコントロールして、体重をペダルに預けるように乗せよう。ハンドルに無駄に乗せていた体重をペダルに乗せられると楽に走れるようになる。
さらにダンシングは、ハンドルの押し引き2種類を勾配の変化に応じて使いわけるのがポイントだ。基本となるフォームのポイントはシッティングのときと同じ要領で、胸の位置で重心位置を整えるという意識が重要だ。
力を使わず乗れる「押すダンシング」
手首を軽くブラケットの内側にかぶせて、肩とハンドルが対極にスライドするよう、ヒジを軽く動かしながら左右に振る。楽に上りたいときに有効なダンシング。
力を使って乗り切る「引くダンシング」
指先をブラケットの下側に回し込んで、ヒジのスナップを利かせハンドルを胸に引き寄せるタイミングで足を落としていく。パワーを出したいときに有効なダンシング。
ダンシングでポイントになるのも胸の向き
上腕を軸に胸を前に向けると、モモを上げたクランクが上死点のときに腰を意識しながらペダルに体重をかけられるようになる。このフォームを意識することで、自然とクランクの上に全体重を乗せることができる。さらに慣れてきてハンドルに頼らずにダンシングできたら、押し引きを使い分け、脚の力をセーブしてペースを作れる。
上腕より胸を前に向けることで腰が入りやすくなる
胸が上がると腰でお腹を前に押し出せ、脚も自然に前に出る。足裏は水平に近くなり体重も乗りやすい。
NG:目線が下に向くと腰が丸まり足先に力が入る
目線が下がると腰が丸まり腹圧が抜け、足先に力が加わる。シッティングと交互にこなすには負荷が高い。
体重をペダルに乗せよう
ヒジのスナップを利かせて脇にハンドルを引きつけるダンシングを習得した。勾配の変化に苦しんでいた表情もすっかり笑顔に!
先生&生徒役はこの人
生徒役
愛あむちゃん
「あむちゃん!」チャンネルでロードバイクやゲーム実況を配信するユーチューバー。日本全国をロードバイクで走っている。イラストレーターやデザイナーとしても活動中。
先生役
管 洋介
転車歴32年、競技歴24年のベテランライダー。20代でスペイン・アフリカ・アジア圏のレースを転戦し、広い世界観で自転車を楽しむ。本誌ではカメラマンやインプレライダーとしても活躍する。
※この記事はBiCYCLE CLUB[2022年3月号 No.442]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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- CREDIT :
- 編集:BiCYCLE CLUB TEXT:管 洋介 PHOTO:猪俣健一
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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