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ジロ・デ・イタリア2023有力選手プレビュー|レムコとログラ2強のマリア・ローザ争い 

2023年のロードレースシーズン最初のグランツールであるジロ・デ・イタリアが56日に開幕する。3週間での総距離3481km、総獲得標高51200mに及ぶ長き戦い。出場全22チームの顔触れが出そろったところで、今大会の活躍が期待される選手たちをチームプレゼンテーション時の様子と合わせて挙げていきたい。

マリア・ローザ争いはTTの走りがカギ レムコとログラが総合力で一歩リード

前回は最終日前日の大逆転で決まった個人総合争い。そこでマリア・ローザを獲得したジャイ・ヒンドレー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)は2連覇がかかっていたが、今回は欠場。もっとも、今年は個人タイムトライアルの比重が高まり、トータル3ステージで合計73.2kmと前回より約50km延伸。これによって、マリア・ローザを目指す選手たちの顔触れもガラリと変わっている。

©️ LaPresse

最大の注目は、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)とプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)の直接対決だ。両者ともこの大会を制したらジロ初制覇ではあるが、これまでの実績や勢いを考えるとマリア・ローザの最右翼であることは間違いない。

現・世界王者のレムコは、シーズンイン段階でジロに照準を定め、レース数を絞ってきた。圧巻だったのは、「ジロ前最終テスト」として臨んだ423日のリエージュ~バストーニュ~リエージュ。最後の約30kmを独走しての勝利は大きなインパクトとなった。ワンデーレースでは独走劇が光るが、昨年はブエルタ・ア・エスパーニャでキャリア初のグランツール制覇を果たし、3週間をトータルで戦うことにも長ける。得意とするタイムトライアルだけでなく、山岳でも他を圧倒することができる。ブエルタ時と同様に、大会第一週からリーダーの座に就くことは問題ないとしており、個人TTステージが2つ設定される前半戦から動き出すことが考えられる。

©️ LaPresse

一方のログリッチは、レムコ以上にレース数を絞ってジロに乗り込む。昨年のツール・ド・フランスで負った肩の怪我の回復を見ながらではあったが、ティレーノ~アドリアティコとボルタ・ア・カタルーニャで連勝。カタルーニャではレムコとの直接対決に勝っている。山岳はほぼ互角とみられるだけに、TTで少しでもレムコに差をつけたいところ。ジャージを手にしてからのキープに集中する走りは右に出る者がいない。気がかりなのは、早くから準備してきたアシスト陣に新型コロナ感染者が続発したこと。メンバーの入れ替わりがチーム力やログリッチの足元を支えるのに影響はあるか。

©️ LaPresse

この2人の力が群を抜いている印象ではあるが、展開次第で他の選手にチャンスが出てくることだってもちろんありうる。そうした中で戦力的に整っているのは、イネオス・グレナディアーズ。2020年のジロ覇者テイオ・ゲイガンハートとゲラント・トーマス(ともにイギリス)の2枚看板を立てる。ゲイガンハートはジロ前哨戦のツアー・オブ・ジ・アルプスで個人総合優勝。トーマスも今大会へ時間をかけて調整をしてきた。Wリーダー体制のメリットを生かしつつ、後半ステージでの勝負をもくろんでいる。

ジャック・ヘイグ(右) Photo: TOTA2023

複数リーダー体制という面では、バーレーン・ヴィクトリアスも強力。一番手はツアー・オブ・ジ・アルプスで個人総合3位にまとめたジャック・ヘイグ(オーストラリア)と見られる。前哨戦ではほぼ毎ステージで攻撃的な走りを見せ、昨年ツールでの手首骨折からの回復をアピール。課題のTTをしのいで、山岳で仕掛けたい。共闘は、リエージュで3位に入ったサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)と直前のツール・ド・ロマンディを個人総合3位で終えたダミアーノ・カルーゾ(イタリア)。山岳ステージでは3人が代わる代わる攻撃してライバルの消耗を誘いたい。

©️ LaPresse

リゴベルト・ウラン(コロンビア)とヒュー・カーシー(イギリス)をそろえるEFエデュケーション・イージーポストも同様に2人のリーダーでレースを組み立てる。やはりカーシーがツアー・オブ・ジ・アルプスで個人総合2位に入っており、調子を上げてきている。

©️ LaPresse

毎年ジロで好走を見せるジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)は、山岳とTTのバランスで勝負。できることならTTでアドバンテージを得て、山岳ではライバルの動きをチェックしながら走れる状況を作りたい。アシストの充実度も高く、Bプランとしてブランドン・マクナルティ(アメリカ)が控えるほか、ツアー・ダウンアンダーで勝ったジェイ・ヴァイン(オーストラリア)らが重責を担う。

©️ LaPresse

前回チャンピオンチームのボーラ・ハンスグローエは、ヒンドレーに代わってアレクサンドル・ウラソフで勝負。山岳・TTとも高いレベルで安定して走れる強さがあり、流れをつかめば上位戦線を盛り上げることも十分。ツアー・オブ・ジ・アルプスでステージ1勝のレナード・ケムナ(ドイツ)も個人総合を意識できるところまで上げてきており、こちらも状況によっては複数リーダー体制になるかもしれない。

©️ LaPresse

今季がキャリア最終シーズンのティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)、ジロ上位常連のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イスラエル・プレミアテック、イタリア)、山岳逃げを得意とするワレン・バルギル(チーム アルケア・サムシック)やエイナウアウグスト・ルビオ(モビスター チーム、コロンビア)あたりも展開が味方すれば個人総合上位の可能性はある。彼らは山岳賞のマリア・アッズーラ狙いにシフトしてもおもしろそうだ。

マリア・チクラミーノ争いは上れるスプリンターが有利

スプリンターの勲章、ポイント賞「マリア・チクラミーノ」争いは上れるスプリンターが有力視される。8つある平坦ステージは、その多くで難易度の高いカテゴリー山岳が置かれており、好位置で山越えができるかも重要なファクターに。消耗をできるだけ減らし、フィニッシュ勝負に持ち込める選手こそがシクラメンカラーのジャージに袖を通す資格を有するといえよう。

©️ LaPresse

その筆頭格はマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)で間違いないだろう。2019年の世界王者は、ピュアスプリンターをも凌駕するスピードと勝負強さで勝利を重ねる。クラシックでも印象的な走りを見せており、かなりの好調が伝えられる。平坦ではスプリント、丘陵では逃げと、あらゆる形でポイントを積み重ねていけるのも強み。チームは新型コロナの影響で総合系ライダーを失っており、ピーダスンの同賞獲得にシフトする方針だ。

©️ LaPresse

同様の脚質では、マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)も挙がってくる。かつてマリア・ローザを着たこともあり、ジロとの相性も良い。ピーダスンと同じようにチームの自由度が高くなりそうで、スプリントに逃げに、チャンスを構築できそうだ。

©️ LaPresse

山のイメージが強いモビスター チームは今回、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)のスプリントを第一目標に据える。もちろんアシストに登坂力のある選手が控え、最終局面でリードアウトができるライダーを数人メンバー入りさせた。ガビリア自身もロマンディで1勝しており、確実に調子を上げてきている。

©️ LaPresse

逃げのイメージが強いマグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)も、ここぞというときのスプリント力は高い。今季前半に活躍したシモーネ・コンソンニ(コフィディス)、ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)のイタリアンスプリンターも地元の後押しを受けて勝ちにいく。スプリント王国のアルペシン・ドゥクーニンクは、ステージレースのスプリントに強いカーデン・グローブス(オーストラリア)を充てる。

©️ LaPresse

パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ、ドイツ)は、総合を狙うチーム事情下でいかにしてチャンスを手にするか。前回大会で1勝しているアルベルト・ダイネーゼ(チーム ディーエスエム)は、昨年の再現で今季初勝利といきたい。

©️ LaPresse

そして、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)の参戦も大きなトピック。これまでスプリント機会の少なかったチームに加わり、シーズンインからリードアウト構築に時間を費やしている。その成果を今大会で示すことができるか。なお、1つ勝てばジロ通算17勝目となる。

ビッグチームで重責担う新城幸也

25歳以下の選手が対象のヤングライダー賞「マリア・ビアンカ」は、マリア・ローザ争いの最前線を走る選手がそのまま袖を通すことになりそう。順当ならば、レムコやアルメイダに渡るものと予想される。

©️ LaPresse

1ステージは19.6kmの個人タイムトライアル。勝って大会最初のマリア・ローザ着用者となるのはTTを得意とする選手で間違いない。レムコやログリッチら総合系ライダーだけでなく、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)やシュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)といったスペシャリストも大会初日の勝利を狙いに行く。

ダミアーノ・カルーゾと並ぶ新城幸也(右) ©️ LaPresse

大会直前に出場が決まった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の走りにも大きな期待がかかる。総合狙いがミッションのチームにあって、上り入口までのポジショニングや平地でのレース構築が主な役割となりそうだ。純白に赤のラインが入った日本チャンピオンジャージがひときわ映えることだろう。チームやエースクラスの上位進出の重要なワンピースになる。

▼ジロ・デ・イタリア2023スタートリスト&コースプレビューはこちら
ジロ・デ・イタリア2023

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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