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妥協なき高みへ挑む、期待の逸材 山本大喜|El PROTAGONISTA

2023年に結成された「JCL TEAM UKYO」。各チームのエース級選手たちが一同にそろった新チーム構想のなかにJCL初代王者の山本大喜(やまもとまさき)も加わった。2月の中東遠征でUCI国際ポイントを獲得する活躍を見せた山本に、プロタゴニスタはフォーカスした。

若くして身を包んだ王者の風格

2021年JCL最終戦の那須塩原クリテリウムでは総合リーダーの証「イエロージャージ」を着た山本の攻撃的な走りに会場は沸いた

2021年10月30日 JCL最終戦那須塩原クリテリウム、スタートラインでひと際締まった表情で佇むのはイエロージャージの山本大喜。第7戦の“カルストベルグ”の山頂決戦で増田成幸を下す劇的勝利を飾って以来、ここまでランキングトップを守ってきた。山本の所属するキナンレーシングチームにとって好調なシーズンであり、第3戦となる広島大会ではレースを席巻し表彰台を独占。以降新城雄大、畑中勇介、そして山本とチーム内でイエロージャージをつないできた。

最終戦は市街地で行われるクリテリウム。強烈にスピードが伸びるホームストレートに対しバックはUターンとテクニカルコーナーが連続するレイアウト。風の流れを味方につければ数名でのエスケープが決まるコースだが、この日のキナンは山本を従えて鉄壁のトレインを形成。彼らが繰り出すハイスピードに、周回を重ねるごとに人数を減らしていく厳しい展開となる。

チームに守られながら隊列の前方を悠々と走る山本の姿はまるで“王者の凱旋”。そしてレース終盤、20名に絞られたプロトンの前方に宇都宮ブリッツェン阿部嵩之、チーム右京相模原の小石祐馬らスピードマンが集まってくると、今度はイエロージャージの山本みずからが先頭に立った。ハンドルに低く頭を埋めた究極のエアロフォームで、高出力のギヤを踏み切る。その強烈なスピードに番手に着く選手たちの顔が一気に歪む。

最終周の鐘が鳴るとスプリンターを従えた各チームの列車が一気に前面に押し寄せる。最終コーナーでラインを奪った孫崎大樹にエスコートされたのはスパークルおおいたの沢田桂太郎。そのままゴールまでの距離を一気に縮める圧巻のスプリントで勝利を飾った。観る者に強烈なインパクトを与えたスピードレースに幕が引かれ、表彰式ではイエロージャージを着た山本大喜が大きく手を上げた。新リーグの初代王者となった25歳の若きスターの誕生は、日本のロードレース界に新時代を感じさせた。

中途半端になるのが一番嫌い、力の真っ向勝負がしたい

特徴的な低い姿勢、スピードにこだわりバイクと一体化したエアロフォームは非常に戦闘的だ

トップにこだわる性格の原点

「自分が一番でありたいという気持ちは幼少期から抱いていました」。小学生時代はガキ大将で、時に力づくで上に立つこともあったが、同時に居続ける難しさも知った。「クラスとはいえひとつの社会、自分がやりたいようにするためにはみんなの見本になっていかないといけない」。兄の影響でハンドボールをはじめるようになるとその気持ちはより深みを増した。「スポーツの世界では『力が一番強いこと』がまず重要。エースとは、強いうえにまわりを引っ張っていける存在であるべき」と山本は子どもながらに思った。

中学生になり、本格的な試合がはじまると率先してチームの先頭に立ち、試合に勝つためにメンバーをまとめあげた。山本の評判は高く「ライバルチームにアイツがいたら厄介だなと思わせながらも、いつの間にか彼らからも応援されるような存在」になる。これはプロロードレーサーとして生きる現在の彼にも重なる特徴だ。「僕は中途半端になるのが一番嫌いなんです。だましあうような駆け引きをするより、力の真っ向勝負がしたい。無理やったらどうしよう……という考えはないです」。

全力で試合にぶつかり、敗北しても悔しさの先にもっと強くなれるという前向きな姿勢はまわりをも感化させてきた。そしてハンドボール部が引退を迎えると彼の次の情熱は自転車に向けられた。「4つ上の兄(山本元喜)がロードレースで高校日本一になるのを見ていましたし、兄のやることを真似して生きてきましたから」。自転車の名門、榛生昇陽高校の練習に混ぜてもらう機会を得て自転車競技を始めたのは中学3年の夏だった。

大切な言葉と信念を胸に、世界という高みへと挑戦する!

中東遠征ではTour of Omanにも参戦。小石祐馬と山本の2人でUCIポイントも稼ぐ活躍をした

なにげない一言で変わっていく人生

「高校時代スプリントではチームメートの誰にも勝てませんでした」。自転車競技への転向で大きな壁となったのが競争種目ならではの身体特性だった。「周りを天才だと思うことで、自分には誰よりもキツイことを課さないと彼らには勝てないと思うようになりました」。

トレーニングを辞めたら絶対に彼らを越えられないという気持ちは、次第に彼の体を強くしていった。いっぽう大学生となった兄はツール・ド・北海道でステージ優勝する快挙を成し遂げるなど、先を行く存在として大きくなっていた。「自分は力づくで勝とうとするのに対して、兄は勝つためにいろいろ考えるタイプ。まねができない兄の走りを前に、競技を続けることに葛藤しました」。しかし、なにげない言葉が山本を導くこととなる。

高校3年となったある日。「大喜、今年は部にインターハイ優勝をプレゼントしてくれよ」と顧問の先生らがふと気持ちを漏らした。その一言に「高校最後の年に、なぜこれだけ競技のために尽くしてきてくれた方への恩返しを考えていなかったのだろう?」と我に返った。今までになかったモチベーションを得た山本は、高校生活最後の1年をペダルに賭けた。「長く厳しい展開に持ち込めば、スプリント力がある相手にも打ち勝てる」と信じて試合に挑み、その結果も変わってきた。

2013年7月、大分県で行われたインターハイロードレースが彼の運命を変える。レースは現在もトッププロとして活躍する石上優大、岡本 隼、小山貴大、草場啓吾、黒枝咲哉らと互いの脚を削りあう展開で進んだ。ここに鍛え上げた自脚の強さを発揮した山本は、最後は小山を相手にスパートを仕掛け先行、ゴールで大きく手を突き上げた。そしてその強さをさらに印象付けたのは同年10月東京の奥多摩で行われた国体ロードレース。序盤に飛び出したのは仲村顕登に対し、山本は山岳区間で集団を振り切り単独で合流。そして20㎞の独走で勝利を手にした。

ライバルを寄せ付けない強さを見込まれた山本は鹿屋体育大学に入学、兄とはじめて同じ舞台に立った。ところが、大学初年度は自身の期待と裏腹に好成績を残すことはなかった。悶々と過ごしていたある日、当時4年生の先輩であった石橋 学から「何しにここにきたの?」と聞ねられた。「『なぜここに居るんだ?』。と、この言葉が自分を見直すきっかけになりました」。

その後、山本がU23日本代表として海外を転戦していく頃に出会ったのが、日本のハンドボール界を牽引してきた宮崎大輔氏。「宮崎さんは中学時代に真剣に取り組んでいた競技のパイオニア。当時世界へ向かう自分に『妥協は誰でもできる』という言葉を授けていただきました」。縁ある人々から受けた言葉と信念を胸に、ペダルに打ち込む日々。成績は再び向上し、やがてキナンレーシングチームに入団。U23最終年の2018年はアジア選手権U23ロードレース、全日本選手権タイムトライアルU23で優勝しビッグタイトルを手中にした。

機は熟した、世界への挑戦が始まる

2020年のコロナパンデミックは多くの選手からレースの機会を奪い、山本もまたその影響で気持ちが大きく揺らいだ。2021年、今シーズンこそは気持ちを新たにと思っていた矢先「今年のTOJの富士山ステージ、狙ってみないか」と石田監督からオファーを受けた。3日間に短縮されたTOJ、そして最もタイム差が開くステージ、監督の意図を汲み取った山本はこのレースをターゲットにシーズン前から集中した。そして本番では増田成幸、トマ・ルバに続き表彰台に上り、総合成績も3位で終える成果を残した。

自信が付いた登坂力は大きな武器となり、冒頭でつづったJCL第7戦の秋吉台カルストロードレースの勝利でリーグ総合優勝も手にした。しかし、好調のまま挑んだ10月の全日本選手権では最終局面で周りを見すぎて4位と惜敗。「スプリントでは勝てないとわかっていながら全力でアタックをかけられなかった。自分らしくないレースは二度としたくない」と心に誓った。

2022年の秋吉台ロードレースでは兄弟でポディウムにも上がった

2023年2月、山本はシーズン開幕をサウジアラビアで迎えていた。この年発足したJCLの海外遠征プロジェクト“JCL TEAM UKYO”に参画し、UAEやモビスターらワールドツアーチームが戦うサウジ・ツアーに参戦。経験したことのないトップスピードに加え、突風で砂が巻き上がる厳しい洗礼……。しかし全力を尽くして戦うレースにその目は輝いた。

「今、こんな高いレベルで揉まれている。僕はもっと強くなれる!」

第3ステージでは4人のエスケープに追いつき120㎞を逃げる好走を見せ、8分差をつけた中盤では総合時間でバーチャルリーダーをも経験した。

驚きのスピードで進化を遂げる山本大喜から目が離せない!

ライダープロフィール

JCL TEAM UKYO 山本大喜

PERSONAL DATA

生年月日:1996年1月8日
身長・体重:171cm 63㎏

HISTORY

2011-2013/榛生昇陽高校自転車競技部
2014-2017/鹿屋体育大学自転車競技部
2018-2022/キナンレーシングチーム
2023/JCL TEAM UKYO

RESULT

2018年/アジア選手権ロードU23優勝、全日本選手権TT U23優勝
2020年/Jプロツアー第8戦 西日本ロードクラシック広島大会 優勝
2021年/ツアー・オブ・ジャパン総合3位、JCL 第7戦 秋吉台カルストロードレース優勝、おおいたアーバンクラシック2位、全日本選手権TT 2位、JCL年間個人総合優勝
2022年/全日本選手権ロード3位、ツアー・オブ・ジャパン総合8 位、
ツール・ド・熊野山岳賞、総合6位、ツール・ド・北海道区間 3位、Jプロツアー第9戦 石川サイクルロードレース 優勝

REPORTER/管 洋介
海外レースで戦績を積み、現在はJエリートツアーチーム、アヴェントゥーラサイクリングを主宰する、プロライダー&フォトグラファー。本誌インプレライダーとしても活躍

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管洋介

Bicycle Club / 輪界屈指のナイスガイ

管洋介

アジア、アフリカ、スペインなど多くのレースを走ってきたベテランレーサー。アヴェントゥーラサイクリングの選手兼監督を務める傍ら、インプレやカメラマン、スクールコーチなどもこなす。

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