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雨のスプリントでグローブスが勝利! 落車でレムコは右脚を負傷|ジロ・デ・イタリア

ジロ・デ・イタリア2023の第5ステージが現地5月10日に行われ、終始降り続いた雨の中でレースが進行。スプリントフィニッシュをカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア)がモノにし、ジロ初勝利を挙げた。この日はクラッシュが相次ぎ、世界王者のレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)も2度地面に叩きつけられてしまった。マリア・ローザを着るアンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)も終盤に落車したが、後に集団復帰してジャージを守っている。

クラッシュ多発の大混乱、2回落車のレムコはレース継続に慎重な姿勢

前日に続く雨となった第5ステージ。イタリア南部を走る1日は、前半から中盤にかけて細かなアップダウンが連続。これを抜けると、最後の50kmは下りと平坦基調に変わる。フィニッシュ地サレルノに向かっては、フィニッシュまでの7kmがほぼ一直線。西海岸のティレニア海を見ながら最終局面を迎える。レース距離は171km。

3選手が未出走となり、レースは172人でスタート。強い雨を縫ってマルティン・マルチェルージ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)、サムエーレ・ゾッカラート(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)、ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)、ステファノ・ガンディン(チーム コラテック・セッレイタリア、イタリア)が飛び出すと、集団は彼らを容認。直後にトマ・シャンピオン(コフィディス、フランス)が追いつき、5人逃げとなる。

しかし、逃げが決まって早々にマルチェルージとガンディンが右コーナーでタイヤを滑らせ落車。ガンディンは先頭に戻ったが、マルチェルージは逃げをあきらめて集団に下がっている。また、ピノは11.6km地点に設定された3級山岳を1位通過したのち、こちらも集団へ。逃げを継続するのは3人に。

これ以降、濡れた路面がプロトンの各所に混乱を引き起こし、スタートから20km進んだところではレムコが落車。道路に飛び出した犬をチームメートが避けきれず、そのあおりを受けてバランスを崩してしまった。コース脇でしばらく座り込んだレムコだったが、チームメートに抱えられながらバイクに再乗車。アシストに引かれながら集団へ戻る間には、テレビカメラに向かってサムズアップで問題ないことをアピールしている。

©️ LaPresse

逃げの3人は集団に対して2~3分ほどのリードで先行を続ける。65.3km地点に設けられた1回目の中間スプリントポイントはガンディンが1位通過。ほどなくしてメイン集団もやってきて、ここはマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)が先着し、全体の4位通過としている。

©️ LaPresse

濃い霧が立ち込める標高900m付近を走り、レースは後半戦へ。113.9km地点の3級山岳ポイントはゾッカラートが一番に通過。平地に入って、145.3km地点に設定された2回目の中間スプリントポイントは、ガンディンが真っ先に駆け抜けている。

ここまで来るとメイン集団も本格的に追走を始めており、前の3人との差は約1分台まで近づく。こうした流れの中、残り25kmでゾッカラートがアタック。独走で粘りを見せるが、集団が迫る一方。変速に異変をきたしながらの走りで、しきりにシフトを気にする様子も見られる。残り9kmでリードは25秒まで減った。

逃げ吸収が秒読みの集団では、トレック・セガフレードやスーダル・クイックステップ、アルペシン・ドゥクーニンクなどがトレインを組んで前方を固める。新城幸也もバーレーン・ヴィクトリアスのチームメートを引き上げてスプリントに備える。

©️ LaPresse

最終盤へ機運が高まる中、ビッグトラブルが集団に発生。海岸線へ出る残り7kmの右コーナーで、集団前方を走る選手が落車。これをきっかけに後続選手が次々とタイヤを滑らせて地面に叩きつけられてしまう。これで大多数の選手が足止めを食い、集団は崩壊。プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)は、チームメートのクーン・ボウマン(ユンボ・ヴィスマ)のバイクを借りて前を追いかけ、マリア・ローザのレックネスンも集団復帰を目指す。ステージ優勝候補のフェルナンド・ガビリア(モビスター チーム、コロンビア)も転倒し、勝負をあきらめざるを得なくなった。

前線で生き残った選手たちはゾッカラートを捕まえつつ、そのままのペースで走り続けるが、大人数の後続グループが勢いで上回り、残り4.5kmで再合流。主要ライダーがほぼ全員前線復帰をして、最後の3kmへ。

ところが、またもクラッシュが発生。フィニッシュまで2.3kmのところで、走行ラインを変えようとしたレムコが他選手と接触し、この日2回目の落車。これにも多くの選手が巻き込まれ、先頭には35人ほどしか残らない状況に。

そのままスプリント態勢に入った前の選手たちは、チーム ジェイコ・アルウラーやアルペシン・ドゥクーニンクが中心となって最終局面へ。迎えた最後の200mでグローブスがスプリントを開始すると、ポイント賞のマリア・チクラミーノを着るジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)が反応。さらにはマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)らが続く。それでもグローブスは抜群の加速でライバルを突き放すと、トップのままフィニッシュラインを通過し勝利を喜んだ。

©️ LaPresse

24歳のグローブスは、これがジロ初勝利。スピードマンがひしめくアルペシン・ドゥクーニンクにあって、ステージレースでのスプリント勝利が際立っている。昨年はブエルタ・ア・エスパーニャでグランツール初勝利を挙げ、今季は3月のボルタ・ア・カタルーニャで2勝。4月にも勝ち星を手にしており、好調のまま今大会を迎えていた。日本にもゆかりがあり、2018年にはツール・ド・熊野に出場。プロローグでステージ2位に入っている。

グローブスと競ったミランが2位、ピーダスンが3位となった。その後ろでは、加速しかけて白線でタイヤを滑らせたカヴェンディッシュに、横からアルベルト・ダイネーゼ(チーム ディーエスエム、イタリア)が接触。これでバランスを崩したカヴェンディッシュは、フィリッポ・フィオレッリ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)と当たったのちに落車。滑った状態でフィニッシュラインを通過したが、避けきれなかった数人が巻き込まれてしまった。

©️ LaPresse

これにより、4番目にフィニッシュラインを通過していたダイネーゼが斜行により集団最後尾の34位に降着。カヴェンディッシュが4位に繰り上がっている。巻き込まれた選手のうち、フィオレッリはフェンスにぶつかった際に手を裂傷。バリアに激しく突っ込んだアンドレア・ヴェンドラーメ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、イタリア)は救急搬送され、肩の縫合を受けている。

しばらくしてフィニッシュへとやってきたエヴェネプールは、最終3km以内でのトラブルにより救済措置が適用。トップと同タイム扱いとなった。ただ影響は小さくなく、右脚の筋損傷と仙骨を傷めていることをチームが発表。第6ステージへの出走は翌朝の様子を見て決めるとしている。

個人総合上位陣では、10位でスタートしたジェイ・ヴァイン(UAEチームエミレーツ、オーストラリア)が21位までランクダウンした以外は順位を維持。なお、新城は106位でステージを完了。こちらもトップと同タイム扱いとなっている。

11日に行われる第6ステージは、ナポリを発着点とする162kmの平坦コース。このステージでの落車した選手たちがスタートラインにつけるかどうかが気になるところだ。

ステージ優勝 カーデン・グローブス コメント

©️ LaPresse

「残り7kmで落車してしまったが、目の前の状況にフロントブレーキを引きすぎたのが原因だと思う。少しパニック状態だった。リードアウトマンのアレックス・クリーガーとともに何とか残り3kmで先頭に戻ることができた。最後の1kmはチーム ディーエスエムの選手の後ろに位置していて、長めのスプリントを強いられた。それでも勝つことができたのは、私にとってもチームにとっても大きな意味を持つだろう。チームとしてジロを目標にしてきた甲斐があった」

個人総合時間賞、ヤングライダー賞 アンドレアス・レックネスン コメント

©️ LaPresse

「最後の7kmは何が起きたのか正確には分からない。たくさんの選手が地面にいた。とにかくリスクを減らさないといけないと思ったし、幸運にも総合系ライダーとスプリンターチームが近くにいたおかげで集団復帰することができた。昨夜はマリア・ローザの感動で眠れなかった。たくさんのメッセージや反響で、このジャージがどれだけ大きな意味を持つか再認識した。今日は特別な1日だったし、天気が悪い中でもできる限りジャージを楽しんだ。マリア・ローザでスタートラインについたことは、一生忘れないだろう」

ジロ・デ・イタリア2023 第5ステージ結果

ステージ結果

1 カーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク、オーストラリア) 4:30’19”
2 ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)ST
3 マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)
4 マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)
5 ニコラス・ダッラヴァッレ(チーム コラテック・セッレイタリア、イタリア)
6 ミルコ・マエストリ(エオーロ・コメタ、イタリア)
7 フィリッポ・フィオレッリ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)
8 アンドレア・ヴェンドラーメ(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、イタリア)
9 マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)
10 ニッコロ・ボニファツィオ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ、イタリア)
106 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)

個人総合時間賞(マリア・ローザ)

1 アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー) 19:06’03”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’28”
3 オレリアン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)+0’30”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+1’00”
5 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+1’12”
6 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’26”
7 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)ST
8 トムス・スクインシュ(トレック・セガフレード、ラトビア)+1’29”
9 テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’30”
10 ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ、イタリア)+1’39”
151 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+42’59”

ポイント賞(マリア・チクラミーノ)

ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)

山岳賞(マリア・アッズーラ)

ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)

ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)

アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 57:21’58”

▼ジロ・デ・イタリア2023スタートリスト&コースプレビューはこちら
ジロ・デ・イタリア2023

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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