積雪と悪天候でコースが2度も短縮。ルビオがグランツール初勝利|ジロ・デ・イタリア
Bicycle Club編集部
- 2023年05月20日
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ジロ・デ・イタリアの第13ステージが現地5月19日に行われたが、悪天候の影響で、大会前に予定されていた距離から半分以下に短縮された。
このイレギュラーで短縮されたレースでエイネルアウグスト・ルビオ(モビスター チーム、コロンビア)が逃げ切り優勝を飾った。ルビオにとって初のグランツールでの勝利で、大金星となった。
また、総合勢に大きな変動はなくマリア・ローザはゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)がキープしている。
2度にわたる大幅なコース短縮、207㎞→199㎞→74.6㎞
当初、第13ステージはボルゴフランコ・ディヴレアからクラン・モンタナまでの207kmで争われる予定だったが、大雪の影響で今大会の「チーマ・コッピ」(最高標高地点)コル・ドゥ・グラン・サン・ベルナルドのルートを変更。距離は199kmに短縮された。
しかしレース直前、悪天候を考慮してさらにコースを短縮。74.6kmで争われることになった。
スタートセレモニーは、当初スタート地点だったボルゴフランコ・ディヴレアで実施。その後プロトンは、車でフィニッシュ地点のクラン・モンタナから残り74.6kmの地点まで移動し、スタートすることになった。
結果、コル・ドゥ・グラン・サン・ベルナルドはカット。1級山岳クロワ・ド・クール(距離15.4km、平均勾配8.8%)の上り口をスタートし、1級山岳のクラン・モンタナ(距離13.1km、平均勾配7.2%)を上り切ってフィニッシュするレイアウトに変更された。
なお、連日大会を去る選手が続出しているが、この日はマッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード、デンマーク)が喉の痛みをはじめとした体調不良でDNSに。プロトンは135人にまで減った。
山岳賞に向けピノがアタック
スタート直後から上りを強いられることになったプロトン。序盤からアタック合戦が繰り広げられる。結果、逃げに乗れたのはルビオ、ヴァランタン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)、ジェフェルソン・セペダ(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)、ティボー・ピノ(フランス)、ブルーノ・アルミライル(ともにグルパマ・エフデジ、フランス)、デレク・ジー(カナダ)、シュー・リッチテッロ(ともにイスラエル・プレミアテック、アメリカ)の7人だった。ほどなくしてアルミライルは脱落するが、チームメートで山岳2位のピノを逃げに乗せることに成功。グルパマとしては最低限の目標クリアとなったはずだ。
約63km、そのピノがアタックを仕掛ける。セペダ、ジー、ルビオが食らいつき残りは脱落。先頭は4人になった。一方この頃、メイン集団はイネオスやユンボ・ヴィスマがけん引していた。
約59km地点の山岳ポイントも4名の逃げのまま突入。山岳ポイントを獲ったのは、やはりピノだった。1級山岳のため40ポイントを追加。まず今日1つ目のミッションをクリアした。
パレパントル復帰で集団は5人に
約55km、上りで脱落したパレパントルが下りを利用して先頭に復帰する。パレパントルは、カウンターアタックで先行する場面もあったが、直後にピノを含む4人がキャッチ。ベン・スウィフト(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)がけん引するメイン集団とのタイム差は、3分程に広がっていた。
クロワ・ド・クールの下りを終え、集団は平坦区間に突入。逃げ5人とメイン集団の構図は変わらず、レースは淡々と進んでいく。
最後の上りに突入
あっという間に残り13.1km、クライマックスとなるクラン・モンタナの上りに突入。ピノ、パレパントル、ジー、ルビオ、セペダの先頭5人と、メイン集団とのタイム差は約3分となっていた。
逃げ切り勝利に向け動きがでたのは残り12km。ピノがいち早くアタックを仕掛ける。この動きでパレパントルはドロップ。先頭は4人になる。
程なくしてフィニッシュに向け、早くもけん制がスタート。互いをうかがいながら、9.7kmでは、ジーがアタックする。しかし、ピノはその動きにすぐに反応し直後にジーを捉える。
ピノはその後も再三アタック。セペダやルビオはついていくがジーは、遅れてしまう。先頭はピノ、セペダ、ルビオの3人になった。
約5km、今度はセペダがアタック。ルビオとピノはやや遅れながらもついていき、3.9kmにはピノがアタックする。ただアタック合戦が繰り広げられるだけで、全て決定的なものにはならなかった。
ルビオがグランツール初勝利
残り1kmを切っても抜け出す選手はおらず。ここまでくれば誰が最初にスプリントするかだ。
1kmを切ったところ、最初に仕掛けたのはセペダだった。そこにピノが反応。ルビオはピノの後ろにピタリとつく。だが、セペダは快調に先行し2人を車体約1つ分引き離した。
しかし、そこに待ったをかけたのがルビオだった。力強くペダルを踏みあっという間にセペダに追いつきかわしていく。逆に早掛けしたセペダはドロップ。一方のピノはルビオに食らいついたが、セペダ同様にドロップとなった。
最後は、勝利を確信したルビオがフィニッシュラインを一番に通過。うれしいグランツール初勝利を手に入れた。今年のUAEツアーの山頂フィニッシュステージでも優勝していたルビオ。良いイメージで今回のステージに挑めていたかもしれない。
マリア・ローザはトーマスがキープ
一方の総合勢、ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)やダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)がメイン集団でアタックを仕掛けたものの、大きな動きとはならず。
トーマス、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)、ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)も危なげなくレースを終え、マリア・ローザはトーマスがキープしている。
なお、この日2位でフィニッシュしたピノは総合15位から10位にジャンプアップ。山岳ジャージも獲得した。マリア・ローザを争う上で大きな動きがでると思われた13ステージだったが、コース短縮により総合争い自体は平和に終わった。なお、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)は、トップから20分44秒遅れの121位でフィニッシュしている。
5月20日に行われる第14ステージは平坦ステージにカテゴライズされているものの、序盤に1級山岳シンプロンパス=パッソ・デル・センピオーネ(登坂距離20.2km、平均勾配6.5%、最大勾配14%)が登場する。この山岳がどうレースに影響してくるだろうか。
ステージ優勝 エイネルアウグスト・ルビオ コメント
「ピノが強いことはわかっていたから、彼と一緒にゴールまで行き、さらに作戦を練って走らなければならなかった。ジロ・デ・イタリアで勝てたことを実感するにはまだまだ時間がかかりそうだ。まさか優勝できるなんて思っていなかった」
個人総合時間賞 ゲラント・トーマス コメント
「ベン・スウィフトとパヴェル・シヴァコフがペースを作ってくれたので、イネオスがメイン集団をコントロールすることができた。2人の走りは素晴らしかった。プリモシュは、今週中は僕にマリア・ローザを持っておいてほしいと思っているだろう。ただ、来週は(彼が)何か仕掛けてくると思うよ」
ジロ・デ・イタリア2023 第13ステージ結果
ステージ結果
1 エイネルアウグスト・ルビオ(モビスター チーム、コロンビア) 4:18’11”
2 ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)ST
3 ジェフェルソン・セペダ(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)+0’03”
4 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+1’01”
5 ヴァランタン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス) 1:29
6 ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)
105 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+20’56”
個人総合時間賞(マリア・ローザ)
1 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)51:20’01”
2 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+0’02”
3 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+0’22”
4 アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム、ノルウェー)+0’42”
5 ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)+1’28”
6 レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+1’52”
7 エディ・ダンバー(チーム ジェイコ・アルウラー、アイルランド)+2’32”
8 テイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ、オランダ)+2’45”
9 ローレンス・デプルス(イネオス・グレナディアーズ、ベルギー)+3’08”
10 ティーボ・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)+3’13”
134 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+2:45’03”
ポイント賞(マリア・チクラミーノ)
ジョナサン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)
山岳賞(マリア・アッズーラ)
ティーボ・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)
ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)
ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)
チーム総合時間賞
ユンボ・ヴィスマ 153:56’55”
▼ジロ・デ・イタリア2023スタートリスト&コースプレビューはこちら
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