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岡が昨年に続き2年連続でTOJステージ優勝し、総合リーダーへ|ツアー・オブ・ジャパン

5月21日から28日の8日間にかけて開催されているツアー・オブ・ジャパン2023(以下、TOJ)。大会5日目となる5月25日は第5ステージとして信州飯田ステージが長野県飯田市の下久堅地区内周回コースで開催された。

レースは序盤からアタック合戦となり、4周目に8名の逃げ集団が形成され、さらに2名が追走し、最終的に10名の逃げ集団が形成される。前日同様に4分以上のタイム差がつく中、有力チームの選手たちが逃げ集団を形成してしまったこと、ステージ優勝よりも総合順位を争うことを意識したためか、メイン集団はペースが上がらず、最終周回に入るタイミングでも4分のタイム差は変わらず。

逃げ集団の逃げ切りが濃厚となると、逃げ集団内でも次の動きが発生。最終的に6名の選手が一つの集団のまま残り1kmを迎え、カーター・ベトルスがアタックも、岡篤志(JCL TEAM UKYO)が状況を冷静に判断し、ホームストレートへの登りでカーターを捕まえるとそのまま独走で優勝を飾った。

メイン集団は2分30秒程度までタイム差を縮めるものの、岡はスタート時点で23秒差の8位につけており、ステージ優勝とともに2分以上のタイム差をつけて総合リーダーの座を掴むこととなった。

アタック合戦が続くレース前半

5月21日から28日の8日間にかけて開催されているツアー・オブ・ジャパン2023。
大会5日目となる5月25日は第5ステージとして信州飯田ステージが長野県飯田市の下久堅地区内周回コースで開催された。

信州飯田ステージといえば獲得標高が全8ステージ中最も高く、これまでも総合順位を争う意味での第1ステージとして厳しいレースが繰り広げられてきたステージだ。
昨日の美濃ステージを終えた段階で総合上位勢はまだ20秒程度のタイム差しかなく、この信州飯田ステージでどのように総合順位が入れ替わるのか、タイム差がつくのか注目された。

美濃ステージを終え、16チーム・89名の選手が信州飯田ステージのスタートラインにつくと、10時丁度にレースはスタート。

前半の上り区間の途中でリアルスタートが切られると、京都、いなべ、美濃同様にすぐにアタック合戦が始まる。

集団が割れるような場面もありながら、3周目に9名の選手が先行すると、さらにKOMでの山岳賞ポイントを前にレオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)が単独で飛び出し、1回目の山岳賞ポイントを1位で通過する。

しかし、集団もこの逃げは容認せずに吸収すると今度は2名が抜け出し、追走に次ぐ追走で、4周目に以下の10名の逃げ集団が形成される。

・山本元喜/ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム)
・今村駿介/兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
・カーター・ベトルス/レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)
・岡 篤志(JCL TEAM UKYO)
・ジェス・イワート(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)
・ディーン・ハーヴィー(トリニティ・レーシング)
・フェリックス・スティリ(EFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチーム)

キンテロと兒島による山岳賞争い

10名の逃げ集団は4周目を完了した時点で4分以上のタイム差をつける。
京都、美濃と逃げに乗り、いなべでも集団先頭を獲ることで山岳賞ポイントをしっかりと獲得してきた兒島は、この日も積極的に山岳賞ポイントを獲得しようと動く。

しかし、信州飯田ステージで兒島思うようにポイントを獲得できなくなってしまう。京都、いなべ、美濃では競り合ってもしっかりとポイントを獲得してきたが、信州飯田ではここまでノーポイントだったキンテロがポイントを取りにいく動きを見せ、5周目に設定された2回目の山岳賞ポイントでは兒島と競り合ってキンテロが1着通過のポイントを獲得する。

さらに兒島は7周目に設定された山岳賞ポイントを前に逃げ集団からドロップし、キンテロはしっかりと1着で通過した結果、信州飯田ステージを終えた段階でキンテロが兒島に対して8ポイント差に迫る、山岳賞総合順位で2位に急浮上する。

兒島およびキンテロが翌日に控える富士山ステージでステージ10位以内に与えられる山岳賞ポイントを獲得するのは難しいと思われるため、明後日の相模原ステージでは兒島とキンテロによる山岳賞争いが見られるのではないだろうか。

4分のタイム差をもって逃げ集団の逃げ切りは濃厚に

4周目を終えた時点で逃げ集団とメイン集団のタイム差は4分以上にまで広がる。
タイム差の広がりは4分を越えた時点で安定し始めたものの、有力チームの選手たちが逃げ集団に入ったため、積極的にペースをコントロールしようとする動きがメイン集団では見えず、タイム差が一向に縮まらない。

6周目を終えた時点でもタイム差は4分以上と、逃げ集団の逃げ切りの可能性が見え始める。兒島と今村の2名が逃げ集団からドロップし、逃げ集団は8名となるも、7周目にはさらに若干タイム差が広がり、いよいよ逃げ切りが濃厚になり始める。

岡が祖父に捧げるステージ優勝、総合リーダーの座も手に

最終周回である9周目に入るタイミングでも4分を少し切るタイム差で、逃げ集団の逃げ切りはほぼ確定となる。

逃げ切りが確定的になるとスプリントに持ち込みたくない選手、逃げ集団の中に複数の選手を送り込むチームの選手が積極的にアタックをかけていく。

いなべステージでステージ優勝を挙げているベトルスがアタックを仕掛けると、追走できたのは岡とハーヴィーの2名のみ。3名でこのままいくかと思われたが、下り区間でさらにイワ―ト、カバナ、スティリの3名が追いつき、先頭は6名に。

フィニッシュ地点への上り区間が始まる残り1kmを切った地点でベトルスがアタックするも、岡が残り150mの時点で先頭にたち、そのまま独走でステージ優勝を挙げた。

岡は表彰式の中で「祖父が昨夜亡くなって」と語り、その目には涙が滲んでいたようにも見受けられた。

まさに祖父へ捧げる勝利を信州飯田で挙げた岡は美濃ステージを終えた段階で23秒差の総合8位につけていたが、メイン集団が2分以上のタイム差でフィニッシュしたことで3位以降に1分40秒以上のタイム差をつけ、総合成績でも1位の座につくこととなった。

岡はレース終了後の囲み取材の場で「チームとして今日は僕が勝つプランではなくて。逃げ集団に入ったのもアシストとしてチェックのためだったんでけど、タイム差が思った以上についてしまって」と今回の勝利はあくまでレースの展開によるものだと語る。

それでも「残り1km地点ではあえて一番後ろのポジションを取りました。後ろからアタックされてそれで終わってしまうのが嫌だったので。僕以外はスプリントが得意な選手がいなかったと思いますし、みんなスプリントになるのを嫌がっているように見えていました」と戦略的に集団内でのポジションを選び、自らの手で勝利を、総合リーダーの座を手にした岡。

明日の富士山ステージでも総合リーダーを守れるか聞くと、「50%50%ですね」と岡は答える。
「トップが38分とかで上ってくると厳しいかなと思っています、でも(トップが)40分とかであれば何とか守れるかな、そういう意味で50%と。チームメイトのネイサンにリーダーが移るなら良いですけど、ダイボールやフェリックス(スティリ)といった他のチームの選手に奪われるのは避けたいです」

後半ステージ様子はこちら
TOJ2023コースプレビュー! 後半4ステージ( 南信州、富士山、相模原、東京)編

TOJ2023コースプレビュー! 後半4ステージ( 南信州、富士山、相模原、東京)編

2023年05月25日

 

リザルト 第5ステージ 信州飯田ステージリザルト

ステージリザルト

1位:岡 篤志(JCL TEAM UKYO) 3時間6分16秒
2位:ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム) +5秒
3位:ジェス・イワート(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +7秒
4位:カーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) +10秒
5位:ディーン・ハーヴィー(トリニティ・レーシング) +13秒
6位:フェリックス・スティリ(EFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチーム) +21秒

個人総合成績

1位:岡 篤志(JCL TEAM UKYO) 12時間16分7秒
2位:フェリックス・スティリ(EFエデュケーション・NIPPOディベロップメントチーム) +34秒
3位:カーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) +1分48秒
4位:レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島) +2分13秒
5位:ルーク・ランパーティ(トリニティ・レーシング) +2分22秒
6位:ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +2分34秒
7位:ベンジャミ・プラデス(JCL TEAM UKYO) +2分36秒
8位:イエルン・メイヤス(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +2分36秒
9位:リアム・ジョンストン( 10位:ネイサン・アール(JCL TEAM UKYO) +2分44秒

ポイント賞総合成績

 

1位:ルーク・ランパーティ(トリニティ・レーシング) 72ポイント
2位:岡 篤志(JCL TEAM UKYO) 60ポイント
3位:カーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) 53ポイント

山岳賞総合成績

1位:兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 29ポイント
2位:レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島) 21ポイント
3位:カーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) 15ポイント

新人賞総合成績

1位:ルーク・ランパーティ(トリニティ・レーシング) 12時間18分29秒

大会公式サイトhttps://www.toj.co.jp

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