新城がカザフスタン勢に次いで銅メダル、パリ出場枠獲得へ向け前進|アジア選手権男子ロード
福光俊介
- 2023年06月13日
タイで開催していたロードレース種目のアジア選手権は、6月13日が最終日。大会全体の最終競技として行われた男子エリートロードレースは、カザフスタン勢と競った新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が3位となり、銅メダルを獲得した。
パリ五輪出場枠獲得に重要な一戦
大陸選手権の1つに数えられるアジア選手権は、例年より遅めのこの時期にタイで行われてきた。日本からはこの大会に男女エリートのみのエントリー。前日12日には女子エリートロードレースが実施され、樫木祥子(オーエンス)が30位、川口うらら(TEAM TATSUNO)が40位、植竹海貴(Y’s Road)が60位、岩元杏奈(宮崎県スポーツ協会/PEARL iZUMi)が66位で終えている。
156kmで争われた男子エリートは、内陸をスタートし、タイランド湾に面したラヨーンの街にフィニッシュする。メンバーは新城のほか、10日の個人タイムトライアルを5位で終えた小石祐馬(JCL TEAM UKYO)、小石のチームメートである山本大喜、岡 篤志、そして留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)で構成。来年に迫るパリ五輪のロードレース国別出場枠獲得を見据えて各国が動いており、1位になれば250点が付与される。
23カ国から選手が集ったレースは、リアルスタートから出入りが激しいものに。カザフスタン勢や韓国勢が積極的に動く中、日本勢もきっちり合わせていつでも逃げにメンバーを送り込める態勢を整えていく。スタートから30分ほど経ったところで新城が抜け出し、一時的に3人で先行する場面もあった。
スタートから1時間以上経過してもアタックとキャッチの繰り返しが続いており、どの国も前線にメンバーを送り出そうと躍起な状態。そうした中、個人タイムトライアルで勝ったエフゲニー・フェドロフ(カザフスタン)が飛び出したところで約10人が追う形になり、これを見送った集団はストップ。小石と留目が前のパックに加わり、やがてフェドロフにも合流した。
10人以上で固まった先頭グループは、登坂区間でフェドロフが再び動いたところで崩壊。これをチェックした小石が前に残り、留目は集団へと戻る。代わって、山本が前をうかがって、そのまま先頭パックにジョイン。メンバーがシャッフルされた逃げは、集団に対して再度リード拡大を試みた。
しかし、完全に先行するところまでは至らず、やがてメイン集団が追いついてレースはふりだしに。後にアフメド・マダン(バーレーン)が飛び出すと、新城が追って2人逃げに。後ろではカザフスタン勢が中心となって追撃態勢を整え始める。
いよいよタイランド湾沿いに出てレースは終盤に。新城が先頭をキープする一方で、マダンと韓国勢が入れ替わるなど、依然状勢は慌ただしい。後続もペースを上げ、新城らに追いついたところで複数人を残していたカザフスタン勢がアタック。ここもやはり新城が反応すると、後ろからさらにカザフスタン勢が追いかけて合計3人の先頭グループに。そのうち2人がカザフスタンと、数的優位を作り出す。
後方では小石や山本が追走を試みるが、前に届きそうで届かない。先頭3人はそのままタイム差を広げていき、そのまま優勝争いへと移っていった。
決定打が生まれたのは残り5kmを切った直後。普段はアスタナ・カザクスタン チームで走るグレブ・ブルセンスキーがアタックすると、新城は反応しきれず。何とか追いつこうと懸命の走り見せるも、その差は徐々に広がっていく。さらには、こちらもアスタナ・カザクスタン チームに所属するエフゲニー・ギディッチのアタックも許し、カザフスタンの2人によるワン・ツーフィニッシュが決定的に。
結局、ブルセンスキーのフィニッシュから13秒後に新城が3位でレースを終了。銅メダルを決めた。おおよそ1分後にメイン集団もやってきて、フィニッシュ手前で抜け出した小石が4位、山本が14位。少しおいて岡が24位、留目が29位で走り終えた。
パリ五輪のロードレース出場枠に関係するUCIポイントは、5選手合わせて310点獲得となった。
※現地から新たな情報が入り次第追記します
アジア選手権ロードレース男子エリート 結果
1 グレブ・ブルセンスキー(カザフスタン) 3:23’13”
2 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン)+0’07”
3 新城幸也(日本)+0’13”
4 小石祐馬(日本)+1’11”
14 山本大喜(日本)+1’19”
24 岡 篤志(日本)+1’53”
29 留目夕陽(日本)+2’06”
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。