世界最大のグラベルレースに挑んだ日本人ライダーの機材紹介!|UNBOUND GRAVEL 2023 【番外編】
坂本 大希
- 2023年09月24日
新人編集の坂本が挑んだアンバウンドグラベル2023の100マイル。番外編では実際に使用した機材や他の日本人参加者の機材などを紹介する。来年以降参加する人にぜひ参考にしてほしい!
機材紹介① 編集部・坂本 ジェイミス・レネゲードC2
ここからは実際に本イベントに参加した機材を紹介していく。まずは私の機材を見ていこう。
ジェイミス・レネゲードC2。ジェイミスのカーボンモデルは2種類で、このC2とハイエンドモデルのC1の2種類だ。コンポはシマノ・GRX800系機械式フロントダブル。ジェイミスというとアドベンチャー色が強いブランドだが、カーボンモデルは問題なくハイスピードレースに使用可能だ。坂の少ないアンバウンドグラベルにおいては車体自体の重さを感じる場面はほぼ無く、むしろ荒れた道に対しての安心感がいい。
タイヤはパナレーサーグラベルキングのSKプラスTLR43C。この場所フリントヒルズは尖った石(フリントストーンと呼称される)で有名で、これによりタイヤが切れるようにパンクするという声も聞く。そのため耐パンクモデルの「プラス」が最適解か。実際にタイヤまわりはノートラブルで私も100マイルを走り切った。
長丁場のレースではアイテムの積載も考えなければならない。R250・防水トップチューブバッグ2と防水ドラム型フロントバッグを取り付け積載量を確保した。特にトップチューブバッグはマウントに直接取り付けることができレース中にずれることが無く快適だった。記録用のゴープロへの外部電源をつなぐ際にも活躍した。
機材紹介② 編集長・山口 BMC・カイウス01スリー
続いて編集長の山口の装備を紹介しよう。
BMC・カイウス01スリー。“Unbound Speed(無限のスピード)”をうたうBMCのグラベルレーシングバイクで、ロードバイクですでに実績を重ねている同ブランドのチームマシーンの技術をベースにしている。フレームセットはカーボン。コンポはスラム・ライバルeタップAXSのフロントダブル。
タイヤはiRCのボーケン・ダブルクロスTLRの42C。サイドウォールがナイロンメッシュにより補強されており、同地域でのタイヤが切れることによるパンクへの対策。また、タイヤパターンについてはサイドはかかりのいいノブを備えながらもセンターは転がり抵抗が低くなるデザインとなり、カーブも少なくスムーズなグラベルが多い本レースにおいて効果的だった。
積載アイテムとしてオルケース・ハンドルバーバッグ(中)スマグラーとオルケース・サドルバッグ(SB25)を装着。合計で2.5ℓの積載量を確保し、携帯工具や補給食を分散して収納した。
他の日本の参加者及びその機材紹介
ここからは今回参加した日本人選手の装備を、調べが付いた範囲で紹介していく。
小森亮平選手
- バイク:キャノンデール・スーパーシックスエボCX
- ホイール:キャノンデール・ホログラムSiカーボン 35
- タイヤ:ピレリ・チントゥラート・グラベルRC 40C
高岡亮寛さん
- バイク:スペシャライズド・エスワークス・ディバージュSTR
- ホイール:スペシャライズド・ロヴァール・テラCLX2
- タイヤ:パナレーサー・グラベルキングSK 38C(プロトタイプ)
- 準備していてよかったもの:オルケースのトップチューブバッグ、泥を落とす木のヘラ
- 準備すればよかったもの:フレームやホイールに泥が付着しないように吹くシリコンスプレー
中村龍太郎さん
- バイク:フェルト・ブリード30
- ホイール:アレックスリムズ・RXD3
- タイヤ:ヴィットリア・テレーノドライ 38C
- 準備していてよかったもの:DHバー(BBB エアロマックス BHB-60)、サスペンションシートポスト(BBB アクションポスト BSP-42)、レッドシフト ショックストップステム
- 準備すればよかったもの:急な豪雨から携帯電話を守るためのジップロック
中曽佑一さん&竹村舞葉さん
中曽佑一さん(右)
- バイク:スぺシャライズド・エスワークス クラックス
- ホイール:ジップ・303ファイヤクレスト(本番1週間前にフロントホイールを破損してしまったため、実際に使ったのは緊急でDTスイス E1800スプライン)
- タイヤ:iRC・ボーケン ダブルクロス 38C
- 準備していてよかったもの:チェーンオイル。序盤の泥区間を抜けたあと、チェーンからオイルが抜けきったため、レース中に2回注油した
- 準備すればよかったもの:背中に背負うタイプのハイドレーション。前後のボトル1.5ℓでは不足したので次回は持っていきたい。DHバーもあればさらに良い
竹村舞葉さん(左)
- バイク:スペシャライズド・クラックス
- ホイール:プライム・Baroudeur V2
- タイヤ:パナレーサー・グラベルキングSS TLR 38C
- 準備していてよかったもの:泥を掻き出すための硬めのゴムベラ(100均で購入) 、クルー・フォー・ハイヤーのオプションサービス(補給食や水などを沢山持たずに済むため) 、チェーンオイル(泥区間でオイルが落ちてしまうため、レース中に注油した)
- 準備すればよかったもの:背中に背負うタイプのハイドレーション
マイケル・ライスさん
- バイク:チャプター2・ カハ
- ホイール:アストゥート・手組みホイール
- 準備していてよかったもの:DHバーは必須。2回目の参加ということもあり、補給食を持ちすぎることなく走れたのも良かった
守屋寿人さん
- バイク:セラフ・カーボンモデル GR029
- ホイール:フィベリン・カーボンホイール 45mm
- タイヤ:パナレーサー・グラベルキングSS TLR 43C
- 準備していてよかったもの:トップチューブバッグ(補給食を取り出しやすく便利だったが、パンク修理中にイヌに嗅ぎつけられて奪われました)、寝袋(運営側が用意しているテント泊のプランを使ったが、エアマットしかなかったため持って行ってて本当によかった)
- 準備すればよかったもの:もう少し細い38Cくらいのタイヤで良かったかもしれない
下松 仁さん
- バイク:スペシャライズド・ディバージュSTR プロ
- ホイール:スペシャライズド・ ロヴァール テラCLX
- タイヤ:スペシャライズド・エスワークス パスファインダー チューブレスレディ 42C
- 準備していてよかったもの:泥対策のフレームへのオイル塗布(担いだこともあり泥づまりでの停止は2回だけで済んだ)
- 準備すればよかったもの:腹冷え防止のマッサージオイル(後半、腹が冷えて痛くなり踏めず……)
鈴木聖士さん
- バイク:ナイナー・RLT9 スチール
- ホイール:スタンズ・グレイル S1
- タイヤ:パナレーサー・グラベルキングSKプラス 43C
- 準備していてよかったもの:ドロ除去用の木の板、DHバー
- 準備すればよかったもの:昨年の経験があったので装備としては特になし、フロントシングルにしてもよかった
森廣真奈さん
- バイク:キャノンデール・トップストーンLAB71
- ホイール:シマノ・WH-RX870
- タイヤ:フロント→チャレンジ・ グラベル グラインダー TLR 42C
リア→パナレーサー・グラベルキングSK TLR 43C - 準備していてよかったもの:フタ付きのボトル(泥すごかった)、 泥を落とすヘラ(泥すごかった) 、スタンズノーチューブのダートツール(パンク修理に活躍した)、 クルー・フォー・ハイヤー(安心感。冷たいコーラがおいしすぎた)
- 準備すればよかったもの:自転車の担ぎ方を習っておくべきでした……
花岡仁志さん
- バイク:チャプター2・アオ
- ホイール:アレックスリムズ・RXD2
- タイヤ:コンチネンタル・テラトレイル 40C
- 準備していてよかったもの:日本文化を前面に出したオリジナルサイクルジャージで臨んだのは良かった。さまざまな国の方とのコミュニケーションフックになり、このジャージのお陰で励ましあいながら走れる仲間を現地で作ることができた
- 準備すればよかったもの:3~4ℓぐらいの水(補給ポイントで補給所の水がなくなってしまうことに出くわした。多めに持って行くのがいいと思う)
パナレーサー 三上勇輝さん
- バイク:サーヴェロ・アスペロ5
- ホイール:ジップ・303ファイアクレスト
- タイヤ:パナレーサー・グラベルキング(プロトタイプ)
- 準備していてよかったもの:カーゴビブショーツ(スマホの出し入れがしやすかったので、撮影時など助かった)
- 準備すればよかったもの:水+カロリーの多く摂れる物(日本の慣れた補給食が欲しかった……)
パナレーサー 青木悠輔さん
- バイク:トレック・ブーン9(代車) ※飛行機輪行時にフォークにクラックが入るという不運に見舞われ代車での走行
- ホイール:ボントレガー・レースライト
- タイヤ:パナレーサー・グラベルキング(プロトタイプ)
- 準備していてよかったもの:エマージェンシーハンガー(草原の中でハンガーが折れ絶望したが、持っていて助かった)
- 準備すればよかったもの:泥を取るスティック(割り箸では手に負えないほどのひどい泥だった……)
パナレーサー 佐藤優人さん
- バイク:スタンダート・Erdgeschoss
- ホイール:ジップ・303ファイアクレスト
- タイヤ:パナレーサー・グラベルキング(プロトタイプ)
- 準備していてよかったもの:レインジャケット(気温35度の中走った後に豪雨で15度まで下がるという異常な気象の中、低体温症にならなかったのはこれのお陰)
- 準備すればよかったもの:泥を取るスティック(本当にひどい泥だった……)
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PROFILE
坂本 大希
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。