ユンボは新スポンサー決定間近か? UCIがワールドチーム申請状況を発表|ロードレースジャーナル
福光俊介
- 2023年10月20日
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vol.66 UCIワールドチームは18チームが“現状維持”。ユンボ・ヴィスマとスーダル・クイックステップの合併は実施されない方向へ
国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。秋のビッグレースやジャパンカップが終わり、ひと息つきたいところではあるが、早くも2024年シーズンに向けた動きが進んでいる。来季を進めるうえで重要な、UCI(国際自転車競技連合)への申請状況がこのほど発表され、ここ数週間をにぎわせていたビッグチーム同士の合併話はひとまず落ち着くこととなりそうだ。各チームの動向を見ながら、来年の体制を確認していくとしよう。
UCIワールドチームは18で変わらず、ユンボは新スポンサー獲得準備に
UCIは10月19日、2024年シーズンに向けたUCIワールドチーム・同プロチーム・同ウィメンズワールドチームの申請状況を発表。ワールドチームについては今季と同じ18チーム、プロチームは17チームが登録。ウィメンズワールドチームは上限15チームのところ、16チームが申請を行っている。
注目すべきポイントを挙げていくと、まずワールドチームではユンボ・ヴィスマとスーダル・クイックステップの合併はほぼなくなった、という点だろう。
今季大活躍したユンボ・ヴィスマに、同じく強力な選手たちを有するスーダル・クイックステップが合流するのでは……という話題でこの秋は持ちきりだった。実現すれば、これまでにないビッグチームが誕生する一方で、両チームともに来季以降の契約を結んでいる選手が多数いるため、それらを合計すると50人を超える状況が発生。ワールドチーム上限の1チーム30人をはるかに上回り、溢れているメンバーをどうするかについても懸念となっていた。
じつのところかなり前向きに進んでいた合併話だったが、10月に入り急転し事実上の終息を見ることに。合併となった際は他チームへの移籍が既定路線と見られていたレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)も残留の意思表示をするなど、状勢は一気に落ち着くこととなった。
なお、ユンボ・ヴィスマは今回「ブランコプロサイクリングチーム」の名でUCIに申請。ヨーロッパのサイクルメディアを中心に、タイトルスポンサーの変更が報道されており、来季からは「ヴィスマ リース・ア・バイク(Visma-Lease a Bike)」になるとの予測をされている。ブランコプロサイクリングはチームの運営会社の名で、現況ではタイトルスポンサーの調整中と推察できる。
ほかでは、チーム アルケア・サムシックがフランスのホテルチェーン・B&Bホテルズをスポンサーに招き、「アルケア・B&Bホテルズ」で申請。アンテルマルシェ・サーカス・ワンティは、オンラインゲームブランドのサーカスが退き、「アンテルマルシェ・ワンティ」として申請している。
ウィメンズワールドツアーは新規2枠を3チームが争う
ウィメンズワールドチームでは、今季トップカテゴリーを走ったEFエデュケーション・TIBCO-SVBが実質の解散(後継チームへ移管)となるほか、チーム ジェイコ・アルウラーとリブレーシング・エクストラが合併。2枠空くことになり、そこへAGインシュランス・スーダル・クイックステップ、セラティツィット・WNTプロサイクリング、ラボラル・クチャ・フンダシオン・エウスカディがコンチネンタルチームからの昇格をかけて申請。
この3チームは、今季のUCIチームランキングで見るとセラティツィットが10位、AGインシュランスが12位、フンダシオン・エウスカディが25位となっている。
申請でのチーム名は、ユンボ・ヴィスマが男子と同様に「ブランコプロサイクリング」、イスラエル・プレミアテック・ローランドは「ローランド」、ウノエックス・プロサイクリングチームは「ウノエックス・モビリティ」となっている。
2023年シーズンは18チームが登録したプロチームだが、このうちのヒューマンパワードヘルスが事実上の解散、ボルトンエクイティース・ブラックスポークは来季コンチネンタルチームとしての活動を予定。代わって、TDTユニベットがコンチネンタルチームからの昇格を目指し申請している。
いずれのカテゴリーも、ここからUCIライセンス委員会と外部監査人によるチェックが行われ、スポーツ面・管理面・倫理面・財務面・組織面といった各分野においてUCIの規定が満たされているかが審査される。
UCIライセンス委員会による決定は12月12日を予定しており、その際にはUCIからリリースされる運びとなっている。
UCIワールドチーム 申請チーム
アージェードゥーゼール・シトロエン チーム
アルペシン・ドゥクーニンク
アルケア・B&Bホテルズ(2023年シーズン:チーム アルケア・サムシック)
アスタナ・カザクスタン チーム
バーレーン・ヴィクトリアス
ブランコプロサイクリングチーム(ユンボ・ヴィスマ)
ボーラ・ハンスグローエ
コフィディス
EFエデュケーション・イージーポスト
グルパマ・エフデジ
イネオス・グレナディアーズ
アンテルマルシェ・ワンティ(アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
リドル・トレック
モビスター チーム
スーダル・クイックステップ
チーム ディーエスエム・フィルメニッヒ
チーム ジェイコ・アルウラー
UAEチームエミレーツ
UCIプロチーム 申請チーム
ビンゴール・WB(ビンゴール・パウェルスソースWB)
ブルゴスBH
カハルラル・セグロスRGA
コラテック
エオーロ・コメタ サイクリングチーム
エキポ・ケルンファルマ
エウスカルテル・エウスカディ
イスラエル・プレミアテック
ロット・デスティニー
Q36.5プロサイクリングチーム
TDTユニベット
チーム フランダース・バロワーズ
チーム ノボノルディスク
トタルエナジーズ
チューダー プロサイクリングチーム
ウノエックス・モビリティ(ウノエックス・プロサイクリングチーム)
VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)
UCIウィメンズワールドチーム 申請チーム
AGインシュランス・スーダル・クイックステップ
キャニオン・スラム レーシング
セラティツィット・WNTプロサイクリング
エフデジ・スエズ
フェニックス・ドゥクーニンク
ヒューマンパワードヘルス
ラボラル・クチャ・フンダシオン・エウスカディ
リドル・トレック
チーム ジェイコ・アルウラー(リブレーシング・エクストラと合併)
モビスター チーム
ローランド(イスラエル・プレミアテック・ローランド)
チーム ディーエスエム・フィルメニッヒ
ブランコプロサイクリングチームウィメン(ユンボ・ヴィスマ)
チーム SDワークス
UAEチームADQ
ウノエックス・モビリティ(ウノエックス・プロサイクリングチーム)
福光俊介
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。
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- Bicycle Club
- CREDIT :
- TEXT:福光俊介 PHOTO:UNIPUBLIC / SPRINT CYCLING AGENCY Alexander Hassenstein /Getty Images A.S.O./Charly Lopez
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。