すくもグラベルまんぷくライド実走レポ! 肌で感じた自転車の街、高知県宿毛市
坂本 大希
- 2023年12月02日
高知県宿毛市を知っているだろうか。高知空港から車でおよそ3時間前後。この場所は昨年からJCLのプロロードレースの開催地になっていて、自転車業界からの注目度は年々高まっている。そんな同市で開催されるグラベルイベントが、「すくもグラベルまんぷくライド」だ。まだ認知度がそこまで高くないことは否めないが、その満足度の高さから「エントリー料が全部返ってきてるんじゃないか!?」と参加者が心配する声をちらっと聞いた昨年から気になっていたイベントだ。今回、編集部坂本が実際に参加するため高知県に行ってきた。
誰もが楽しめる「まんぷくライド」
「宿毛の食と自然を味わうことができ、オフロードだけでなく、ロードコースもあるので初心者から上級者まで楽しめるイベントです」と本イベントについてうたうように、誰もが楽しめる設計をしているという印象をもった。そのため、比較的距離は短めの設定をしており、グラベルコースで33.5km、ロードコースでは50kmのレイアウトだ。
すくモーニングからはじまる「まんぷくライド」
ちゃんと朝ご飯がでるイベントは珍しい。ライドイベント系は朝早くにコンビニで買って済ませることも多かったが、すくもグラベルはここから違う。宿毛の漁師たちが朝ご飯を喫茶店で食べることが多く、そのため独自に発展した「すくモーニング」というモーニング文化がある。洋食メニューなのにみそ汁が付いていたりと一風変わっているが、この地域の文化を参加者は朝から楽しむことができる。量もしっかりあるので、本イベント参加時の朝食はすくモーニングで決まりだ。
メカニックサービスもあり、出発直前のトラブルにも安心だ
会場にはトーヨーフレーム社がメカニックブースを提供。参加者の出発前の自転車の点検や整備を無償で行ってくれる。編集部坂本のリドレーも見てもらったところ、なんとディスクローターがキャリパーに擦っていた。メカニックサービスの恩恵を一番受けたのは私かもしれない。
グラベルコースは意外にタフかも? パンチの効いた坂道が!
朝食や開会式を終え、午前10時にスタート。しばらく舗装路を走った後グラベルへ。この日は天気が雨だった影響で少しルート変更があった。安全面の配慮もしっかりしている。
グラベルは林道のマッドコンディションが主体のコースが最初は続く。特段滑りやすいということも無く、ところどころにわだちがあるもののおおむね走りやすく楽しめるコースだ。聞くと、宿毛市の職員と地元のサイクリストが協力して道の整備を行っており、整備前は走れたものじゃなかったという。宿毛市の自転車文化の成長は人の努力があってのものだ。それ故にこれからの成長も予感させる。
2つ目のグラベルセクションは砂利主体。砂利自体はしまっていて走りやすい。が、途中から結構な斜度の坂が続く。なかなかに厳しく、途中から砂利うんぬんの話は関係なくなってくる(笑) それでも道が悪い場所はないため、軽いギヤでこぎ続ければ走破可能な絶妙な難易度。狙っているのか自然と絶妙になったのかは聞いていないが……。
多種多様なバイクで参加可能! あなたならどれで走る?
すくもグラベルで周りの参加者を見てみると、幅広い参加者がいるためバイクの種類もいろいろある。カーボン製のバイクでレーシーな雰囲気な人もあれば、MTBでの走りを楽しむ人、eバイクでサイクルトレーラーを引きながら走る人もいる。こういった幅広い人が楽しめる空気をもったイベントは貴重だ。大切にしていきたい。
途中のエイドでも地元のグルメを楽しめる
まんぷくライドの名のとおり、このコース距離でも2カ所のエイドステーションがある。1カ所目では地元の特産品である柑橘系の果物「直七」のシロップをかけたかき氷。2カ所目ではみかんもちをいただいた。この日は雨だったため、提供された温かいお茶とともにみかんもちを食べて各参加者は一服していた。
いざゴールへ! フィニッシュ後にはお昼ご飯も出る!?
グラベル区間を抜けるとゴールまであと少し! 舗装路にも戻るため、各自少しずつペースが上がる。雨の中のイベントだったが、ゴールのときにはみな笑顔だ。
ゴール後の昼食が豪華すぎる! さらにクーポン券が2000円分!?
ゴール後の会場では昼食も振る舞われる。そしてこの内容がまた豪華。高知県の名物かつおのたたきをはじめとし、鯛めし、鯛汁、地元産食材使用のポークフランクから自家製プリン、直七をつかった自家製直七サイダーなど、テキストにすると長くなりすぎるくらい充実している。そして鯛めしや鯛汁はお代わりが自由だ。どうにかして全員をまんぷくにしてやろうという気概をひしひしと感じる。
また、もうすでにおなかいっぱいではあるのだが、なんと「宿毛市内の提携飲食店で使える2000円分のクーポン」が参加者に配布される。参加料5000円のイベントだということを忘れてしまいそうだ。こちらを使用し夕飯までも面倒をみてやろうという狙いなのか。この日は朝から夜にかけ体の中まで宿毛市で満たされる1日になった。
参加者の実際の声を紹介!
高知県高知市から参加のお2人。本イベントには初めての参加だが、宿毛で行われる別イベントの観戦などには来ていたそうだ。柏井さんは普段は自転車に乗っておらず、トレランなどを楽しまれているとのこと。松田さんはロード、柏井さんはグラベルを走った。
「車も少なく、適度なアップダウンがあって走ってて楽しかった。信号も無かったんじゃないかな? 道の走りやすさがすごい」と松田さん。柏井さんも、「グラベルの下りが初めてで怖かったけど、スタッフの方からのアドバイスでタイヤの空気圧を下げてもらって走りやすくなりました。周りの人も声をかけてくれたりとか、道も良くて初めてでも楽しめました! 川もすごくきれい! 来年も参加したい!」とのこと。
広島県からの参加のお2人。宿毛市のイベントに初めての参加だ。SNSでゲストの神楽坂つむりさんが発信しているのを見て参加を決めた。また、グラベルバイクはもってないのでMTBでの参加だ。「道はガレてなくてとてもよかった。上りはきついところの斜度は結構すごかったので、きつい人もいたんじゃないかなと思うな……。非常に楽しかったけど! でも上りすぎ! ちょっとなめてました(笑) でも上り以外のグラベル部分はやっぱりとっても楽しかった! 下りも楽しかった!」とのこと。藤井さんは昨年のシクロクロス以来ほぼ自転車に乗っていなかったが、それでも充分に楽しめたと笑顔で話していた。
これからの自転車文化の発展が強く見込める宿毛市、今後の動向にも注目だ。
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PROFILE
坂本 大希
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。