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台湾KOMチャレンジで男子はダイボールが優勝、金子が3位、女子は樫木・牧瀬がワン・ツー

10月27日(金)、台湾・花蓮県で中華民国自転車騎士協会が主催する世界の10大ヒルクライムレースのひとつ2023台湾KOMチャレンジが開催された。今年はブエルタ・ア・エスパーニャの覇者サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー)が参加することで注目を集めた。レースは男子総合でベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)が3時間16分09秒65秒のタイムで独走し、コースレコードを更新、また日本から参加の金子宗平(KIZUNA CYCLING TEAM )が3位に入賞。また、女子総合で樫木祥子(オーエンス)が優勝、2位に牧瀬 翼(KIZUNA CYCLING TEAM )とワンツーフィニッシュを飾るなど、日本人選手の活躍が光った。

標高3275m、最大27%の激坂を上る世界10大ヒルクライムレースのひとつ

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

毎年秋に開催される 台湾KOM Challengeは、賞金を狙うプロライダーが世界中から参加する名物レース。コースはは海抜0m太平洋岸の花蓮から太魯閣渓谷を通過し、標高3275mの合歓山・武嶺まで105㎞を一気に上るもの。平均勾配3.5%だが、最後の10kmがきつく、最大斜度27.3%、そして酸素の薄い高地での激坂が選手を待ち構える。

世界37カ国から約442人の外国人ライダーと、台湾の有力選手を含む354人の台湾人ライダーからなる合計776人がエントリーした。継続しで開催してきたものの、昨年まではコロナウイルスの蔓延により海外からの参加者が少なく、今回ようやく元の大会の規模に戻り、参加国数も過去最多を記録した。

 

サイモン・イェーツも参加し、地元の歓迎を受けた

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

レース前日の朝、チーム ジェイコ・アルウラーのサイモン・イェーツ、そしてヘスス・デビッド・ペーニャは花蓮福市小学校を訪れ、伝統競技を楽しんだ。午後のレセプションでは主催者の紹介のほかチーム ジェイコ・アルウラーのサイモン・イェーツ、そしてヘスス・デビッド・ペーニャのサイン会も開催された

サイン会には長蛇の列ができた。2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

約700人のパレードが花蓮をスタート

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

レースは花蓮・花蓮七星潭からスタート、最初の18.5kmはパレード走行となり、イェーツと参加者たちが歓談するなど和やかな雰囲気でスタート。そして太魯閣国立公園に入るとリアルスタートした。

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

序盤から仕掛けたダイボールが優勝、ニバリのコースレコードを更新

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

スタートとは序盤はゆっくりとしたペースだったが中盤からペースが上がり、先頭集団は徐々に絞られる形で作られた先頭集団から、ダイボールとブルガリアTTチャンピオンのマルティン・パパノフ(CC ネセバル ショックブレイズ チーム)が残り65kmで抜けだした。

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

後続では日本人ライダーのKIZUNA CYCLING TEAMの金子宗平、田中裕士、森本 誠、 加藤大貴、才田直人といった日本人ライダーたちがジェイコ・アルウラーの2人、イェーツとペニャらがセカンドパックを形成、日本人選手たちが先頭を追いかける展開となった。

先頭を追いかける田中裕士、金子宗平、ペニャ 2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

残り35km地点でパパノフが脱落し、ダイボールが独走。後続では金子宗平、田中裕士、ペニャの3人となった。そして独走したダイボールがが3時間16分09秒65秒のタイムで独走し、2017年にヴィンツェンツォ・ニーバリが打ち立てた3時間19分54秒のKOM記録を更新した。ただし、コースは2017年から変更されている箇所もあり単純に比較することはできないが、ダイボールの走りが圧倒的だったことは間違いない。

ダイボールは今回で4回目となるKOMチャレンジへの参加。特に2018年、2019年に2位となっており、この大会にかける思いは熱く、まさに念願のKOMチャレンジのタイトルを獲得することになった。

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

このほかKIZUNA CYCLING TEAMとして参加した日本人選手は3位金子宗平、4位田中裕士、6位森本 誠、7位加藤大貴、9位才田直人と好成績を収めた。また、期待されたサイモン・イェーツはメカトラブルにより11位でフィニッシュしている。

サイモン・イェーツと森本 誠 2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

男子総合優勝 ベンジャミン・ダイボールのコメント

「このルートは非常に難しい。体力を調整し、リズムを維持する必要がある。特に最後の10kmが勝利の鍵となる。私が勝ったのは経験のおかげだ。何度も乗ってきたからね。台湾でのイベントは信じられないほど素晴らしく、途中のさまざまな地形と美しい景色に恵まれています。来年もKOMの2連覇に挑戦したいと思っています」

男子総合3位 金子宗平のコメント

「3位を取れてとてもうれしく思います。 序盤はサイクリングでしたが、中盤からペースが上がり、限界を迎えた頃の残り10kmで富士アザミラインが始まったようなレースでした。終わってみれば楽しかったですが、レース中は本当に地獄のように永遠に続く上りで、何回もやめたくなりました。走り終えてすぐの今はもう走りたくないですが、この地獄のような魅力に引かれて、きっと来年もまた戻ってきたくなると思います」

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

女子総合で樫木祥子が優勝、牧瀬 翼が2位で日本人がワン・ツー

2023臺灣KOM_中華民國自行車騎士協會提供

女子総合では樫木祥子(オーエンス)が4時間5分の好タイムで優勝、2位に牧瀬 翼(KIZUNA CYCLING TEAM )と日本人選手のワンツーフィニッシュとなった。

レース序盤は無理をしなかったという樫木が、90km地点で先行していた女子3選手をパスしトップにたった。樫木は最後の急斜面でフロントタイヤがパンクするハプニングに巻き込まれるが無事フィニッシュ、優勝を飾った。また牧瀬も樫木から遅れること12分で2位となった。

今回日本からは多くのライダーが参加、エイジカテゴリーでも入賞者も輩出した。M40では兼松大和(KIZUNA CYCLING TEAM)、M25 では北川拓弥(KIZUNA CYCLING TEAM)が3位、そしてM50では小田憲司(Suzhou Riders)が6位となるなど日本人選手の活躍が目立った大会となった。

女子総合優勝 樫木祥子のコメント

写真:バイシクルクラブ編集部

「今回でKOMチャレンジの参加は2回目で前回出場したのは2017年。 全く走れなくて心残りのある大会で、リベンジをしに来ました。終盤になるにつれて斜度が厳しくなるので、無理ぜず序盤の緩斜面区間は集団に乗っていって、遅れたら自分の脚と相談しつつ、周りの選手たちと協力してゴールを目指すように計画していました。 遅れてからは周囲の人に恵まれて、快調に進み、私の前を走っていた3名の女子選手を抜いて、90kmほどで先頭に立ちました。

最後の急斜面に入ってから、フロントタイヤがパンクし、チューブレスだったものの、ダンシングが難しい状態だったので、すぐニュートラルを呼びましたがディスクの用意がなく、5kmほどそのまま走ることになりました。ただ、ラスト3km地点の下りの前でようやく交換してもらえました。 急勾配区間もしっかり出力が出せていたので、ペース配分は良かったと思います。 終盤は追いつかれるのではとドキドキしましたが、無事優勝できてうれしいです」

リザルト

男子

1 ベンジャミン・ダイボール ヴィクトワール広島、オーストラリア 03:16:09.65
2 ヘスス・デビッド・ペニャ Jayco-AlUla、コロンビア   03:20:30.34
3 金子宗平  KIZUNA CYCLING TEAM  03:23:02.32
4 田中裕士 KIZUNA CYCLING TEAM  03:24:09.07
5 マルチン・パパノフ TRIGON FACTORY RACING、ブルガリア  03:28:49.83
6 森本 誠  KIZUNA CYCLING TEAM  03:31:22.20

女子

1 樫木祥子 オーエンス  04:05:26.94
2 牧瀬 翼  KIZUNA CYCLING TEAM  04:17:15.25
3 許書瑋  悠活單車、台湾  04:21:09.12
4 ジェレミー・P・プラド Team Philippines/Champbullies、フィリピン  04:22:09.04
5 程詩軒  TRIGON FACTORY RACING、台湾  04:24:44.30
6 林怡伶 台湾  04:29:43.38

詳細はTaiwan KOM Challenge公式WEBサイト
www.taiwankom.org

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

山口の記事一覧

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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