70km以上がダート!? ヴィンテージバイクの祭典「エロイカ」実走編【後編】
ニシヤマ
- 2024年02月24日
9月28日から10月2日にイタリアのガイオーレ・イン・キャンティで開催された「Eroica」。世界中で開催されているエロイカのオリジンといえる、本家の大会を編集部が体験! 単なるヴィンテージバイク愛好家の集まりではない、イタリアが育んだ自転車文化の本質がそこにはあった。
今年5月に伊豆で開催されるエロイカジャパンに先立ち、全3回に分けてその魅力をお届けする。
▼「エロイカ」実走編【前編】はこちらから
人生で指折りのサイクリング体験
トスカーナ地方の美しい朝焼け、これ以上ないイタリアの情景の中を走る。城壁のシエナの街へ入って行き最初のエイドステーション(エイドは全4カ所)は、カンポ広場。世界遺産で地元の焼き菓子をチャージするというぜいたく!
朝のうちはまだ涼しく快適だった。しかしここからが本格的なライドの始まり。ストラーダビアンカ(白い道)というように石灰岩のほこりっぽい土壌。長い区間だと15km以上も続く白いダートは、ライダーの体力&気力を奪っていく。
道の大部分は、農機具のキャタピラーの跡があり、そのわだちは入った瞬間に脳みそが揺らぐような振動だ。
そんな道を23Cのタイヤで走り抜けるという、ある種エクストリームなバカバカしさがエロイカの本質だ。
絶え間ないアップダウン。最初は美しく見えた丘陵の風景も、その地形が牙をむきデスバレーのように感じられてくる。
急坂のダートでは細いタイヤのトラクションが足らず滑って上れない(かつ往年の男前ギヤで重すぎだし)。しかたなくバイクを押して上る。下りは逆に乗って下れそうもなく押して下る。
乾いたトスカーナの、糸杉の影しかないようなカンカン照りの中を、重い古レーサーを押して歩き続ける。これがエロイカの標語の「疲れることの素晴らしさ」か!?
かつこういう道なので、沿道はパンク修理の連続、旧車なので一緒に走った仲間でもワイヤー切れ、チェーン切れとトラブル続発だ。
第3から第4エイドステーションまでの後半では、さらに地形は厳しくなる。土ぼこり味のボトルの水もなくなって、グダグダになって進んで行くうちに日も落ちてきた。
夕日に照らされたガイオーレ・イン・キャンティの道路標識を見つけたときは、「やっと終われる」と心底ほっとした。
そして午後5時ゴール!「そして、達成の喜びを再発見しよう」というエロイカ標語後半のオチどおりで、そこには達成の喜びしかない。地獄を味わって天国を見るという見事なコース設計なのだったと走り切って分かった。
人生で指折りのキツいライドだったが、最高のサイクリングとなったのは間違いない。自転車文化を育んだイタリアで往年の走りを体験し「これぞサイクリングの本質」と教えられたような気がした。
エロイカジャパン2024は5月11日~12日に伊豆で開催!
来年5月の開催で、伊豆では2回目。日本では10回目を迎えるエロイカ・ジャパン。イタリアのカーサ・エロイカでは特別ブースを展開して、伊豆での10アニバーサリー開催を世界にアピール。日本のエロイカビレッジは、伊豆の国市・韮山時代劇場に舞台を移してパワーアップ! エントリー始まってます! 詳細は以下リンクよりどうぞ!
▼Eroica JAPAN 2024(エロイカジャパン2024)の詳細はこちらをチェック
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