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70km以上がダート!? ヴィンテージバイクの祭典「エロイカ」実走編【後編】

9月28日から10月2日にイタリアのガイオーレ・イン・キャンティで開催された「Eroica」。世界中で開催されているエロイカのオリジンといえる、本家の大会を編集部が体験! 単なるヴィンテージバイク愛好家の集まりではない、イタリアが育んだ自転車文化の本質がそこにはあった。

今年5月に伊豆で開催されるエロイカジャパンに先立ち、全3回に分けてその魅力をお届けする。

▼「エロイカ」実走編【前編】はこちらから

70km以上がダート!? ヴィンテージバイクの祭典「エロイカ」本家イタリア実走編【前編】

70km以上がダート!? ヴィンテージバイクの祭典「エロイカ」本家イタリア実走編【前編】

2024年02月17日

人生で指折りのサイクリング体験

トスカーナ地方の美しい朝焼け、これ以上ないイタリアの情景の中を走る。城壁のシエナの街へ入って行き最初のエイドステーション(エイドは全4カ所)は、カンポ広場。世界遺産で地元の焼き菓子をチャージするというぜいたく!

シエナ、カンポ広場でのエイド食は、地元のクッキーなど焼き菓子
スポンサーの飲料メーカーのフルーツジュースなど、イタリアだけに、それぞれ味のレベルは高い

朝のうちはまだ涼しく快適だった。しかしここからが本格的なライドの始まり。ストラーダビアンカ(白い道)というように石灰岩のほこりっぽい土壌。長い区間だと15km以上も続く白いダートは、ライダーの体力&気力を奪っていく。
道の大部分は、農機具のキャタピラーの跡があり、そのわだちは入った瞬間に脳みそが揺らぐような振動だ。

そして、もはやヴィンテージバイクの重いギヤ&細いタイヤでは、乗って上れないレベルのストラーダビアンカの急坂。木陰もない炎天下の中もくもくと押し上る
こちらは、日曜ライドのジョイフルな参加者たち。ミドル&ロングよりコースはハードでないので、笑顔は多め。比較的若者のグループが多い

そんな道を23Cのタイヤで走り抜けるという、ある種エクストリームなバカバカしさがエロイカの本質だ。
絶え間ないアップダウン。最初は美しく見えた丘陵の風景も、その地形が牙をむきデスバレーのように感じられてくる。
急坂のダートでは細いタイヤのトラクションが足らず滑って上れない(かつ往年の男前ギヤで重すぎだし)。しかたなくバイクを押して上る。下りは逆に乗って下れそうもなく押して下る。
乾いたトスカーナの、糸杉の影しかないようなカンカン照りの中を、重い古レーサーを押して歩き続ける。これがエロイカの標語の「疲れることの素晴らしさ」か!?
かつこういう道なので、沿道はパンク修理の連続、旧車なので一緒に走った仲間でもワイヤー切れ、チェーン切れとトラブル続発だ。

沿道でのパンク修理、メカトラブル対応も、風物詩ともいえる光景。通りがかりでチューブを提供したり、工具を貸し借りする助け合いもエロイカの精神

自転車レストア&クロモリバイクカスタム

地域の伝統食、地味な茶色の豆の煮込み。これとパンと生ハムというのが農村の定番
後半のエイドで座り込んで煮込みを食らう。疲労で弱った胃にしみるやさしい味
補給水はワイン。水をくれー
伝統的衣装でサーブする村の女性たち
エロイカで身に染みるのは、舗装路のありがたさ。ストラーダビアンカをひたすら走らされてから舗装路に来ると、その走りやすさに感動すらおぼえる。日本は舗装路ばかりとか文句を言っている人はぜいたく者ですよ

第3から第4エイドステーションまでの後半では、さらに地形は厳しくなる。土ぼこり味のボトルの水もなくなって、グダグダになって進んで行くうちに日も落ちてきた。
夕日に照らされたガイオーレ・イン・キャンティの道路標識を見つけたときは、「やっと終われる」と心底ほっとした。

そして午後5時ゴール!「そして、達成の喜びを再発見しよう」というエロイカ標語後半のオチどおりで、そこには達成の喜びしかない。地獄を味わって天国を見るという見事なコース設計なのだったと走り切って分かった。

人生で指折りのキツいライドだったが、最高のサイクリングとなったのは間違いない。自転車文化を育んだイタリアで往年の走りを体験し「これぞサイクリングの本質」と教えられたような気がした。

ついにガイオーレ・イン・キャンティの標識。長い旅路を経て戻ってこられて安堵
ゴール。ライダーは、それぞれブロンズのメダルをかけてもらい、ゴールのスタンプを押してライドは終了。エロイカとして感無量の達成感を味わう。これが面白さ!

エロイカジャパン2024は5月11日~12日に伊豆で開催!

来年5月の開催で、伊豆では2回目。日本では10回目を迎えるエロイカ・ジャパン。イタリアのカーサ・エロイカでは特別ブースを展開して、伊豆での10アニバーサリー開催を世界にアピール。日本のエロイカビレッジは、伊豆の国市・韮山時代劇場に舞台を移してパワーアップ! エントリー始まってます! 詳細は以下リンクよりどうぞ!

▼Eroica JAPAN 2024(エロイカジャパン2024)の詳細はこちらをチェック

エロイカ日本上陸10周年記念大会! 5月11日、12日に伊豆で開催|応募は2月15日開始!

エロイカ日本上陸10周年記念大会! 5月11日、12日に伊豆で開催|応募は2月15日開始!

2024年02月03日

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PROFILE

ニシヤマ

Bicycle Club / 副編集長

ニシヤマ

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

ニシヤマの記事一覧

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

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