イベント限定、ボルケーノコースに429名が集まった|福島復興サイクルロードレース
Bicycle Club編集部
- 2024年03月30日
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福島復興サイクルロードレース2024シリーズ戦の前哨戦として、サイクリング・ランニングトレーニングプログラムZwift(ズイフト)によるバーチャルレースシリーズのRound8が3月26日(火)の夜におこなわれた。今回はイベントでしかオープンされていないコースの1つ「ボルケーノ・クライム・アフターパーティート」でのレースを、MCをつとめる牛むつみさんがレポート。
福島復興サイクルロードレースシリーズ・バーチャルレース:Round8「福島レース」Presented by ZAELレポート
2月7日からスタートし、毎週夜に開催している福島復興サイクルロードレースシリーズ・バーチャルレース。この全10戦のシリーズ戦は、今回を入れて残り3戦となる。
本日のボルケーノコース第2弾となるZAELプロデュース回、そして最終戦となる4月7日(日)の残り2戦が、一般のズイフターが参戦できるオープンレースとなり、そのレース案内などを福島復興サイクルロードレースの公式からおこなっているSNS発信も、日に日に良い反応が広がっており、今回も多くのライダーが集まりそうな状況であった。
今レースも総勢429名がエントリーというビックレースとなった。
プロデュースを担当するチームZEAからは、ウォルター氏がゲスト解説に加わり、まずはスタート前に今回のレースについてコンセプトを交えてご紹介。「このコースは、イベントだけでオープンする特設コースの1つで、皆さんが比較的なじみのある平坦基調のVolcano flatを2周回し、ラストの3周回目にVolcano KOMに向かって頂上ゴールとなる構成です。アフターパーティーという名のついたコースは他にもありますが、ボルケーノではラストの上りがアフターパーティーとなって、最後が厳しく楽しく、頑張って上っていただければと考えて、このコースを選択させていただきました」とコメント。イメージとしては、福島復興サイクルロードレースで4月20日・21日に開催されるリアルレース「ツール・ド・かつらお」の、もりもりランド登坂に近い感じになるだろう。
世界の強豪選手からも注目されている福島復興サイクルロードレースシリーズ・バーチャルレース
そして先週のレース同様、夜8時オンタイムで127名エントリーのAカテゴリーからスタート、そして1分後に190名エントリーのB、79名エントリーのC、14名エントリーのD、女子Eカテゴリーも19名と各カテゴリーともに多くのエントリーで序盤からダッシュする模様から幕開けした。
解説のKENTA氏によると「スタート前にエントリーメンバーのチェックをしたところ、このバーチャルレースの評判が海外にも広がっているようで日本の強豪勢だけでなく、海外の強豪ライダー上位勢の名前が何人も見受けられてます。そのため平坦からのラスト登坂ではスタートはスローになる傾向ですが、このレースではスタートからスピードが上がりそうですね」と分析コメントするように、特にAやBカテゴリーはアタックの応戦となっている。その中でも、ホストチームとなっているZEALメンバーが積極的に動いている様子を見て「レースを盛り上げてください!ということはチームメンバーにお伝えしていたので、本能のままに上げているようですね!」とウォルター氏もうれしそうにコメントとエールを送っていた。
積極的な走りで盛り上がる各カテゴリー
そんな中、スタートして4kmしか経過していないところからAカテゴリーでは逃げが発生。今バーチャルレースシリーズレースで活躍を見せているS HASHIMOTO選手(ZWC)とS Tatami選手(RICE ON)がアタックし逃げを形成、その後も続々とライダーが集団から抜け出しブリッジ。ZEALのS. RYUTENやSin Matsunaga(ZWC)も追いついて、6.0w/kg近いパワーで集団との距離をキープするために動く。「HASHIMOTO選手やTatami選手あたりはクライマーなので、前半からスプリンター勢に脚を使わせたい思惑もあり、今のうちの早い頃に逃げを決めておきたいのだと思います」とKENTA氏は分析。「他のカテゴリーでも集団が縦長になっていますが、途中で中切れが発生すれば、そのまま逃げを決められるのかもしれないですね」ともコメントするように、各カテゴリーで集団が活性化している。
その言葉を裏付けるように、BカテゴリーではOHTA OGE選手(NICO-OZ)が単独アタックし、集団から最大4秒差を作っている。そんな中、追いかける集団にいるZEALのシゲ選手に中継をつなぐと「い、今ですね、えー、今、(OGE選手を)吸収したところです、あー緊張で心拍が」と心拍が170bpmを超えるなか、一生懸命にコメントしてくれた。
Cカテゴリーでは、Zwiftの中の人でもあるNobu Fukuda選手が単独でアタックし最大4秒差まで逃げ、その後に集団からZEALのY Sil選手、NICO-OZ代表のm.mog選手、そしてフランスから参加のJ.Vetier選手が追ってFukuda選手にジョイント。この動きにより集団が全体的に活性化=スピードアップしたようで中切れが起きてくる。
女子カテゴリーでは12人が積極的に前を行くなかに真岡芳賀ロードレース優勝の古谷桜子も
一方で女子Eカテゴリーでは、12名の集団がローテーションをしながら進んでいる。その中で積極的に前に出る古谷桜子(sakurako furutani)選手は、先週末に栃木県真岡市で開催されたJBCFシリーズ戦「2024真岡芳賀ロードレース」のFクラスタ(女子)レースで優勝の活躍を見せたばかり。前回のバーチャルレースでも活躍し今日も調子は上々のようだ。しかし、集団内には今VRシリーズ戦で結果を出しているNATCHON、N Mari、マーケン社S mayumi、Yunna Takahashi、TMRのYukimi Sawadaなど各選手の姿も見える。
そしてKENTA氏が「Hiro Hiro選手の名前も見えますね……これは廣瀬博子選手ではないですか!」と気づいた。彼女はJBCFレースなど数々のリアルレースで活躍し、女子Qリーグ(クイーンリーグ)では初代・2代目と年間総合ポイントリーダー2連覇に成功した立役者。「彼女はコロナ自粛の期間中、熱心にZwiftトレーニングに勤しんでいたんですよ。そんなコロナで多くの大会やレースが中止になっている中、新潟県内の有志とともにZwiftを使って『ZWIFTバーチャル新潟県選手権』というレースを開催したのですが、その女子クラスでも活躍してくれたんです」と紹介。このKENTA氏主催レースには私も1回参加しており、Zwiftミートアップ機能を使って気軽に参戦できる本格的なレースなうえに、このVRレースのように中継実況配信もおこない、さらには優勝選手へ後日、主催から新潟県の名産品などリアルな賞品を郵送で授与され好評を博していたのを記憶している。このレースの模様は以下のバイシクルクラブWEBのほか、のちに経新聞にも掲載された。
ZWIFTバーチャル新潟県選手権レースインフォ
主催者ZEALはZwifters Enthusiastic About Lifeの略、ライド中継でも盛り上がった
さてAカテゴリーでは10km地点を越えて、新たな動きが。HASHIMOTO、Tatami、Matsunagaの日本勢にウガンダから参加のWasswa Peter選手(MASAKA)が加わり4人の逃げが形成。集団に最大7秒の差をつけていくが、この集団からフランスから参加のMickael Plantureux選手(HEX)が8.0w/kg以上で一気に踏み合流。「このHEXAGONE(=HEX)も強豪チームなのですが、ウガンダのPeter選手が所属するMASAKAというチームも、10代や20代を中心とした若手ライダーが強いチームなんです」とKENTA氏が解説。
一方、Bカテゴリーでは、ZEALのV.ベジータ選手がアピールしながら先頭アタック、そのタイミングでウォルター氏からチームの始まりを伺うと「2020年に先発の日本コミュニティーの活躍に憧れ、自分たちもチームを作って楽しみたい!という思いで、私を含めた創設メンバー4人が集まり、また当時は珍しかったZwift中継のYouTube配信をシゲ選手がおこなっておりまして、声掛けして合流したのが始まりになります」という。
その後、チーム名をZEALとし、しばらくは創設メンバーのみで活動してましたが、YouTubeやSNSを通じて、徐々に人数が増えてきたそうで、「チーム名の由来は、Zwifters Enthusiastic About Life(ズイフターズ・エンシュージアスティック・アバウト・ライフ) の頭文字をとったもので、人生を熱く生きろ!といったメッセージが込められており、ZEAL単体で熱意という意味もあります!」という熱い思いを込めたチームとしての活動をおこなっている。
毎週金曜日に20時から、30分前後のコースをチョイスした公式レース「ZEAL Japan Friday Race」を開催し、カテゴリー別にYouTube配信も実施。さらに当日、シゲ選手も着用していたチームジャージを、2022年8月にイラストレーターのヒトミン氏監修で製作するなど、リアルの世界にも活動を広げているようだ。ここでもバーチャルをきっかけにしてリアルにも仲間の輪が広がっているのはうれしいし、この事例を今後も参考にしながら、皆さんも今時のテクノロジーを活用した自転車レース仲間集めをしていただきたいと考えている。
今回、Bカテゴリーで参戦するZEALのシゲ選手がライド中継を行なった。
スタート前には「レース中にツラいときは喋れない感じになったりするので、いろいろイジってもらって大丈夫です!」と言っていたが、その模様をお伝えしながらメイン画面に映ると、Zwiftの画面内のアバターが、そのままシゲ氏自身に置き換わって実際の走行が見られるようになっていた。
そのシゲ選手がワトピア・ボルケーノを走る際、「も、もう喋れないです」と心拍170bpm以上のまま必死に走りながらライブ配信を行った。
CカテゴリーはZEALメンバーを中心に前を引きつつ、KENTA氏が冒頭で予見していた「集団の中切れ」を起こして、20名弱まで人数を減らしながらも集団のペースは3.5から4.0w/kgまで上がっている状況。女子Eカテゴリーでは、nya nya選手が強力に引いて集団が10名までに減らして、しばらくして17km地点を通過するころには、台湾から参加のS.幸福小狗倶楽部選手(CDT)が先頭に出て揺さぶりをかけ出した。Dカテゴリーでは、先頭に海外勢4名が逃げており、その後ろを約40秒のタイム差で日本のmamoru punch選手が単独で追う形となっている。
AカテゴリーはD.Sasaki選手が頂上フィニッシュを制した
21km地点を過ぎたAカテゴリーでは、S.Matsunaga選手(ZWC)が単独アタック。「松永選手は昨年開催の、Zwift第3回・最速店長選手権で、ずっと逃げ続けていた選手なんです。その最後、私がゴールスプリントで何とか追いつき刺して勝ったのですが、5倍から6倍(w/kg)を維持して踏み続けられる、いわゆる『逃げ屋』で相当強いので、このまま登坂入口まで逃げ切ってしまうかもしれない」とKENTA氏が走りを分析。
そして25km地点で、中国から参加のCerebellar Tiger選手と、ウガンダのPeter選手の2名がアタック。その後、いったん集団が1つにまとまったところ、いよいよアフターパーティーの登坂ボルケーノKOMに入る前の32km地点でHASHIMOTO選手が単独でアタックし様子見、そして再び集団30名ほどとなって、続いてZEALのS. RYUTEN選手がアタック、その動きにつられるように集団がペースアップ。36.5km地点からスタートするアフターパーティーのボルケーノKOMには大集団でなだれ込んだ。登坂の序盤はEMUのShimo選手とA.Manabe選手が7.0から8.0w/kgでアタックし先頭を強力に引く様子に「昨年のツール・ド・おきなわを彷彿とさせるアタックです!」とKENTA氏。さらに途中の傾斜が緩む箇所で集団が中切れし20名ほどが先行。
この後、40km地点でJun HONDA選手(NICO-OZ)が一気にアタックし、その動きに反応できたD.Sasaki選手が猛追。HONDA選手を抜き去り、最後の頂上ゴールのゲートへ単独ゴール。KOMのトップタイム5分46秒を叩き出してAカテゴリー優勝も決めた。その後、2位にTiger選手、3位にPlantureux選手が入り、HONDA選手は4位でのゴールとなった。
最後がきつい頂上ゴール、各カテゴリーのフィニッシュは?
Bカテゴリー Bongi選手が逃げ切り優勝
BカテゴリーもボルケーノKOMへ集団で突入し、その中からEMUのF.Reya選手が単独アタック。猛烈に集団のスピードが上がる中、シゲ選手は集団か千切れてしまいGAME OVER。「他のZEALメンバーに託したいと思います」とフラフラになりながらも完走を目指す。一方、先頭では38km地点からポルトガルのJoao Mariano選手と日本のSan Bongi選手の2名がアタックし逃げを形成。この2名にNICO-OZのOGE選手が単独で追いつき、さらに追いこして頂上を目指す。後方集団と6秒ほど差をつけて、残り300m地点からBongi選手がアタック! そのまま逃げ切って優勝を決めた。2位にMariano選手、3位には後方集団から抜け出したK.Matsumoto選手が入った。
Cカテゴリー A Shota選手、Max Singer選手が2位争い
CカテゴリーはNICO-OZのI.Blackmore選手を先頭にアフターパーティーのKOMに入り、この動きで20名ほどだった集団が半分に割れて10名ほどに。その中にはZwiftのFukuda選手の姿も。その後、中国の小 白選手(RZFC)が単独でアタックし、後続に20秒以上のタイム差を付けて逃げ、その後を数名が追いかけるも逃げ切って優勝を獲得した。2位にはA Shota選手、3位争いは2名となりMax Singer選手が獲得、ZEALのKoala YOSHIDA選手は果敢にラストで追いかけたが惜しくも4位となった。
女子EカテゴリーはNATCHON選手、Mari選手が熾烈な2位争い
女子Eカテゴリーは、アフターパーティーに入る地点の前に、台湾の幸福小狗倶楽部選手が27秒という大きな差を付けて単独で先行。追う集団は8名となる。この状態でKOMの上り口に入りながら、集団は必死で逃げる幸福小狗倶楽部選手を追う。まずN Mari選手が集団から抜け出して追いかけ、さらに頂上付近ではNATCHON選手が追いかけるも、あと6秒という差で幸福小狗倶楽部選手が優勝。NATCHON選手は2位となった。3位にはMari選手が入り、KOMトップタイムは7分46秒でNATCHON選手がボルケーノのQOM(クイーン・オブ・マウンテン)となった。
DカテゴリーではKOMで、後続に1分近いタイム差をつけて単独先行していたDIRK Team GEVEN/GIANT選手が優勝、2位にはポルトガルのRui Gouveia選手、3位にGonçalo Alcântara選手と2位と3位がポルトガルの選手が占めた。なお日本のmamoru punch選手はトップと2分差という健闘で4位完走を果たした。
ライド中継していたZEALのシゲ選手も無事完走
ZEALのシゲ選手はBカテゴリーで無事に完走。中継画面でボルケーノの頂上からの美しい星空を眺めながら「積極的にアタックかかってすごかったです。今回のコースは上りの頂上ゴールということで、クライマーが強いかな?とも思っていたのですが、道中が短いのでスプリンターがクライマーを落としにくるのか、クライマーがかけまくってスプリンターを落とすか? どちらのパターンになるか分からなかったので、緊張しながら走っていたのですが……普通に千切れてしまいました」とコメント。しかし中継で笑いを取りながら配信を楽しませてくれたシゲ選手は、そのままボルケーノの下りを走ってクールダウンへと入って行った。
ツール・ド・かつらおでは限定10人の無料民泊体験
なおレース配信の締めには、今回のレースイメージの1つとなった「ツール・ド・かつらお」の宿泊体験の募集も案内。こちらはレースがおこなわれる4月20日にレース参加後から1泊、葛尾村の民泊を無料で体験できる企画で、受け入れ先のお宅からレース会場に送迎があり、さらに夕食は地元で「普通でオーダーしても超大盛りで、しかもおいしい」と評判の石井食堂のお弁当付き。10名さまの限定プランなので、気になった方はお早めに問い合わせと申し込みを。
ツール・ド・かつらおについてはこちら
https://web.tour-de-fukushima.jp/event_top/katsurao-top
ツール・ド・ふたばではスマートコーチングによるスクールも開催
また、4月27日・28日には1泊2日の合宿形式で「サイクルスクールふたば」を大熊町と双葉町で開催。こちらはスマートコーチングでおなじみの安藤隼人氏による指導で、公道を利用した実戦走行レッスンだけでなく座学やロングライド、さらには交流会も実施。参加費は1万円+宿泊費7千円と、かなりお得なプランになるので、こちらもお早目のお申し込みを。
ツールドふたばについてはこちら
バイシクルクラブYouTubeチャンネルではアーカイブ放送
次回は4月2日(火) Round9「チーム対抗ファイナルレース」
次回の福島復興サイクルロードレースシリーズVRは、来月4月2日の火曜日。レーススタートは夜8時。その30分前の夜7時30分からYouTube配信をスタートのRound9「チーム対抗ファイナルレース」。こちらは今レースシリーズ企画に協力する日本の7つのZwiftチームから、それぞれライダーを6名選出して戦うチーム対抗戦となるので、一般のオープン参加はないが、配信観戦で楽しめる内容となっている。プロデュースはEMU SPEED CLUBで、コースはマクリ島にある、日本の夜のネオン街をイメージした「Neokyo Crit Course(ネオ京・クリット・コース)」。近未来なサイバーパンクの世界を感じながら走るレースをぜひ、皆さん観戦を楽しみにしていただければと思います。
4月2日(火) Round9 JAPANクラブチーム対抗レース
→視聴はこちら
4月7日(日) Round10 EMU SPEED CLUB プロデュース オープンレース
→エントリーはこちら
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