パリ五輪出場を目指す橋本英也が東日本ロードの集団スプリントを制す!|Jプロツアー
Bicycle Club編集部
- 2024年04月21日
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4月20日から21日の2日間にかけて、群馬県みなかみ町にある群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキットで第58回JBCF東日本ロードクラッシックが開催。Jプロツアーのレースは2日間共に開催され、2日目となる21日は6kmのコースを10周する60kmのレースとして開催された。
レースは昨日同様逃げを決めたい選手たちがアタックを仕掛けるものの、レース距離が短いことや昨日のレースでの疲労もあってか逃げらしい逃げができず、最後まで集団一つの展開に。最後はチームメートのアシストを受けてスプリントを開始した橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が余裕を感じさせるスプリントで、チームにとって今シーズンのロードレースでの初優勝を挙げた。
逃げらしい逃げができなかったレース前半
4月20日から21日の2日間にかけて、群馬県みなかみ町にある群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキットで第58回JBCF東日本ロードクラッシックが開催。
Jプロツアーのレースは2日間共に開催され、2日目となる21日は6kmのコースを10周する60kmのレースとして開催された。
昨日のレースは午後からのスタートとなっていたが、2日目のレースは10時45分にスタート。
昨日から2名減り、131名でのスタートとなったレースでは昨日同様にレース序盤からアタック合戦に。
昨日の優勝者である金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)やシマノレーシング、ヴィクトワール広島の選手たちが積極的にアタックを仕掛けるものの、レース距離が短いこともあってか集団が逃げを容認する展開とはならず、レース距離を消化していく。
2日間に渡って積極的なレースを展開していたシマノレーシング勢としては「前半組と後半組に分かれて、スプリントを狙える僕と中井選手、大仲選手、石原選手が待機し、それ以外のメンバーが積極的にアタックすることを狙っていました」と、チームを代表してネクストリーダージャージを着用する寺田吉騎が今日のレースの狙いを教えてくれた。
マトリックスパワータグによる集団コントロールでのレースとなったレース後半
レース後半に入っても逃げが決まらない中、マトリックスパワータグが集団先頭を固めてレースをコントロールし始める。
マトリックスパワータグの小林 海(は「今日はヨシオ(アレクサンドロス・アグロティス)のスプリントだけを狙って、後半はチームで先頭固めてレースをコントロールしていました。平坦や下りはコントロールしたいチームがいればそこは無理はせず、でも上り区間はチームでコントロールして自分たちが有利になるようにペースアップを図っていました。ヨシオは上りもこなせるスプリンターなので」とチームの戦略としてコントロールすることを選択していたという。
「他のスプリンターチームみたいにトレインを組んでスプリントができるほどうちのチームにはスピードがないので、各チームのアシスト陣が消耗した中で混戦のスプリントに持ち込めればなと」と小林は語る。
この動きによってチームとして狙いどおりの動きができなかったのはシマノレーシング。
「マトリックスさん、特に(小林)マリノさんがすごい強かったです。マンセボ選手も大事な場面でしっかりと集団先頭に上がってきて、他のチームがアタックできるようなペースでは全くなかったです。マトリックスさんの流れに乗る形でBSさんや愛三さんも前に上がってきて、そういった展開になると集団スプリント以外の展開はなかなか難しいですね」と寺田は語る。
一方、集団スプリントを狙うレースで主導権争いをするチームとして名前が挙がるのは、チームブリヂストンサイクリングと愛三工業レーシングチームの2チームであることが多いだろう。
このレースで集団スプリントを制したチームブリヂストンサイクリングの橋本英也は「平坦コースではないこともあってチームとしては主導権を争うような展開にはせず、マトリックスさんのコントロールのおかげで良いレース展開になったので、感謝しています」とこのレースではあえて主導権争いをしなかったと言う。
愛三工業レーシングチームの岡本 隼も「マトリックスのコントロールに対抗して心臓破りで勝負するようなことはせず、上り区間は石上選手と西尾選手に任せて。その他のメンバーはしっかりとスプリントする力を溜めて勝負することを選択していました」と、チームブリヂストンサイクリング同様に主導権争いはしなかったと言う。
マトリックスパワータグのペースコントロールが、特に上りでのペースが速かったためか、残り2周の心臓破りの上りでマトリックスパワータグと宇都宮ブリッツェンの選手たちが少し抜け出すような形に。
ただ、小林はこの動きも狙った動きではなかったと言い、「このタイミング以外でも心臓破りの上りで抜け出ちゃうことはあって。でもその後の平坦や下り区間で追いつかれちゃうんですよね、このコースだと」と小林の言うとおり、最終周回に入ると集団は再び1つにまとまる。
最後はパリ五輪出場を目指す橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)がスプリントで圧勝を見せる
集団が最終周回のバックストレートに姿を見せると、中切れのような形で少し集団が割れた状態に。
15名ほどの集団ではチームブリヂストンサイクリングや愛三工業レーシングチームの選手たちが枚数を多く残しているように見受けられた。
バックストレートでは先頭にチームブリヂストンサイクリングの選手の姿が見えていたが、最終コーナー手前では愛三工業レーシングチームの初川と草場が先頭に。
いつもなら草場の後ろに岡本が控えているはずが、そこに岡本の姿はなく、草場の後ろにはチームブリヂストンサイクリングの今村、橋本の姿が。
「最終周回のバックストレートに入る手前の区間で少しコースアウトしてしまって、それでチームメートとはぐれてしまって。石上や初川も前に残っていたので、それがなければ草場の後ろからスプリントするいつもの優勝パターンに持ち込めたのではないかなと、悔しいです。草場の後ろにうまく入ることができなかったので、BSトレインの後ろに入ってスプリントしました」と岡本が語るように、岡本の姿は橋本の後ろに。
いっぽう、「最後のゴールに向けたはチームメートたちが素晴らしアシストをしてくれて。自分がスプリントを開始するまではほとんど力を使わずに走ることができたので、チームメートには感謝しています」と語るように、チームメートの完璧なアシストから発射された橋本は、「スプリントはかなり余裕がありました」と語るほど圧倒的なスプリントで集団スプリントを制し、チームとして今シーズンのロードレースでの初優勝を飾ることとなった。
最終周回の途中までは完璧なレースを展開していたマトリックスパワータグだが、最終局面では狙いどおりの動きを見せることができなかった。
「10周回中8周回で僕が先頭でペースを上げてしまって、それでかなり力を使ってしまっていました。少しやりすぎたかな、チームメートも消耗させられてたぞってレース後にみんなで話をしていて……」と小林が語るように、スプリントを任されたアグロティスは8位に入るのが精いっぱいという結果に。
それでも小林は前向きなコメントを残す。
「昨日のレースでは結果的には2位、3位が取れましたが、内容は全く良くなくて。今日は勝つためのレースを作っていこうと話をしていました。結果にはつながらなかったけど、良いレースは作れたかな。僕個人としてはTOJしか狙っていませんが、チームとしては来週以降も勝ちは狙っていく、TOJまではみんなのアシストができればなと」
惜しくも2位となった岡本もこの2日間のレースでは手ごたえを感じられたようだ。
「昨日は逃げたにも関わらず最後もしっかり着に絡むことができて、今日もミスはありながらも2位に入ることができたというのはチームとして成長できている証だと思うので。この調子を維持してまた優勝できれば」
「国内チームはどこも熊野やTOJに向けて追い込んでいる時期だと思いますが、その中で目立つ走りがをできたのは良かったかな。自分自身どこまでやれるのか楽しみですし、28歳というベテランの域に入りつつある中でもしっかりと結果を残せるように。UCIレースではもちろん勝利を目指しています」
寺田も1つ1つしっかりと勝利を手にしていきたいと言う。
「翌週の西日本ロードクラシックでは個人としてはネクストリーダージャージをしっかりと守れるような走りをしたいですし、チームとしても優勝をできるような走りをしたいなと思います。5月に開催される熊野やTOJはチームとしてもとても大事なレースですし、チーム内ではメンバー選考もありますが、レース規模の大小関係なく、1つ1つのレースをしっかり勝っていくことがその先につながっていくと考えています」
手ごたえを感じた橋本英也
優勝した橋本はパリ五輪に向けてこちらも手ごたえを感じられたようだ。
「直前までコンディションは本当に良くなくて、個人的には完走すらできないんじゃないかと疑うぐらいでした。それでも優勝できたのは、パリ五輪に向けての練習の成果だと思います。パリ五輪までもうすぐなので、メダルを獲得できるように最後まで頑張りたいと思います」
翌週には兵庫県の播磨中央公園にてJBCF西日本ロードクラシックが、さらに5月にはツール・ド・熊野やツアー・オブ・ジャパンといった国内UCIレースが続く。
この2日間しっかりと結果を残せたチームがそのまま勢いに乗っていくのか、それとも今シーズンまだ勝利がないチームが勝利を手にするのか、これからの動向に注目したい。
リザルト
1位:橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) 1時間22分15秒
2位:岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +0秒
3位:今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) 同
プロリーダージャージ
岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
ネクストリーダージャージ
寺田吉騎(シマノレーシング)
レースの模様はGCTVで配信
- BRAND :
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- CREDIT :
- 編集◎バイシクルクラブ編集部 文と撮影◎三井 至
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