ラドマンがUCIレース初勝利!寺田がポイント賞獲得|ツアー・オブ・ジャパン美濃
Bicycle Club編集部
- 2024年05月23日
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5月19日から26日にかけての8日間・8ステージにて開催されているツアー・オブ・ジャパン2024。大会4日目となる22日は岐阜県美濃市にて第4ステージとして美濃ステージが開催された。この日も山岳賞ポイントを狙う中井唯晶(シマノレーシング)が積極的な走りを見せて4名の逃げを形成し、この4名から最後まで残ったジョシュア・ラドマン(オーストラリア、セント・パイラン)と山本哲央(日本ナショナルチーム)が逃げ切る形に。最後は山本の後ろからスプリントしたラドマンがマッチスプリントを制し、自身初となるUCIレース優勝を飾った。また、3位争いの集団スプリントで5位に入った寺田吉騎(シマノレーシング)が中間スプリントで獲得したポイントと合わせてポイント賞の総合で逆転し、ポイント賞ジャージを獲得した。
江戸時代の面影を残す美濃ステージのスタート地点
5月19日から26日にかけての8日間・8ステージにて開催されているツアー・オブ・ジャパン2024。大会4日目となる22日は岐阜県美濃市にて第4ステージとして美濃ステージが開催された。
前日の予報では終日曇り予報となっていた美濃市だが、朝から晴れ間が見える天候に。朝こそ少し肌寒さを感じる瞬間もあったものの、選手たちがサインオンを迎える頃には気温も上昇。絶好のレース日和の中でのレースとなった。
美濃ステージのスタート地点は江戸時代の面影を残す「うだつの上がる町並み」。TOJ全8ステージの中でも屈指のロケーションを誇る美濃ステージのスタート地点には多くのファンが集まった。
この日も中井唯晶が逃げを決め、山岳賞ポイントを稼ぐ
レースは9時15分にスタートすると、リアルスタート直後からこの日もアタック合戦に。序盤に4名の逃げが決まりかけるものの、中間スプリントを狙うチームの動きなどもあり、4名は集団にキャッチされる。
集団は一つのまま2周回完了時に設定された中間スプリントポイントを迎えると、チームメイトのアシストを受けた寺田吉騎(シマノレーシング)が1着で通過。2着にはクドゥス・メルハウィ(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム)が、3着にはジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO)が入る。
さらにこの動きから中井唯晶(シマノレーシング)がアタックし、この動きに続いた山本哲央(日本ナショナルチーム)やジョシュア・ラドマン(オーストラリア、セント・パイラン)、モハマド・ヌル・アイマン・モフド・ザリフ(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)の合計4名による逃げ集団が形成される。
4名の逃げはメイン集団に対して2分以上にまでタイム差を広げて1回目の山岳賞ポイントを迎えると、一昨日、昨日に続いてこの日も中井が1着で通過。2着はモフド・ザリフ、3着は山本という順に。
一方、メイン集団は総合リーダーチームであるJCL TEAM UKYOが石橋学を先頭にコントロールし、レースは進んでいく。
最後まで逃げ切った二人でのマッチスプリントをジョシュア・ラドマンが制す
先頭の4名とメイン集団のタイム差は2分20秒から30秒程度でコントロールされ、この時点では中井がバーチャルリーダーに。2回目の中間スプリントを中井、アイマン、山本の順で通過すると、この周回でラドマンがメカトラで少し遅れる場面も。
ラドマンが遅れた状態で2回目の山岳賞ポイントを迎えると、ここでも特に争うような動きは見せず、1回目同様中井、モフド・ザリフ、山本の順で通過する。
2回目の山岳賞ポイントを終え、メイン集団先頭にはJCL TEAM UKYOだけでなく愛三工業レーシングチームやキナンレーシングチームも加わり、ペースを上げていく。
ラドマンが先頭に復帰すると、中井、モフド・ザリフが先頭から千切れ、先頭はラドマンと山本の2名に。残り2周のタイミングで1分10秒程度までタイム差を縮め、1周あたり1分ほどタイム差を縮めてきたことでこの時点では大集団スプリントになることが想定される展開に。
しかし、このタイム差を頂点にタイム差は再び広がりを見せ、上り口である残り7km地点では1分45秒にまでタイム差が広がる。上り区間でメイン集団がタイム差を縮める動きを見せるものの、時既に遅し。先頭の2名がホームストレートに姿を現すと、後ろにはメイン集団の姿が見えるもののラドマンと山本の逃げ切りが確実に。
山本が先頭で残り300m地点を切って、ラドマンがスプリントを開始。山本は追いすがるものの横に並びかけることができず、ラドマンはチームロゴをアピールしながらフィニッシュを迎える。最後は両手を大きく上げながらウィニングポーズを取り、ラドマンが自身初となるUCIレースでの優勝を飾った。
一方、メイン集団も29秒差まではタイム差を縮め、集団の先頭は窪木一茂(日本ナショナルチーム)が獲ると、リース・ブリットン(イギリス、セント・パイラン)、寺田吉騎(シマノレーシング)、マッテオ・マルチェッリ(イタリア、JCL TEAM UKYO)の順でフィニッシュ。
寺田は中間スプリントで獲得したポイントとこの日の着順で獲得したポイントを合計し、わずか1点ではあるもののジョバンニ・カルボーニを逆転し、ポイント賞ジャージを獲得した。
「この勝利が自身として初のUCIレースでの優勝になった」ジョシュア・ラドマン(オーストラリア、セント・パイラン)のコメント
ステージ優勝を挙げたラドマンは「メカトラで遅れる場面もあったけど、何とか先頭に復帰することができた。GC(個人総合)で逆転の可能性がある選手が先頭から遅れたことで逃げ切りのチャンスがあるかなとは思った。」と逃げ集団の中でのレースを振り返り、「日本ナショナルチームの選手は良いスプリンター揃いだと聞いていたので、(山本と)二人になった時は少しナーバスにはなっていたけれども、(山本が)上りで苦しそうにする場面もあったので、これはチャンスがあるかなと思った。スプリントでは残り20mで差が開いたので、そこで勝利を確信した。」とレース終盤を振り返る。
UCIレースはこれが2度目の参戦だというラドマンは「これがUCIレースでは初めての優勝になった。」と言い、「明日の信州飯田や明後日の富士山はかなりハードなレースになると思う。チームとしてはその後の相模原でまた優勝を狙えればと思う。」と後半戦の目標を語ってくれた。
また、ラドマンはまだU23の若手選手。今後の目標を伺うと、難しい質問だねとい言いながらも「クラシックレースや小集団で勝利が目指せるような選手になりたい。」と回答してくれた。
「レースプラン通りのレースが出来た」寺田吉騎(シマノレーシング)のコメント
「この日はレースプラン通りのレースが出来ました。」と言う寺田は、「スタート時点でカルボーニ選手とは13点差、マルチェッリ選手とは5点差。まだ十分ポイント賞ジャージを狙える位置にいて、中間スプリントをしっかり獲った上でフィニッシュをマルチェッリ選手より先着できればジャージを獲れると考えていました。序盤4名の選手が逃げた時は入部さんがペースを上げてくれて捕まえることができ、さらに中間スプリントでも入部さんがアシストしてくれて、そこでしっかり1着が取れました。」と最初の中間スプリントを振り返る。
「あとはフィニッシュでマルチェッリ選手よりも前、かつ上位で入ればジャージが獲れるなと思っていて、フィニッシュではしっかりとその通りに入ることができたので、本当に良い1日になりました。」とポイント賞ジャージ獲得を喜ぶ寺田は、「明日以降もポイント賞ジャージをキープできるように、上位に入るのは難しいと思いますが、少しでもポイントを稼げたら。」とジャージキープをしていきたいと語ってくれた。
「ジャージはキープ出来たが悔しいステージにはなってしまった」中井唯晶(シマノレーシング)のコメント
「中間スプリントで集団が縦に伸びたタイミングでアタックしました。中間スプリントまでの動き含めてチームが完璧に機能したことで今日も逃げを作ることができました。」と言う中井は、「逃げ集団ができてからはペースで走って。他の選手たちが山岳賞ポイントを取りにいくような動きもなかったので、そこは淡々と。」とこの日も山岳賞ポイントをしっかり獲得できたと語る。
タイム差が2分差まで広がり個人総合では途中バーチャルリーダーとなった中井だが、「逃げ集団に残っていれば逃げ切り、総合リーダーという可能性もたしかにあったのかなと。ただ、たらればの話をすると悔しくなってしまうので・・・」と言いつつ、「僕が遅れたことでメイン集団が追うのをやめたのかな、結果的に2名が逃げ切れたのかなと思います。」とレース終盤を分析する。
明日の信州飯田ステージでは1級山岳ポイントが3回されている。昨年のTOJでも信州飯田ステージをきっかけに山岳賞争いが激化する形となった。「明日はかなり厳しいステージになると思います。1回目のポイントで何とか絡むことができれば、1着を取って完走出来れば合計32点になる。そこまでいければ山岳賞ジャージを最後までキープできる可能性がかなり高くなるのかなと思います。」と中井は明日の信州飯田ステージに向けた目標を語ってくれた。
「チームとして完璧な仕事をしてくれた」シマノレーシング野寺監督のコメント
2回目の山岳賞ポイントを中井が1着で通過した後、シマノレーシングのチームカーでは大きな歓声が上がった。野寺監督は「今日、山岳賞ポイントを2回1着で通過できれば山岳賞争いでかなり有利な位置につけるかな、そういう話をチームではしていました。序盤から中井がアタックしても決まらず、チームとしてすごい見られているなというのは感じて。4名の逃げができた時には今日はかなり厳しいかなと思ったけど、入部が本当に良いアシストをしてくれて、この動きから寺田の中間スプリント、中井のアタックにつなげることができました。まさにチームとして完璧な仕事ができたかなと思っていて、2回目の山岳賞ポイントをしっかり獲得したタイミングで喜べる時は喜ぼうということで。」とあの喜びのシーンを振り返る。
「昨日のミーティングで寺田がポイント賞ジャージを狙いたいという話をしていて、今日まさにその動きでジャージを獲得することができ、これ以上の日はないなと思います。」
一方で明日の信州飯田ステージ、明後日の富士山ステージはかなり厳しいステージになることが予想される。2枚のジャージキープに向けて伺うと、「明日、明後日はかなり厳しいステージになると思いますし、チームの真価が問われるステージになるだろうと。ジャージキープはもちろんのこと、前半活躍を見せてくれた中井、寺田以外のメンバーの活躍にも期待したいです」というコメントが返ってきた。
明日の信州飯田ステージから個人総合に向けた本格的な勝負が始まる。今年のTOJはいなべステージで総合が動き出す展開となったが、信州飯田、そして富士山でどのような結果となるのか注目いただきたい。
リザルト
第4ステージ・美濃ステージリザルト
1位:ジョシュア・ラドマン(オーストラリア、セント・パイラン) 3時間6分21秒
2位:山本哲央(日本ナショナルチーム) +0秒
3位:窪木一茂(日本ナショナルチーム) +29秒
4位:リース・ブリットン(イギリス、セント・パイラン) 同
5位:寺田吉騎(シマノレーシング)
6位:マッテオ・マルチェッリ(イタリア、JCL TEAM UKYO)
7位:レイモンド・クレダー(オランダ、キナンレーシングチーム)
8位:橋本英也(日本ナショナルチーム)
9位:今村駿介(日本ナショナルチーム)
10位:モハンマド・ヌル・アイマン・ロスリ(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
美濃ステージ終了時点個人総合成績
1位:ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO) 9時間1分59秒
2位:アナトリー・ブディアク(ウクライナ、トレンガヌサイクリングチーム) +15秒
3位:カーター・ベトルス(オーストラリア、ルージャイ・インシュアランス) +18秒
4位:ドリュー・モレ(オーストラリア、キナンレーシングチーム) +19秒
5位:ザッカリー・マリッジ(オーストラリア、チームブリッジレーン) +41秒
6位:マックス・ウォーカー(イギリス、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) +1分37秒
7位:ライアン・カバナ(オーストラリア、キナンレーシングチーム) +1分40秒
8位:寺田吉騎(シマノレーシング) +1分42秒
9位:山田拓海(シマノレーシング) +1分47秒
10位:クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム) +1分49秒
個人総合リーダージャージ:ジョバンニ・カルボーニ(イタリア、JCL TEAM UKYO)
ポイント賞ジャージ:寺田吉騎(シマノレーシング)
山岳賞ジャージ:中井唯晶(シマノレーシング)
新人賞ジャージ:ザッカリー・マリッジ(オーストラリア、チームブリッジレーン)
大会公式サイト https://www.toj.co.jp
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