絶対女王與那嶺が7度目のタイトル!男子U23は寺田が勝ちパターンで制す|全日本選手権
Bicycle Club編集部
- 2024年06月22日
6月22日(土)、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで全日本自転車競技選手権大会ロードレースの男子U23と女子エリート+女子U23が開催された。
前日の荒天から一転し、当日は晴天に恵まれ、夏の暑さも感じられる中でのレールとなった。女子エリートでは與那嶺恵理(ラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディ)が木下友梨菜(ベルマーレレーシングチーム)とのマッチスプリントを制し、7度目のタイトルを獲得。女子U23では、エリートでも3位に入賞した石田唯(早稲田大学)がタイムトライアルと合わせて2冠を達成。男子U23では、寺田吉騎(シマノレーシングチーム)が勝ちパターンのロングスパートを決めて優勝した。
男子U23 – 地元静岡出身の寺田が得意なロングスパートで勝利
ロードレースは、タイムトライアルとは異なり、日本競輪養成所の敷地内を通る1周8kmのコースで行われ、男子U23はこのコースを14周する112kmのレースとなった。
スタートラインには、昨年の覇者であり、TTとの2冠が期待されるの鎌田晃輝(JCLチームUKYO)を先頭に、昨年2位の津田悠義(NIPPO・EF・マルティーグ)、昨年のTT覇者で現在JプロツアーのU23リーダーである寺田吉騎(シマノレーシングチーム)など、注目選手を含む総勢121名が並び、8時にレースがスタート。
スタート後はアタック合戦とはならず、遅れる選手もほとんど出ずに、集団は一塊のまま進行。山里一心(早稲田大学)が少し飛び出した状態でレースは2周目に入っていく。
2周目には集団から動く選手も出てきて、林伶音(アヴニールサイクリング山梨)と矢萩悠也(京都産業大学)が集団から飛び出すもののすぐに吸収。しかし、3周目に岡崎一輝(マトリックスパワータグ)、佐藤光(チームサイクラーズ・スネル)、菅原聡(アヴニールサイクリング山梨)、渡辺一気と山田潤(ともに京都産業大学)、清水稜太郎(明治国際医療大学)という比較的強力な6名の逃げが形成された。
集団からは藤本怜(日本大学)と池田悠生(日本体育大学)がブリッジをかけるべく追走するが、集団から30秒ほど飛び出したにとどまり、ペースが上がった集団に吸収。
逃げと集団のタイム差は最大で1分半まで広がったが、先頭は岡崎や佐藤が飛び出す場面も多く、協調が取れているとは見えない状態が続き、集団とのタイム差も縮まったり開いたりを繰り返した。
レースが動いたのは8周目だった。津田らのペースアップにより逃げを一気に吸収。
そして、9周目には津田のチームメイトである島崎将男(NIPPO・EF・マルティーグ)がアタック。
この動きを普段Jプロツアーでは同じチームで走る佐藤愛祈(弱虫ペダルサイクリングチーム)がフォローし、集団までは1分のタイム差をつけるものの、佐藤愛祈は島崎についていくことができずドロップ。
集団からは追走をかける動きで、序盤の逃げにも乗った佐藤光が再びアタック。
この動きが呼び水になったのか、ペースアップにより集団はかなり人数を減らした。11周目には追走の佐藤光と逃げの島崎を吸収し、13名の集団が形成され、さらに佐藤光の揺さぶりなどにより12周目には以下の7名に絞り込まれた。
- 鎌田晃輝(JCLチームUKYO)
- 寺田吉騎(シマノレーシングチーム)
- 佐藤光(チームサイクラーズスネル)
- 森田叶夢(京都産業大学)
- 宇田川塁(法政大学)
- 林原聖真(明治大学)
- 松井丈治(立命館大学)
ここからは決定的なアタックなどは決まらず、一時期、宇田川や森田が遅れかけた場面もあったが、この7名のまま最後の勝負へ。そしてここで勝負を決めたのは寺田だった。ゴール前のけん制がかかったゴールへの登りで得意のロングスパートを仕掛けると、ロングスパートに対応できる選手はおらず、寺田は後ろに3秒の差をつけてゴールへ飛び込んだ。
2位争いのスプリントでは鎌田が先着し、3位には松井が入った。
寺田は「優勝だけを目指して走っていた。有力選手が行ったら追いかけて粘って自分の得意な展開に持ち込めた」と語った。
寺田は地元静岡県出身の22歳。高校卒業後フランスで活動し、昨年シマノに入り、全日本選手権U23タイムトライアルでチャンピオンに輝いた。今年はシーズン序盤からJプロツアー志布志クリテリウム、富士クリテウムチャンピオンシップ、西日本チャレンジサイクルロードレースなどで勝利を量産。ツアー・オブ・ジャパンではポイント賞を獲得したもの記憶に新しい。昨年の国体スクラッチチャンピオンという経歴を持つ寺田の次なる目標は、9月の全日本トラック。「トラックでも活躍してナショナルチームに入り、オリンピックを目指したい」と今後の目標も語ってくれた。
女子エリート+女子U23 – オリンピック代表の絶対女王與那嶺が7度目のタイトル、石田が2冠達成
男子U23の興奮冷めやらぬ中、午後は女子エリート+女子U23のレースが8kmのコースを11周する88kmで行われた。
スタートラインにはディフェンディングチャンピオンでパリオリンピック日本代表への選出が先日発表された與那嶺恵理(ラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディ)をはじめ、昨年のU23ロードチャンピオンで今年からエリートとなる小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)など30名の選手が並んだ。
12時30分にレースがスタートすると、最初の2周は18分台(平均時速26km/hほど)とゆっくりとしたサイクリングペースでレースは進んでいった。
最初に動きが出たのは3周目。昨年の女子マスターズチャンピオンで、今年はエリートに挑戦した手塚悦子(IMEレーシング)がアタック。集団はこの動きを容認し、40秒程度の差が開くが、ここで集団からも遅れる選手が出始めた。
そして4周目には絶対的優勝候補の與那嶺がアタックし、それに金子広美(三重県自転車競技連盟)が反応。この動きで集団に吸収されるものの集団は與那嶺、木下、牧瀬翼(WINGS PLUS)、金子、小林、石田唯(早稲田大学)の6名にまで絞られた。
5周目には追走集団が先頭の手塚を吸収し7名に。
そして6周目には與那嶺がアタック。それに反応できたのは木下だけで、決定的な動きとなった。
集団は5名となったものの、牧瀬が遅れる場面もあった。
集団と先頭のタイム差はどんどんと広がっていく。先頭では與那嶺がアタックで揺さぶるが、木下は遅れず勝負は終盤までもつれ込むことが予想されるようになっていく。
そして10周目には集団までのタイム差は3分半まで広がり、集団からは小林がドロップ。さらに石田がアタックし、それに金子が反応し、3位争いも2人に絞られた。
優勝争いは最後のスプリント勝負にもつれ込んだ。木下を先頭にストレートへの坂を登ってきた二人は、残り100mで與那嶺が先に腰を上げた。
そのまま與那嶺は木下を抜き去り、先頭でゴールしガッツポーズ。
木下はハンドルをたたいて悔しがった。
石田と金子の3位争いは残り200mでスプリントを仕掛けた石田が制し、U23での優勝も獲得した。
7度目のタイトルを獲得した與那嶺は「みんなの緊張感が伝わってきて自分もいい緊張感を持てた。木下選手も強かったけど、勝たないといけないという自分へのプレッシャーがあった。でもちゃんと最後のスプリントで勝てて自信にもなった」と語った。
U23で優勝した石田は「集団の中では私が一番脚があると思っていたので、最後は何度も仕掛けて絞って集団の頭をとることができてうれしいと語った。
表彰式後にはパリオリンピックのロードレース代表が決まった與那嶺へのインタビューも行われ、「今回は選考に対してのストレスはなかった。国別ランキングを上げるのに必死だった。オリンピックではリオの17位を上回りたい」とオリンピックへの意気込みを語ってくれた。
全日本選手権も明日が最終日。最終日はマスターズレースとメインイベントともいえる男子エリートロードレースが行われる。ワールドツアー選手2名の参戦もあり目が離せない。
リザルト
女子エリート+女子U23(88km)
- 1位 與那嶺恵理(ラボラルクチャ・フンダシオンエウスカディ) 3h04m35s
- 2位 木下友梨菜(ベルマーレレーシングチーム) s.t.
- 3位 石田唯(早稲田大学) +2m23s
- 4位 金子広美(三重県自転車競技連盟) +2m32s
- 5位 牧瀬翼(WINGS PLUS) +3m02s
- 6位 手塚悦子(IMEレーシング) +3m07s
- 7位 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) +4m18s
- 8位 太郎田水桜 +12m45s
- 9位 大堀博美(イナーメ信濃山形) +13m58s
- 10位 滝川陽希(富山県自転車競技連盟) +17m38s
男子U23(112km)
- 1位 寺田吉騎(シマノレーシングチーム) 3h22m21s
- 2位 鎌田晃輝(JCLチームUKYO) +3s
- 3位 松井丈治(立命館大学) s.t.
- 4位 林原聖真(明治大学) +12s
- 5位 佐藤光(チームサイクラーズスネル) +13s
- 6位 森田叶夢(京都産業大学) +15s
- 7位 宇田川塁(法政大学) +29s
- 8位 新宮颯太(日本大学) +4m01s
- 9位 遠藤大樹(明星大学) +4m22s
- 10位 奥田和人(Team hsj) +4m27s
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