群馬県みなかみ町で開催されたグラインデューロ2024に参加してきた|BC STATION #48
坂本 大希
- 2024年11月01日
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未舗装路を自転車で走るグラベルシーンで世界的に有名な「グラインデューロ」。2023年の日本開催では、そのイベントの運営に厳しい声も多くあがった中、逆に注目が集まった今年。会場を新たに群馬県みなかみ町として、10月18日(金)~20日(日)で開催された本イベントに、昨年も参加した編集部サカモトが行ってきた。
フォーマットは同じ。初日はシェイクダウンライド+キャンプを楽しむ
グラインデューロは、2024年は世界5カ国(ドイツ、アメリカ、フランス、イタリア、日本)で開催されていることもあり、その基本フォーマットはそこまで変更はない。初日が昨年同様に「シュワルベ・シェイクダウン」という名の短いライドとバンド演奏、そしてキャンプ場などでの各参加者同士との交流だ。ライド以外の充実がこのグラインデューロの醍醐味だろう。
シュワルベ・シェイクダウンは全長1kmほどのグラベルコースで、タイム計測が行われ表彰もされる立派なコンペティションだ。距離が短いため希望者は何度でも走ることができ、試走も兼ねてとりあえず1本走ってから本番という人もいたり、ただ単にコースを楽しむためにゆっくり走る人もいたりとスタンスは多様だ。
キャンプ場では参加者がお酒などを持ち込み楽しむ姿が方々で見られた。中にはこの日知り合った者同士で、という例もあったそうだ。
夜まで盛り上がるテントもあった。昨年、長野県白馬村での開催ではこのキャンプについて、使用許可がとれていない区画あったり、火気使用ができない部分があったりといったトラブルがあった。そのイベントの運営に厳しい声も多くあがったが、この点今年は改善されたようだ。みな思い思いに楽しんでいた。
▼2023年大会の様子はこちら
2日目、19日(土)のメインライドは200人以上が参加
2日目、19日(土)が本イベントのメインライドがある日だ。
午前と午後の2部に分かれており、お昼はメイン会場に戻ってきてランチサービスが付いている。コースレイアウトは午前は距離52.3km・獲得標高1,325mのコース、午後は距離30.2km・獲得標高650mのコースとなっている(公表値)。
また特色のひとつでもある計測区間は午前・午後ともに2区間ずつの合計4区間だ。
この日の朝食はすでに参加料に含まれており、参加者は会場内にて食事が可能だ。
渓流を見下ろせるデッキにて仲間同士で朝食を楽しむ。
スタート地点に続々と人が集まり、開始時刻を待っている。
スチールのバイクでカッコよく決めている参加者。コンペティション区間もあるが、そこ以外はシンプルにファンライドでもある。そういった形式から、バイクの種類が豊富なのもグラインデューロの面白さだろう。
順次スタートを切っていく。この水上を拠点にしているアドベンチャーレースチーム「イーストウインド」の2人が最初の区間を一緒に走行。
今回もSALSA CYCELSがホストスポンサーを務めた。サルサブランドを運営するQBPの社員のクリストファー・レイさんが初めての来日、日本の代理店モトクロスインターナショナルのメンバーとともに、ライディングだけではない、音楽、そしてアートを感じられる空間を楽しんだ。
計測区間では気合を入れて踏む者も多い。今回は4区間中3区間がかなりの上り区間でハードなコースだった。
お昼は会場でカレーが振る舞われた。午前中だけのグラインデュリート参加の方はここでライドは終了。会場には多くのキッチンカーや出展もあり、各々楽しんだことだろう。筆者は午後の部も参加するため出発!
道中にはエイドポイントもある。こちらは協賛のワフーが運営するエイドだ。
ボトルへの給水。付着した泥が過酷なコースを突破したことを物語っている。
4つ目の計測区間は唯一の下り区間。
最後だけ少し雨に降られたが、無事に午後もゴール。コースは100kmも無いのだが、ハードな道過ぎて達成感がやばい。同時刻にゴールした二人もこの笑顔である。
表彰式は夕方に会場内のステージで行われる。
実は初日のシュワルベ・シェイクダウンライドも1位をとっていた筋肉ブロガーこと松尾さん。この日も年代別で優勝した。
松尾さんのバイク。今回のコースはフロントサスペンションの存在がとても重要だったという。
ゴールしてからが本番か?夜中までのMフェスも同時開催で場が盛り上がる
既知のこととなっているかもしれないが、グラインデューロがライドだけではない。この日は会場で「Mフェスティバル」という音楽イベントが併催。自転車乗りではない地元の方々や遠方からの人も入り乱れ、夜中までパーティが繰り広げられた。
最終日はハングオーバーライド。30名以上が参加し、谷川岳方面へ最後のライド
最終日、20日(日)は朝9時より「ハングオーバー(二日酔い)ライド」と銘打ったグループライドが企画された。30人ほどは参加していたように思う。ライドリーダーの思い出のコースをたどり、谷川岳のあたりまで走ったとのことだ。また、シンプルに酔っぱらってて参加できなかった人もいるようだが、それもまた一興だろう。
運営を担ったオーガナイザーたちの想い
今回のイベント開催を牽引したのは、オーガナイザーのこの2人。ネイサン・ベネット氏(右)と田口信博氏(左)だ。彼らの想いを聞いた。
ネイサン・ベネット(MTBライダー、サイクリングガイド)
「何とか終わってひと安心です。きつかったけど楽しかった!みたいに言ってくれる人もいて嬉しいですね。今回、グラインデューロ側から運営として関わって欲しいと声がかかって、ベネットがやらないならグラインデューロジャパンは開催しない、というような話しもあって。ええ!俺の責任!?(笑)って感じの最初でした。レースに出場する側の選手だったので運営は本当に手探りでしたが、田口さんの協力もあって何とか終えることができてホッとしています。準備期間が短くてまだまだやれることはあったなって感じているので、もし来年またできるなら、もっと時間をかけてよりよいイベントにしていきたいです!ぜひまた来てください!」
田口信博(輪工房代表)
「グラインデューロという少し特殊なイベントですが、運営自体は他と大差はなくシンプルで、”道を間違えないように”・”時間通りに”・”安全に”といった点を意識してつくり、裏方に徹しました。道路の使用許可についても、日本人の運営として書類を製作したりと、基本的なことを確実に行ってきました。結果的に大きなミスもなく終えられたかなと思っています。また、コースについても朝の混んでいないであろう時間に温泉街を通ってもらったりと、地域の人への認知度向上にも繋がるように務めました。こういったところからはじめ、地域から応援されてよりよいイベントになるように進めていきたいですね」
昨年からの改善は明らか。来年への伸び代にも期待
昨年は物議を醸したイベントだったということは今更隠すまでもないだろう。今年はどうなるのか、常にグラベル愛好家たちの間で話題にのぼっていたほどだ。裏を返せば、それほどまでに注目され、期待されているイベントともいえる。運営の仕組だったり、改善したところがとても多くある。さらに何よりもいいことは、このイベントの課題を、当事者の人がその場で認識していたことだ。課題点が分かっているだけで来年よりパワーアップして帰ってくるのだろうということは想像に易い。
今回、「怖いもの見たさ」で参加した人が多かった印象でもあった。ここから、進んでこぞって参加したくなるような、初回の抽選で参加可否が決まるような熱狂的なイベントとして数年以内に返り咲くことを祈念したい。
参加者・主催者の声を収録「Grinduro2024水上」|BC STATION #48
ポッドキャスト番組「BC STATION」、今回はGrinduro2024水上での突撃インタビューを収録した。
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・Instagram公式アカウント @bc_station_bicycleclub
・MC・収録・編集: Whatineed 佐藤シンゴ
・制作:Bicycle Club
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PROFILE
坂本 大希
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。
元海上自衛官の経験を持つライター。1年間のドイツ自転車旅行をきっかけに自転車が好きになる。2022年秋ごろよりグラベルイベントに多数参加。2023年のUnbound Gravelで100マイル完走。グラベルジャーナリストになるべく知見を深めるため取材に勤しんでいる。