各カテゴリーの全日本王者たちがUCIレースで貫禄の勝利!関西シクロクロス琵琶湖グランプリ
Bicycle Club編集部
- 2024年11月19日
INDEX
2024-25 JCFシクロクロスシリーズ、そしてJCXシリーズ第5戦となる「関西シクロクロス 琵琶湖グランプリ」が11月17日(日)、滋賀県草津市の烏丸半島特設コースで開催された。メインレースとなるUCIカテゴリーレースでは、男子ジュニアは成田光志(OLIVE)、女子エリートは小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)、男子エリートは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)と、各カテゴリーの全日本チャンピオンが優勝を飾った。
今シーズン国内唯一のUCIレース
今シーズン国内唯一のUCIレース(国際自転車連合レース、クラス2)として開催された今大会。UCIポイント獲得の貴重な機会とあって、ハイレベルなレースが展開された。コースは全長約2.7km。例年通りのオフキャンバーとフラット区間が織りなすテクニカルなレイアウトに加え、新たなセクションも追加された。午前中は若干湿っていた路面も、レース開始時刻が近づくにつれドライコンディションへと変化。各カテゴリーの選手たちは、刻々と変化する路面コンディションに対応しながら、白熱したレースを繰り広げた。
ジュニア男子:成田がスタートから独走、全日本王者の実力を見せつける
10時10分スタートのジュニア男子には11名が出走。全日本チャンピオンの成田光志(OLIVE)と、全日本選手権2位の野嵜然新(桐光学園高等学校/RACING TORQUE)による今シーズン初の直接対決が期待された。しかし、野嵜は来年3月に開催される高校選抜出場枠獲得を目指し、神奈川県新人高等学校自転車競技新人大会に出場するため欠場となった。
成田はスタート直後から他を圧倒するスピードで快走。中仙道侑毅(ATHLETE FARM MTB CLUB)、松山海司(神戸高専)、田島綾人(W.V.OTA)、山田駿太郎(弱虫ペダルサイクリングチーム)の4名が追走グループを形成し、成田を追った。
TEAM NIPPO-S.U.A.プロジェクトで成田をサポートする大門宏も見守る中、成田は追走グループとの差を着実に広げ、独走態勢に持ち込む。追走との差は縮まることなく、1分半以上のリードを保ったまま成田がトップでフィニッシュした。
一方、2位争いでは田島のチェーン落ちや各選手のミスが響き、追走グループが崩壊。最終的に中仙道が2位、山田が3位に入った。
エリート女子:小林あか里、盤石の走りで今季4勝目
12時10分から行われたエリート女子には16名が出走した。スタート直後のホールショットを日吉愛華(Teamまるいち/中京大学)が獲得したものの、全日本チャンピオンの小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)がすぐに先頭に立ち、渡部春雅(明治大学)が続いた。しかし、小林は1周目の途中で早くもリードを広げ、独走態勢に入った。
小林を20秒程度の差で追ったのは、第3戦御殿場覇者の石田唯(TRKworks)と、今シーズンからユースカテゴリーを卒業し、ジュニアカテゴリーの選手としてエリートとの混走デビューを果たした石川七海(Champion System Japan TT 轍屋)の2名。そのさらに15秒後方を渡部と日吉が追う展開となった。しかし、このテクニカルなコースでは脚とテクニックが揃わないと集団を形成するのが難しく、2周目には追走勢もばらばらとなり、完全に個人勝負のレースへと変わった。
小林はその後も安定した走りを見せ、他を寄せ付けずに優勝。今シーズンの無敗記録を4に伸ばした。2位には石田が、3位には石川が入り、石川はエリートデビュー戦でポディウムを獲得する快挙を達成した。
レース後、小林は「このパワーコースとテクニカルコースが組み合わさったバランスの良いコースで優勝できてよかった。後方の状況が見えやすいコースで少し焦る部分もあったが、落ち着いて自分の走りができた。来月の全日本選手権でもまた優勝を目指して頑張りたい」と語った。
2位の石田は「スタートで失敗し追い上げたが、先頭からどんどん離されてしまった。全日本選手権に向けてさらに強くなりたい」とコメント。3位の石川は「初めてのエリートレースで多くの課題が見つかった。これから挑戦を続けて速くなれるよう頑張りたい」と意気込みを語った。
エリート男子:織田聖、力強い走りで今季初勝利
13時35分から行われたエリート男子には70名が出走した。スタート直後のホールショットを制したのは、第2戦亘理の覇者で地元・滋賀県野洲市出身の沢田時(宇都宮ブリッツェン)。
先頭はすぐに7名のグループとなったが、テクニカルセクションでばらけ、全日本チャンピオンで昨年大会の覇者である織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、今季3勝の副島達海(大阪産業大学)、沢田、そして今シーズン初参戦の柚木伸元(日本大学)の4名が先頭グループを形成した。やや遅れて昨年大会2位のゴセ・ファンデルメール(Atari Maeda Racing with Bombtrack and Hunt、オランダ)が続いた。
2周目に入ると、織田がリードを広げ始め、ファンデルメールがセカンドグループに追いついて追走は4名のグループに。その後方では鈴木来人(OnebyESU-ICV)、小坂光(Utsunomiya Lux)、竹之内悠(/slash Cinelli – Vision)が追い続けた。一方で、追走グループから沢田が脱落し、3周目にはファンデルメールがブレーキトラブルでピットイン。追走は副島と柚木の若手2人に絞られた。その後ろの6位争いには加藤健悟(臼杵レーシング)が加わった。
4周目、柚木がペースダウン。これにより、ファンデルメールと沢田が柚木を抜き、柚木は4位に後退した。2位単独走行となった副島も織田とのタイム差を縮めることができず、織田が今シーズン初勝利を飾った。2位は副島、3位にはファンデルメールが入った。
レース後、優勝した織田は「ちょっとアタックしてみたら決まったので、そのまま苦しいなと思いながらも頑張った。初戦の土浦で2位だった悔しさがあった分、良い緊張感でスタートできたと思う」と振り返った。
2位の副島は「織田選手の序盤のアタックについていけなかったのがつらかった。肩の荷が下りたので次のレース、またしっかり気合いを入れて走りたい」と語った。
3位のファンデルメールは「レースはとても良い内容だった。副島選手や沢田選手と同じペースで走ったが、最後は追いつけなかった。次は東海シクロクロスのワイルドネイチャープラザ、その後は関西シクロクロスのマキノに出場する。ビザの日数と12月には大学の修士号のプレゼンテーションがあり一度帰国。1月に再び日本に戻り、2月末まで滞在する」と今後の予定も教えてくれた。
惜しくも4位に終わった沢田は「ポディウムを逃したのは残念だが、休養の効果で走りのキレが戻ってきた。想定通り、心肺は厳しかったが、レースの内容には満足している。ただ、4位という結果には悔しさが残る」とコメントした。
リザルト
ジュニア男子(MJ) 0.1+2.7km×6周
1位 成田光志(OLIVE) 43m06s
2位 中仙道侑毅(ATHLETE FARM MTB CLUB) +1m42s
3位 山田駿太郎 (弱虫ペダルサイクリングチーム) +1m55s
4位 松山海司(神戸高専) +2m05s
5位 田島綾人(W.V.OTA) +3m55s
6位 新藤大翔(W.V.OTA) +4m55s
7位 新藤想真(W.V.OTA/駿台甲府高等学校) +5m25s
8位 秋元碧(北桑田高校) +7m10s
9位 中平泰棋(市立広島工業高校) -2Lap
10位 松本大和(LOKOシクロクロス部) -4Lap
エリート女子(WE) 0.1+2.7km×6周
1位 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) 49m12s
2位 石田唯(TRKWorks) +1m32s
3位 石川七海(Champion System Japan TT 轍屋) +2m19s
4位 渡部春雅(明治大学) +3m31s
5位 日吉愛華(Teamまるいち/中京大学) +3m44s
6位 鵜飼知春(and more) +5m48s
7位 竹村舞葉(SHIDO-WORKS) +8m21s
8位 小田恵利花(スミタ・エイダイ・パールイズミ・NASK Trading・ラバネロ) -3Lap
9位 南芙美子(Team Zenko) -3Lap
10位 川崎路子(OLIVE) -3Lap
エリート男子(ME) 0.1+2.7km×9周
1位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 1h02m00s
2位 副島達海(大阪産業大学) +51s
3位 ゴセ・ファンデルメール(Atari Maeda Racing with Bombtrack and Hunt) +1m21s
4位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +1m33s
5位 柚木伸元(日本大学) +2m17s
6位 小坂光(Utsunomiya Lux) +3m07s
7位 竹之内悠(/slash Cinelli – Vision) +3m20s
8位 加藤健悟(臼杵レーシング) +4m16s
9位 鈴木来人(OnebyESU-ICV) +4m18s
10位 横山航太(ペダル) +4m41s
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:三井至
SHARE
PROFILE
Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。