イタリア発のスペイン一周レースとなった90年目のブエルタ・ア・エスパーニャ2025
Bicycle Club編集部
- 2024年12月20日
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2025年に90周年を迎えるスペインの自転車レースブエルタ・ア・エスパーニャのコースプレゼンテーションが12月19日、マドリードで開催された。記念すべき2025年のコースはイタリア・ピエモンテ地方から始まり、フランス南部とピレネー山脈を経由してスペイン入りする構成となっている。歴史的な節目を記念する内容となっており、多彩なステージ構成が見どころだ。ここでは詳細なレース內容と、選手・監督の見解を、スペイン在住の對馬由佳理さんが報告する。
90周年を迎えるブエルタ歴代優勝者たちがスペインの首都マドリードに集結
ラ・ブエルタの90周年記念イベントには15名の歴代優勝者たちがスペインの首都マドリードに集結した。初代優勝者であるベルギー人のグスタフ・デロール(1935年優勝)から始まり、1948年の優勝者であるルイスや、1961年に史上最年少で優勝(21歳)を果たしたアンヘリーノ・ソレル(現在85歳)など、歴史的なライダーたちが顔を揃えた。また、1975年の優勝者であるアグスティン・タマメス(現在80歳)は、マドリードでの再会を楽しみ、後輩たちとの交流を深めた。スペイン国内で特に有名な優勝者として、ペドロ・デルガドやアルベルト・コンタドールの姿も見られた。
第1週は地中海沿いがレースの舞台に
トリノからスタートする2025年のブエルタは、第1週目に地中海沿いを走ることになる。トリノからスタートする初日は、いきなり180km を超える長丁場。スプリンターが勝つことが予想されるコースである。
その後、イタリア国内が主要な舞台となる第3ステージまでは、スプリンター向きのコースが続く。しかし、第4ステージで、ちょっとした山岳コースが顔を出し始めると、状況は一変する。一旦ピレネー 山脈を超えてスペインに入ると、スペインを代表する画家の一人であるサルバドール・ダリの美術館があることで有名なフィゲラスで、今年最初のタイムトライアルを迎える。チームタイムトライアルで距離も20km と短いので大きな差は生まれないだろうが、翌日からの本格山岳コースに備えた作戦が必要となる。その後、一旦スペインを離れ、アンドラに入ってから、プロトンは再度スペインへ入国。アラゴン地方のの名物とも言える上りのセルラーを上り、その後サラゴサに向かう。そしてバスク地方へと北上することになるが、この区間はスペインの中でも最も風の強い地域の一つ。選手たちは神経質な戦いを強いられることになる。
ピレネでの勝負、ボーラデムンドの上りゴールが復活
休養日の後はスペイン北部が舞台となる。第10ステージはバスクの上りの名所が舞台。厳しいラッラの上りゴールである。その翌日はビルバオがスタート及びゴールとなるが、ビルバオの街はプロのレースでも落車が多いので意外と要注意である。さらに第13・14ステージの連続する上りゴールは戦略上で重要となる。その象徴的な存在がアングリル峠だ。このアストゥリアス地方の巨峰は、1999年にホセ・マリア・ヒメネスの勝利で初めて登場し、2008年と2017年にはアルベルト・コンタドールが輝かしい勝利を収めた場所だ。2025年大会では第13ステージに設定され、過去の栄光が蘇る舞台となる。これは注目だ。
最終週はガリシアからマドリードへ
最終週は、スペインの最西端のガリシア地方から東に向かい、マドリードが最終コ゚ール地点となる。ガリシアの2ステージの初日は、ほぼ平地のないアップダウンの繰り返し、第17ステージは、一級山岳の上りコ゚ールである。その後はバリャドリードでのTT を含めて平坦なステージが続くが、第20ステージのコ゚ール地点ボーラデムンドは、ブエルタの歴史の中でも数々の名勝負が繰り返された場所である。上り巧者ならこの日に1分くらいのタイム差を逆転することも可能だろう。
2025ブエルタ・ア・エスパーニャ 各ステージ
日付 | ステージ | スタート | ゴール | 距離(km) |
8/23 | 1 | トリノ | レジャーリ・ディ・ヴヴェナリア | 183 |
24 | 2 | アルバ | リモーヌ・ピエモンテ | 157 |
25 | 3 | サン・マウリシオ・カナヴェセ | セレス | 139 |
26 | 4 | スサ | ヴォイロン | 192 |
27 | 5 | フィゲラス | フィゲラス | 20(TTT) |
28 | 6 | オロット | アンドラ | 170 |
29 | 7 | アンドラ | セルラー | 187 |
30 | 8 | モンゾン テンプラリーノ | サラゴサ | 187 |
31 | 9 | アルファロ | エスタシオン デ スキーデ バルデカライ | 195 |
9/1 | 休養日 | |||
2 | 10 | パルケ デ ラ ナチュラレサ せンダビナ | エル フェリアルラッラベラグア | 168 |
3 | 11 | ビルバオ | ビルバオ | 167 |
4 | 12 | ラレド | コラレス デ ブエルナ | 143 |
5 | 13 | カベソン デ サル | アングリル | 202 |
6 | 14 | アビレス | アルト デ ファラポナ ラゴス デ ソミエド | 135 |
7 | 15 | ア ベイガ/ベガデオ | モンフォルテ デ レモス | 167 |
8 | 休養日 | |||
9 | 16 | ポイオ | モス カストロ デ エルビレ | 172 |
10 | 17 | オ バルコ デ バルデオラス | アルト デ モルデーロ ポンフェラ(ダ | 137 |
11 | 18 | バリャドリード | バリャドリード | 26 (ITT) |
12 | 19 | ルエダ | ギフエロ | 159 |
13 | 20 | ロブレロ デ チャベラ | ボラ デ ムンド プエルト デ ナバセラーダ | 156 |
14 | 21 | アラルパラド | マドリード | 101 |
( https://www.lavuelta.es/es/ より、筆者翻訳)
選手と監督が語る2025年コースの印象
ケルンファルマ ウルコ・ベラーデのコメント
「2025年のコースは、今年ほどには難しくないように思います。もちろん、楽なコースとは言えませんが。第10ステージのゴール地点は私の地元ですが、道が狭くカーブが多い上、上りも辛い。逃げ集団がそのままゴールまで行ってしまうこともあります」
ケルンファルマ ホアンホ・オロス監督のコメント
“レースの難しさを比較すると、来年のコースは今年ほど厳しくはないでしょう。しかし、移動が多いため、楽なレースとは言えません。それに、来年のコースは3回のタイムトライアルがありますが、その翌日は必ず強烈な山脈コースが設定されています。上位陣はタイムトライアルも取りこぼせないが、翌日のことも考えながら走らないといけないため、総合優勝を狙いたいチームは調整に苦労するでしょうね”
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