
タラマエがシャールジャ・ツアーで総合3位 キナンが2025年シーズン、好発進を飾る

Bicycle Club編集部
- 2025年01月29日
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UAEで開催されたUCIアジアツアー2.2「シャールジャ・ツアー」で、キナンレーシングチームのレイン・タラマエ(エストニア)が個人総合3位に入賞した。1月24日から始まった5日間のステージレースで、タラマエは一貫して上位をキープ。最終日までわずか1秒差の接戦を制し、表彰台の座を守り抜いた。チームにとって2025年シーズンの幸先の良いスタートを切ることとなった。
最終ステージまでの戦い
シャールジャ首長国を舞台に繰り広げられた今大会は、前日27日に最大の山場となるアル・スフブ・マウンテンでのクイーンステージを迎えた。この難関ステージでタラマエは上位に食い込み、個人総合3位の座を手にしての最終日を迎えることとなった。
風との戦いとなった最終ステージ
最終となった1月28日の第5ステージは、121.87kmの平坦路。砂漠地帯を走る難しいコースで、朝から南風が強く吹く中でのレースとなった。キナンレーシングチームは、タラマエの総合3位確保と、橋本英也のステージ優勝という2つの目標を掲げてスタートを切った。
序盤の激戦
レース序盤、総合首位のジョシュ・ケンチ(リーニン・スター、ニュージーランド)を含む8人の先頭集団が形成される波乱の展開となった。さらに総合4位、5位の選手も合流する危険な状況に、キナンレーシングチームは総力を挙げて追走。タラマエ自身も集団の先頭に立って牽引し、30km地点で先頭集団を吸収することに成功した。
危機的状況からの復活
しかし、集団が一つになった直後、タラマエにパンクが発生。同時にソリューションテック・ヴィーニファンティーニやリーニン・スターが猛烈なペースアップを仕掛け、強風の影響も相まって集団は分断された。この危機的状況を救ったのが、トマ・ルバ(フランス)、新城雄大、宇賀隆貴の3選手による献身的なサポート。約20kmに及ぶ懸命の追走の末、メイン集団への復帰を果たした。
終盤の攻防
フィニッシュまで50km付近からは散発的なアタックが続き、最終的に3人の逃げ集団が形成された。しかし、総合順位に影響のない選手たちだったため、リーダーチームを中心に落ち着いた展開となった。残り10kmで橋本英也が落車するアクシデントに見舞われたものの、チームはタラマエの総合順位確保に全力を注いだ。
表彰台確保の瞬間
最終的にタラマエは、メイン集団でフィニッシュ。個人総合では、ケンチとジョシュ・バーネット(ブルゴス・ブルペレット・BH、ニュージーランド)に次ぐ3位でレースを終えた。4位のロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)との差はわずか1秒という僅差だったが、チーム一丸となった走りで表彰台を守り切った。
タラマエのコメント
「スタートして10kmでリーダージャージの選手が飛び出していったので、とにかく”フルガス”で追いかけないといけないと思った」とタラマエは序盤の展開を振り返る。「パンクの後、チームメートが私のためにものすごいハイペースで前を追ってくれた。先頭集団に復帰できたのはミラクルとしか言いようがない」
さらに、チームへの感謝も語った。「キナンレーシングチームを選んで良かったと思えるひとつが、日本人選手の強さにある。今大会を一緒に走った橋本、新城、宇賀はいずれもトップになれる力がある。それに加えて、UCIコンチネンタルチームとは思えないほどの充実度にも驚いている」
今後の展望
今大会でUCIポイント27点を獲得したキナンレーシングチーム。2月からは国内シリーズのJプロツアーが開幕し、タラマエが「最大目標」と語る5月のツール・ド・熊野、ツアー・オブ・ジャパンに向けて、さらなる飛躍が期待される。チームとしても、少ない人数でレースを組み立て、他チームの猛攻をしのいだ今大会の経験は、大きな自信となった。
レース結果
シャールジャ・ツアー 第5ステージ(121.87km)結果
1位 ダヴィデ・ステッラ(UAEチームエミレーツGen Z、イタリア)2h41m36s
2位 ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、セルビア)
3位 ダヴィデ・ペルシコ(ワグナー・バザン・WB、イタリア)
4位 フィリッポ・フォルティン(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)
5位 ニキフォロス・アルヴァニトゥ(ギリシャナショナルチーム、ギリシャ)
6位 ユセフ・ブダドゥ(モロッコナショナルチーム、モロッコ)
41位 レイン・タラマエ(キナンレーシングチーム、エストニア)
61位 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム、フランス)
113位 宇賀隆貴(キナンレーシングチーム)+1m31s
114位 新城雄大(キナンレーシングチーム)
125位 橋本英也(キナンレーシングチーム)+7m07s
個人総合時間
1位 ジョシュ・ケンチ(リーニン・スター、ニュージーランド)11h58m40s
2位 ジョシュ・バーネット(ブルゴス・ブルペレット・BH、ニュージーランド)+52s
3位 レイン・タラマエ(キナンレーシングチーム、エストニア)+1m02s
4位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)+1m03s
5位 ジャムバルジャムツ・サインバヤル(ブルゴス・ブルペレット・BH、モンゴル)+1m19s
6位 ドゥアルテ・マリヴォエ(UAEチームエミレーツGen Z、ベルギー)+1m21s
19位トマ・ルバ(キナンレーシングチーム、フランス)+3m50s
91位 新城雄大(キナンレーシングチーム)+14m34s
103位 宇賀隆貴(キナンレーシングチーム)+20m10s
125位 橋本英也(キナンレーシングチーム)+39m16s
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