
渡部春雅と織田聖が圧巻のパフォーマンスで有終の美、シクロクロス東京に延べ7500人来場

せいちゃん
- 2025年02月09日
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2024-25シーズンJCFシクロクロスシリーズ第11戦、JCXシリーズ第10戦となる「弱虫ペダル×Champion System CYCLOCROSS TOKYO 2025」の最終日が2月9日(日)、東京都港区のお台場海浜公園特設コースで開催された。シーズン最後を飾る大一番で、女子エリートは渡部春雅(明治大学)が圧倒的な強さを見せて優勝。男子エリートTOP35では全日本チャンピオンの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が初のシクロクロス東京制覇を達成した。
多彩なイベントで盛り上がった2日間

2年ぶりの開催となった本大会は、新たな主催会社のもと、2日間で延べ7500名もの観客を集め、シクロクロスの魅力を存分に伝える機会となった。

レース以外にも多彩なイベントが開催され、メインステージでは世界選手権出場者のトークショーなどが行われたほか、各メーカーブースではサイン会も実施。






注目イベント「弱虫ペダルファンサイクリング~渡辺航先生と一緒にコースを走ろう~」

特に注目を集めたのが、「弱虫ペダルファンサイクリング~渡辺航先生と一緒にコースを走ろう~」だ。人気漫画「弱虫ペダル」の原作者・渡辺航氏が自ら参加者に砂浜での走行テクニックなどを指導。コースの特徴的なセクションである砂浜エリアでの走り方をレクチャーし、参加者との記念撮影を行うなど、ファンとの貴重な交流の機会となった。



女子エリート:渡部春雅が世界選手権レベルの実力を見せつける

13時にスタートした女子エリートは、全日本チャンピオンの小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が欠場したものの、23名の精鋭が集結。全5周回のレースとなった。

スタートからホールショットを獲得した渡部春雅(明治大学)は、波打ち際の弱虫ペダルサンドエリアで一時的に高校生の石川七海(MOPS)に先頭を譲る展開に。JCXランキング首位の石田唯(TRKWorks)、JCXランキング3位の竹村舞葉(SHIDO-WORKS)も上位で続く激しい戦いとなった。

砂浜での折り返し地点で石田が先頭に立つと、レースは渡部、石田、石川の3人による優勝争いの様相を呈する。ミズタニサンドエリアでは、トレイルランナーとしても活躍する渡部が、砂地でのランでの走破性の高さを見せつけた。

後方では竹村、安藤沙弥(SHIDO-WORKS)、西形舞(TRC PANAMAREDS)による4位争いが展開されたが、1周目から先頭集団とは1分近い差が開いていく展開に。



スタートループを終えて1周目に入った時点では、先頭3人は接近した状態が続いていたが、徐々に石川が先頭2人から離されていく。2周目に入ると渡部が石田との一騎打ちを制し、30秒近いリードを築く。石川は渡部から1分30秒ほどの差をつけられる展開となった。


3周目には石田が一時20秒程度まで差を詰めたものの、4周目に入ると渡部が再び加速。ラストラップでは渡部と石田の差は1分30秒にまで広がった。渡部は世界選手権日本代表としての実力を遺憾なく発揮し、終始安定した走りで独走優勝を果たした。2位には石田、3位には高校生ながら健闘した石川が入った。



男子エリートTOP35:織田聖が貫禄の走りで初のCX東京制覇

14時からスタートした今シーズン最後のレースとなる男子エリートTOP35には、JCF/JCXランキング35位以内の選手と前日の男子エリートレース上位3名(前日の男子エリートレース上位3名はオープン参加扱い)を合わせた28名が出走。全9周回のレースとなった。

スタートは副島達海(大阪産業大学)がホールショットを奪取。波打ち際の弱虫ペダルサンドエリアでは、全日本チャンピオンの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、柚木伸元(日本大学)が追走する形で、選手たちが一列となって砂浜を駆け抜ける印象的な光景が展開された。

砂浜の折り返し地点で織田が主導権を握ると、レースは織田、副島、柚木による3人の先頭グループの戦いに。その後方にはゴセ・ファンデルメール(Atari Maeda Racing with Bombtrack、オランダ)が追走する展開となった。加藤健悟(臼杵レーシング)や竹之内悠(/slash Cinelli – Vision)も上位で続いた。

先頭グループは一時3名で形成されていたものの、まず柚木が遅れ始める。ファンデルメールが柚木を追い抜き、ミズタニサンドエリアの難所で3番手に浮上した。

2周目に入ると織田が副島との差を広げ、独走態勢を確立。一方、3位に浮上したファンデルメールは着実に順位を上げ、6周目には副島を捉えて抜き去り、2位に浮上した。


副島はその後、後方から迫る柚木の追撃を受ける。8周目のキナンバリアでは、柚木がバニーホップでクリアする技術を見せ、降車して越えた副島を抜き去ることに成功。そのまま3位の座を確実なものとした。

首位を独走する織田は、リードを広げてからも決してペースを緩めることなく、全日本チャンピオンの貫禄を見せつける走りを展開。2位のファンデルメールに1分20秒近い大差をつける圧巻のパフォーマンスで、初のシクロクロス東京制覇を成し遂げた。2位にはファンデルメール、3位には柚木が入った。





JCX&JCFシリーズシーズン締めくくりと新たなステージへ

レース終了後には通常の表彰式に続き、JCXシリーズとJCFシクロクロスシリーズの年間表彰も執り行われ、対象選手には賞金や賞品が贈られた。また、「弱虫ペダルサイクリングチーム チームプレゼンテーション」も開催され、会場は大いに盛り上がりを見せた。






AJOCCカレンダー上では3月中旬までレースが続くものの、来週2月16日からはJBCFサイクルロードレースシリーズが東京・新宿区の明治神宮外苑で行われる「東京クリテリウム」で開幕する。多くのトップ選手たちは、今後のロードレースやマウンテンバイクのレースシーズンに向けて、新たな挑戦を始めることとなる。

リザルト
女子エリート
1位 渡部春雅(明治大学) 45m42s
2位 石田唯(TRKWorks) +1m54s
3位 石川七海(MOPS) +4m17s
4位 安藤沙弥(SHIDO-WORKS) +7m15s
5位 西形舞(TRC PANAMA REDS) +7m37s
6位 竹村舞葉(SHIDO-WORKS) +8m17s
7位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) +8m38s
8位 山﨑絵美(ボルケーノレーシング) +8m40s
9位 椿井和佳奈(信州大学) -2Laps
10位 鈴木友佳子(MIVRO) -2Laps
男子エリートTOP35
1位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 1h03m27s
2位 ゴセ・ファンデルメール(Atari Maeda Racing with Bombtrack) +1m19s
3位 柚木伸元(日本大学) +1m58s
4位 副島達海(大阪産業大学) +2m35s
5位 竹之内悠(/slash Cinelli – Vision) +3m33s
6位 小坂光(Utsunomiya Lux) +3m54s
7位 鈴木来人(OnebyESU-ICV) +4m18s
OPN 竹内遼 +4m50s
8位 加藤健悟(臼杵レーシング) +5m41s
9位 丸山厚(BOMA/ROND CX TEAM) +6m01s
10位 宇賀隆貴(KINAN Racing Team) -2Laps
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:三井至
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている