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SUPをやるなら知っておきたい気象のこと

SUPは海・川・湖といった、自然がフィールドのウォータースポーツ。自然のことを知っておくと安全なのはもちろん、フィールドの変化や違いに気付き、理解できることで、より深くSUPを楽しめるというもの。そんなSUPをやるうえで必要な知識を、気象予報士の森朗さんに聞いた。

【解説してくれた人】気象予報士 森 朗さん
1959年9月18日生まれ、湘南在住。サーフィン、ウィンドサーフィン好きが高じて気象予報士に。現在は株式会社ウェザーマップに所属して、TBSお天気キャスターとして活躍中。「海の気象がよくわかる本」「サーファーのための気象ガイドブック」、「風と波を知る101のコツ」(ともに小社刊)、「10年天気図」(森田正光氏との共著/小学館刊)など著書多数。

【波】海に出ようと思ったら、まずは波の性質を知ってから

SUPに限らず、ビーチから広い海に出ようとした時、最初に越えなければならない関門が岸辺で割れる波を意味するショアブレイクだ。波が大きい時には、ショアブレイクに押し戻されたり、ひっくり返ったり、沖に出る前にひと苦労することになる。

沖に出ても、波があればバランスを崩しやすいし、波に押されて思った方向に進めないこともある。海で遊ぶためには、波の性質を知って、上手に付き合うことが大切だ。

波は、海上を吹く風が海面を揺らすことによって起こる。風が強く吹けば、それだけ波は高くなるが、波の大きさは風の強さだけで決まるわけではない。波が大きく成長するためには、海面が強い風を受け続ける必要があるので、ある程度広い範囲で、長時間風が吹き続けなければ、波は大きくならない。どんなに強い風でも、竜巻のように局地的で瞬間的な風では波は大きくならない。それよりも、低気圧や台風、冬の季節風のような、大規模な現象の方が波は高くなる。

大規模な現象は、天気図にもはっきりと描かれるし、数日前からその存在もわかるので、天気予報をきちんとチェックしているだけでも、波が高くなるかどうかは、容易に予想できる。当日の天気はもちろん、週間予報などもチェックしておこう。

沿岸の波には、風向きも重要だ。波は、風に後押しされながらだんだん発達するので、風下に行くほど波は高くなる。だから、沖の方から陸に向かって風が吹いてくるオンショアの時には、海岸が近づくほど波が高くなり、ビーチから見ても明らかに波が高いのがわかるが、反対に沖に向かって風が吹くオフショアの時には、ビーチでは波が小さく見えても、沖に出るとどんどん波が高くなってくることがあるので注意が必要だ。

【うねり】風が弱いから波もないだろう、と思ったら大間違い

風が吹けば波が立つのは当たり前だが、時々、無風なのにビーチで大きな波が砕けていることがある。これは、遠くの海からやってくるうねりによるものだ。

静かな池の中に小石を投げ込むと、小石の落下地点で水が跳ね、その周囲に丸く波紋が広がってくる。波には、このように、ある一点に加わった衝撃のエネルギーを遠くまで伝える性質がある。海の波でも同じように、低気圧や台風の強い風によって海面に衝撃が加えられると、その場所で波が高くなると同時に、低気圧や台風の周囲には、小石を投げ込んだ池の波紋のように、風が吹いている範囲を超えて、その周囲に波がうねりとなって伝わっていく。元の波が大きいほどうねりも大きく、遠くまで伝わる。台風や非常に発達した低気圧からのうねりは、数千㎞先まで楽に届く。

うねりは、風によってできる風波とは違って、特に白波が砕けることもなく、静かにゆったりと海面が上下するだけの動きで、沖でこのうねりに揺られても、別にどうということはない。せいぜい、海面の上下動によって景色が周期的に変わる程度だ。

しかし、うねりは白波となって砕けない分、波のエネルギーを消耗せずに温存しているということでもある。遠くからやってきたうねりが、海岸近くの浅い海まで進んできたり、急に水深が浅くなっている暗礁などに乗り上げると、うねりの進行に急ブレーキがかかり、大きいうねりほど海面が大きく盛り上がって、一気に砕ける。海面がうねっている時は、浅瀬や海岸の近くでは急な高波に要注意だ。

うねりの大きさは、高さでは決まらない。海面が盛り上がってから下がるまでの時間の長短で決まる。見た目は低くても、時間をかけてゆっくり上下するうねりはかえって危ない。

【風】天気図を見て風を読めれば、コンディションをすべて知ったも同然

海面を吹く風が吹けば波が立ち、波が大きくなれば、周囲にうねりが広がる。だから、どこでどれぐらいの強さの風が吹くのかによって、海面のコンディションは決まってくる。これだけでも海上の風は重要だが、強い風が吹けば、川や湖でも水面が波立つ上に、ボードの上に立っているサーファー自身が風を受ける帆になってしまい、風に流されてパドルワークが難しくなる。SUPを安全に楽しめるかどうかは、風次第と言ってもいい。

風は空気の動き、あるいは流れのことだ。地上の空気は、どこも同じに見えて、実際は、膨張したり、上空からの下降気流によって圧力が高まっている所と、収縮したり、上昇気流に持ち上げられて圧力が低くなっている所がある。いわゆる高気圧、低気圧だ。圧力が高い所からは空気が外側に流れ出し、低い所には周囲から空気が流れ込んできて、圧力を調整しようとする。この空気の動きが風だ。つまり、風は高気圧から低気圧に向かって吹く。広い範囲で吹く風の原因となる高気圧や低気圧の位置や勢力は、天気図に描かれているから、天気図を見れば風がどう吹くか、すぐにわかる。

風は高気圧から低気圧に向かって吹くが、地球の自転の影響で、直線的に吹くわけではない。北半球の場合、高気圧からは右回りの渦巻き状に風が吹き出し、低気圧には反対に左回りの渦巻きになって吸い込まれていく。だから、北に低気圧、南に高気圧がある所では、南風ではなくて南西の風になる。また、天気図に描かれている等圧線からは風の強さがわかる。地図の等高線の間隔で地面の傾斜がわかるように、等圧線の間隔が狭い所では、水平距離に対して気圧の差が大きく、風も強く吹く。天気図を見て、風の流線と強さがイメージできれば、現場に行く前に状況をイメージできる。

【水の流れ】水は常に流れているもの。しかしその流れが見えないことも

水は流体だ。文字通り、常に流れているのが当たり前で、静止している事の方が珍しい。川の水は上流から下流へ絶えず流れている。しかし、いつも同じように流れているわけではない。上流で雨が降った時などは、増水して流れが速くなるし、日照りが続けば弱い流れになる。また、場所によっても流れは変化する。標高差の大きい所や、川幅が狭くなっている所では流れが速くなる。反対に川幅が広くなっている所では流れが緩やかになって、場所によっては流れが淀んで、複雑な渦流ができることもある。川がカーブしている所では、カーブの外側で流れが速く、内側では遅い。速い流れによって、カーブの外側では水深も深くなっていて、川岸も切り立っているのが普通だ。 

川にはそれぞれの癖があるので、地元の人によく聞いて、思わぬ急流に巻き込まれないように気をつけよう。

海の流れは複雑だ。そもそも、海には黒潮や親潮といった外洋の海流がある。この海流は、当然沿岸にも影響が及んで、地形によって海流と同じ方向の流れも逆方向に流れる反流も生じるが、外洋の海流も一定ではないので、この沿岸の流れも変化する。そして、潮の満ち引きによって動く海水は潮流を生む。海流と潮流の合成によって沿岸の海水の動きは日によっても違うし、同じ日でも刻々と変化する。また、川と同じように狭い海峡や、海に岬が突き出しているような所では、流れが速くなる。海の流れはなかなか目には見えないので、自分が流されていないかどうか、常に周囲の人や景色との位置関係を確認しておく必要がある。

湖にも、水の出入りがある以上、見た目は静かでも流れはある。湖水の出口などでは流れが速くなっている所もある。浮遊物が集まってくるようなら気をつけよう。

【潮】潮の満ち引きは海のコンディションを左右する重要な現象

海に入る時に、欠かさずチェックしておきたいのが潮回りだ。海水は、1日に2回、満ちたり引いたりを繰り返している。これは、地球と月や太陽との間に働く引力や、公転に伴う遠心力によって、海水が引っ張られるために起こる現象だ。詳しいメカニズムはともかく、太陽と月と地球が一直線に並ぶ満月や新月の時には、干満の差が大きくなる大潮になり、半月の時には、月と太陽が別々の向きに海水を引っ張るため、干満の差があまりない小潮や長潮になる。実際の干満差は、海岸の地形などの影響で場所によっても違い、日本では、小さい所で数十センチ、大きい所では5メートル以上にもなる。

これだけ海水が動けば、その動きは潮流となって、海の中に川のような流れを作る。特に、東京湾口や鳴門海峡で見られるように、狭い海峡では、その流れが非常に速くなったり、渦を生じさせたりすることもある。

潮の満ち引きは、波の質や数にも大きく影響する。干潮に向かう下げ潮の時は、沖からやってくる波は潮流に逆らう形になるので、ブレーキがかかって切り立った波になる。反対に、満潮に向かう上げ潮の時は、波は比較的なだらかに、なかなかブレイクせずに海岸までやってくる傾向がある。その代わり、上げ潮の時は沖のうねりがビーチまで届きやすく、波の数は多くなる。

上げ潮は、河口から川をさかのぼり、川の流れを逆流させたり、時には海の波を川まで運んで、川面を波立たせることもある。川に入る時も、それが河口なら潮回りは要チェックだ。

【天気】やっぱり一番気になるのは天気。ぜひとも天気図が読めるようになろう

波も風も大事だが、やはり一番大切なのは天気だ。晴れて暖かければ、そりゃ気持ちいいが、冷たい雨、まして雪でも降ろうものなら、とてもSUPを楽しむ気にならない。 天気図というぐらいだから、天気も気圧配置を見れば大体わかる。低気圧が来れば雨、高気圧に覆われれば晴れ、ぐらいのことは経験的に知っているかもしれないが、実際の天気はそう単純ではない。

低気圧が近づいてくる時は、低気圧の中心よりもかなり手前に雨雲が広がっていることが多い。反対に、中心が通過した後は、あっと言う間に晴れてくる。また、南北方向で見ると低気圧の中心の北側は雨雲が広がっていて、風も冷たい北風が吹いているが、中心の南側は以外と雨雲が少なくて、風も暖かい南風のことが多い。その代わり、強風になりやすいので注意が必要だ。

高気圧も、その真下では穏やかに晴れるが、周辺部は意外と風が強く、高気圧の西側や南側では雨雲もできやすい。このように、低気圧や高気圧は、雨雲の中心、風の分布は、必ずしも気圧の中心から対称な構造にはなっていない。

また最近多いのが、ゲリラ雷雨と呼ばれるような局地的で短時間の激しい雨だ。こうした雨は、天気図には描かれない、上空の寒気によって引き起こされることが多いので、気圧配置だけでは予測できない。周囲の空をよく見て、急に空が真っ暗になったり、雷の音が聞こえたら、躊躇せずに避難しよう。

また、川や湖では、真上がきれいに晴れていても、上流で降った激しい雨によって、急に増水したり、流れが速くなったりすることがある。水のにごりや浮遊物、水量の増減などには、常に気をつけていた方がいい。

【雷】突然襲いかかる落雷や突風から身を守るにはどうすれば?

アウトドアで行動していると、発達した積乱雲が頭の上にやってきて、突然の落雷や突風に見舞われることがある。急に空が暗くなってきたが、まだ雨が一粒も落ちてこないから大丈夫、と思ったら大間違い。雨が降る前に落雷があったり、竜巻が起きたりということは、とてもよくあることだ。

特に広い海や湖の上でボードの上に立っている状態は、雷にとっては絶好の標的になる。空が急に暗くなって、かすかでも雷の音が聞こえてきたら、すぐに陸に上がって、安全な場所に逃げ込むに限る。雷の音が聞こえる距離は約15㎞。積乱雲の大きさも大体同じぐらいだから、雷の音が聞こえるということは、もう同じ積乱雲が真上にきているかもしれない。

しかも、積乱雲の下では、上空の風の乱れが地上まで伝わって、突風や強風を伴っているのが普通だ。竜巻とは言わないまでも、逃げる途中で突風に襲われて、ワイプアウトしてしまうかもしれない。やはり、早め早めに避難するに限る。

では、どこに避難するか、ということになるが、一番安全なのは、もちろん丈夫な建物の中。ショップやビジターセンターがある所なら、迷わず逃げ込もう。

車の中は、万一落雷に遭っても、電流がボディから地面に流れているので、雷に対しては安全だ。しかし突風にひっくり返される恐れはある。

絶対避けたいのは、木の下や東屋、民家の軒先。雨宿りにはいいかもしれないが、こういう所では、木や屋根に落ちた雷が、庇や枝先から再び人に向かって放電する側撃を受けやすい。

いずれにせよ、ボードやパドルなどは、立てれば雷の標的になりやすいし、風を受ければ人ごと煽られてしまう。心配でもその場に置いて逃げるに限る。

 

今回は、SUPをやるなら知っておきたい気象のことをご紹介した。SUPは自然とともに楽しむスポーツだからこそ、気象に関する知識は欠かせない。風や潮の流れ、雷などを甘く見ていると、ときには恐ろしい猛威をふるってきて命に関わる事態になることもある。正しい知識を備え、安全にSUPを楽しめるようになろう。

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BLADES(ブレード) 編集部

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『NALU』の連載から単独発行となった、 SUP専門の定期刊行マガジン。フィールドを選ばないSUPの楽しみ方から、カルチャーにいたるまで、充実したコンテンツを発信する。

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