寿司屋が教える刺身の盛り付けテクニック|切り方、盛り付けで刺身はもっと旨くなる!
buono 編集部
- 2020年05月04日
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最近、自宅で魚をさばく方が増えているようだ。手に入れた新鮮な魚を自分でさばいて刺身で食べるなら、切り方や盛りつけにもこだわってみてはいかがだろうか? プロが教えるちょっとしたコツを押さえるだけで、いつものひと皿が見違える仕上がりになるのだ。今回は寿司屋の教える刺身技を紹介しよう。
切り方と盛りつけ方が刺身のうまさを決定づける!
刺身を上手に仕上げるポイントは、切り方と盛りつけの2点だ。ここにひと工夫加えることによって、同じ刺身でもその味わいは何通りにも変化する。切り方の技法は、風味を左右するだけでなく、刺身の見栄えにも大きく影響する。プロの刺身がひと味違うのは、そんなちょっとしたテクニックが、そこかしこに施されているからなのだ。盛りつけによって視覚から得られる効果も見逃すことができない。では、プロのテクニックを少し紐解いてみよう。
寿司屋の刺身テクニックはこんなに豊富!
【テクニック1】ひと手間を加えて変化をつける!
イカの鳴門造り、アジのたたき、タイの焼き霜造りや皮霜造りなど、刺身にひと手間かけたものが盛り合わせの中に1つ入ると、刺身ばかりが並ぶ中に変化が生まれる。見栄えが変わるだけでなく、他とは味の趣向が少し異なるので、食べ進める上でのアクセントにもなるのでおすすめ。
【テクニック2】立体感を持たせる!
どんな料理でも、立体感の有無は、見た目の印象を大きく左右する。和食には奥に山を置き、手前に川を流すという、山水と呼ばれる基本形がある。例えば、一番大きく切ったマグロを一番奥に向山として高くおき、そして手前になるほど小さい物を盛り付ける。そうすることで全体的に流れが生まれる。
【テクニック3】メインを明確にさせる!
盛り合わせの中で主役となる刺身を決め、中心か顔となる部分に配置するようにしよう。中心となる部分をまずはじめに決めると、その刺身の色や形の対比から、おのずとその他の刺身の配置も見えてくる。メインを明確に決めることで、全体に大小のメリハリがつくので動きが出るのだ。
【テクニック4】見せ方を工夫する!
切り身をただ並べるだけでは面白みがない。工夫した見せ方のものを入れると、盛り合わせの見栄えがぐっと引き立つ。写真はコハダの木の葉造り。他にも花造りや蝶造り、2種類以上の色の違う材料を交互に重ねて造りにする博多造り、サヨリをウグイスに見立てたうぐいす造りなどもある。
【テクニック5】色のバランスを考える!
刺身の色は、基本的に白身と赤身と光りものの3種類。同じ色の刺身は、なるべく隣に並ばないようにしたい。大根やミョウガ、大葉など、あしらいを間に挟むと彩りよく仕上がる。写真の盛り合わせの場合、イカには海苔を挟み、サヨリには大葉を絡めることで、全体の色彩をバランスよく仕上げている。
【テクニック6】切り身のカドが見えるようにする!
刺身は切り方でも随分見栄えが変わってくる。鮮度の良さを見せるには、角がきりっと立った立体感を持たせる切り方をすると良い。切る際にはまな板に対して直角に包丁をあて、刃渡り全体を使いながらすっとひと息に引くのが基本だ。並べる時は、切り身の角を正面に見せるように配置する。
刺身における基本のつまと薬味も押さえておこう!
大根
口内をすっきりとさせてくれるつまの代表格。大根に含まれるジアスターゼという酵素には、消化吸収を助け、胃をスッキリさせる働きがある。
ミョウガ
特有の芳香とさっぱりとした辛みは、刺身の合間の口直しにぴったり。食欲も増進してくれる。
大葉
独特の風味が爽やかな大葉は抗酸化作用に優れ、彩りの良さが刺身を引き立てる薬味の代表格。下に敷くだけでなく、刻んで添えたり切り身にまぶして使う。
ワサビ
抗菌作用に優れ、魚の生臭みを消す働きがある。また、胃腸を爽快にし食欲増進にも役立つ。使う度にすり下ろすのがベスト。
これ以外にも、薬味にはショウガ、ニンニク、つまには海草や食用菊を用いる場合もある。いずれも生魚を食べた後の口中をすっきりとさせる名脇役だ。では、いよいよ刺身のテクニックをいくつか紹介しよう。
立体感を演出!『重ね造り』
そぎ切りにした刺身を重ねて立体的に盛ることによりボリューム感を出す手法。マグロやブリの漬け丼などに最適だ。
作り方
包丁を斜めに寝かせ、刃全体を使って薄めに引く。少しずつ切り身をずらしながら皿に盛るのがポイントだ。
盛り付けに華を!『鳴門造り』
鳴門海峡の渦潮に見立てて名づけられた細工造り。一緒に巻いた海苔の香ばしさが、刺身を引き立て、盛りつけにも変化がつく。
作り方
1.おろしたイカを縦幅6~7cmほどの大きさに切り、片面に細かく包丁目を平行に入れる。
2.海苔をイカと同様の大きさに切る。イカを包丁目の入った側を下にして置き、海苔を重ねる。
3.手前から奥へと、イカと海苔を重ねて巻いていく。巻き終えたら食べやすい大きさに切る。
厚みを出したいときの『八重造り』
切り身の中央に切り込みを入れた身を厚く切る刺身に向く技法。見栄えの違いはもちろん醤油も乗りやすくなる。
作り方
1.酢締めしたサバの薄皮を、頭側から尾の方に向けて手で一気に剥がす。
2.5mm程の幅を取り、身の半分くらいの深さまで切り込みを入れる。
3.切り込みからさらに5mm程の幅を取り、包丁を入れて引き切りし、切り離す。
皮の旨味も楽しめる!『焼霜造り』
皮目を直火でさっと炙ることで、新鮮な刺身に香ばしさが加わり、美味しさは倍増。淡白な白身魚なら皮の旨味ごと楽しみたい。
作り方
1.皮目を下にして置き、包丁を手前に引いて骨切りをする。皮目にも隠し包丁を入れる。
2.切り身の両端に鉄串を2本打つ。皮と身の境目ぎりぎりに刺すと良い。
3.バーナーで皮目を炙り、表面に焼き色がついたら、すぐに氷水にとって身をしめる。
身の細い魚など応用範囲の広い『糸造り』
身幅の細いサヨリやキスをはじめ、歯応えのあるイカなどに使うと食べやすくなる切り方。細く切ることで醤油の絡みも良くなる。
作り方
1.おろしたサヨリの薄皮を、頭側から尾のほうに向かって一気に剥がす。
2.皮をむいたサヨリを4〜5mm幅のななめ切りにしていく。このまま皿に盛っても良い。
3.大葉を細切りにし、切ったサヨリとさっと和えれば、白と緑の美しい色の調和を楽しめる。
身が固いタコやアワビなどに『波造り』
断面にさざ波のような模様を表面につける技法。身が固く弾力のあるタコやアワビも食べやすく、盛りつけのアクセントになる。
作り方
1.茹でたタコの足に、包丁を少しだけ寝かして入れ、引く。そこでいったん止める。
2.続いて包丁を引きながら刃を起こす。切り口が波の凸形に少し盛り上がっているのを確認する。
3.再び包丁を引きながら刃を少し起こす。この寝かしたり起こしたりを繰り返して波型をつける。
基本的に切るだけというシンプルな調理法だからこそ、魚の持ち味を引き出す包丁技術や、見た目にも楽しませるアイデアが求められる刺身。コツさえ押さえれば、素人でも真似できることばかりなので、ぜひ実践してみてほしい。
【DATA】
銀座 鮨青木
銀座本店
住所/東京都中央区銀座6-7-4 銀座タカハシビル2F
電話番号/03-3289-1044
営業時間/11:00〜13:30(L.O.)、17:00〜21:30(L.O.)
定休日/なし
西麻布店
住所/東京都港区西麻布3-23-7
電話番号/03-5771-3344
営業時間/12:00〜(要予約)、18:00〜21:30(L.O.)
定休日/日曜
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PROFILE
buono 編集部
使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。
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