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新鮮な削り節を食卓に。 台屋(山谷製作所)「鰹節削り器」

和食の基本である「出汁」。料理男子たるもの、粉末出汁で満足するのはいかがなものだろうか? カチカチの上質な鰹節を自分の手で削って煮出す、この手間を愛でてこそ胸を張って料理ギークと言えるだろう。今回はフレッシュな鰹節に欠かせない鰹節削り器のお話。

長年培った技術を生かして和食文化を広める

包丁や和釘など、野鍛冶を中心に発展してきたもの作りの街として知られる新潟県三条市。この地で1946年に創業した山谷製作所は、鉋のボディといえる木部分の「鉋台」を主に製造してきた。「かつては周辺に鉋刃職人が大勢いて、同業も約70社ありました。しかし、鉋の需要が減少し、今や数えるほどしか残っていません」と、教えてくれたのは三代目の山谷俊輔氏。

山谷製作所 山谷俊輔専務。

「高齢化が進んだ古い業界だからこそ、技術の火を絶やさないためのフレッシュな発想が必要でした。和食に欠かせない “出汁”。なかでも鰹節を煮出す手法は、日本人にとって身近です。パック削り節の登場以前なら、各家庭に鰹節削り器があって……」。一般的に鰹節削り器に使われる鉋は、大工が使うそれと同じものである。「出汁文化が世界中に知られ、日本国内でも再評価される気運に。私たちも何か貢献できないだろうか? 鉋を扱うだけに、削りたての鰹節の魅力なら深く知っている!」。

台に鉋刃用の穴を穿ってきたノミたち。職人は研ぎを繰り返し、1cm弱になるまで使い込む。
鍛冶屋から送られてくる刃は、微妙に厚みや角度が異なる。そのため、刃に合わせた鉋台が必要であり、ミクロン単位で調整できる腕の良い職人も必要に。

山谷氏はそれまで手がけたことのない、鉋から削り節を受け止める箱の製作に挑戦することに。長年培ってきた鉋台製作技術が活かせるよう、成型は無垢材から削り出す。板材が使われる既存の引き出し付きタイプとは一味違うルックス、使用感を目指し、試行錯誤を繰り返した。結果、和のニュアンスをさり気なく漂わせつつ、洋式中心となった現代生活にもマッチする逸品が完成。ほどなくして鰹節削り器専門の工房「台屋」を始動させた。高級家具の素材であり、世界的に価格が高騰しているウォルナット。クリアで美しい白が持ち味といえる、北欧ライクな雰囲気のブナ。インテリアでも人気の両者を丁寧に削り込んだ箱は、丈夫かつ極上の風合いで、年月とともに味わいが増す。鉋には白樫を使用。プロの道具と同じクオリティで仕上げ、より鰹節削りに適した仕様に調整している。「刃は三条や与板の熟練鍛治職人が担当。桁違いの切れ味を実感できると思いますよ」

時代に飲まれつつある伝統技術を守り、新たなニーズまで生み出した山谷氏。「大工、一般、教材と用途に応じた鉋を作って70年余りですが、素材や細部に違いをつけても、作りに一切手は抜きません。初代から受け継ぐこの姿勢があってこそ、今でも評価をいただけているのだと思います」

刃を台に納める仕込み工程の作業の製作は、2代目である山谷俊男氏を中心に行われている。
台屋の鰹節削り器は、鰹節の細胞を “潰さず” に “切る”。おかげで香りが長持ちするという。

個性の強い木材と鋼を無理なく1つの道具に

仕入れたての白樫は水分が多く、そのまま加工すると乾いて変形してしまう。まずは湿気が少なく、虫の侵入しにくい倉庫に小さいもので1年以上保管。木工業者にとって材料はお金と同義。しかし、長く寝かせる必要があるため「利子はつかずに虫がつく」という冗談が伝わっているとか。乾燥した木材は、角出し、厚みと長さの統一を機械によって行う。サイズを揃え半自動で穴空けし、熟練職人個体差のある刃に合わせ、台の穴をノミで微調整する。この刃が差し込まれる「仕込み」がきついと台が割れ、緩ければ安定しない。ベテランである2代目の俊男氏ですら「今まで一回も満足したことはない」というほど、非常に繊細な作業だ。ちなみに、台屋では鉋刃をさらに研いでから、台に噛ませる。鑿を年中研いでいる、その研ぎ技術も提供したいというサービス心であり、同業でも珍しい。箱部分はオートメーションで大まかに削り出してから、手作業で磨く。木の呼吸が妨げられないクルミオイルを塗ったあと、鉋と組み合わせたら完成だ。

鰹節削り器を生む匠の技を拝見!

単純な仕組みの道具だからこそ、少しの狂いも許されない。職人たちの手によって、角材が逸品に変わるまでの過程を追った。

工程1:鉋台の原料である白樫を1年以上「乾燥」させる

湿気が溜まりにくい2階に積まれる、スティック状にカッ トされた白樫は台屋にとってお金に等しい、大切な材料である。仕入れ時期は葉の落ちた冬がメインで、1年以上寝かせて乾燥する。入荷時より10%近く縮むこともある。

工程2:「木取り」でサイズを整え加工しやすく

仕入れたままの木材は凹凸があり、大きさもバラついている。複数の木工機械を操って、それぞれ直角を出し、厚みや長さも均等にしていく。削っては確認を繰り返し、最終的にはすべて同じサイズに整えられる。

工程3:鉋刃が入る「仕込み」は職人の手で

揃えられた樫を、まずは機械で「穴掘り」。自動とはいえ、木目や向きによるズレが起きないよう、傍で職人が見守る。最も精度が必要な「仕込み」は熟練職人が。それぞれの刃が持つクセを見抜き、丁寧に削る。

工程4:機械と手作業で削り出した箱にクルミオイルを塗布して仕上げ

箱部分はベースのみコンピューター制御のマシンによって削り、磨きや面取りを手作業で行う。仕上げに塗り込むのが天然のクルミオイル。強い油膜ではないため水には弱いが、優しく温もりある質感が楽しめる。

工程5:鰹節削り器を構成する蓋と受け皿、鉋の3つが出来上がって最終確認

蓋と受け皿からなる箱は、1日に製造できるのが10個ほど。鉋は単品でも出荷されるため、もう少し多く生産される。組み合わせたあと試し削りを行い、購入直後から鰹節が削れる状態に調整しておく。

工程6:匠の技が存分に盛り込まれた「台屋の鰹節削り器」の完成

製造初期から続いているタイプのウォルナット版が完成。さらに江戸打紐で括られて出荷となる。従来モデルより背が低く、テーブルに置いても違和感はない。削りたてを食卓で気軽に味わうスタイルが可能に。

鰹節削り器を正しく使って美味で美麗な削り節を手に入れよう

美味しい削り節を楽しむには、よく切れる鰹節削り器がマスト。 ヒラヒラ美しいスライスにならず粉になってしまうのは、刃が切れないか、出過ぎなのだとか。切れないのなら中砥石で研ぎを。 仕上げ砥石まで使うと最善だ。 難しいのは刃の調整。削りながら徐々に出していくのが間違いない。非常に硬い鰹節だが、削るのに力はいらない。削りやすい目に沿って、押す感覚でスライドさせれば良い。肝心の刃は安価なSK材でも高品質とはいえ、こだわる紳士たちには一生付き合える青紙がオススメ。

選び方

長く使える青紙と手頃なSK材の2択
鉋刃は手作りの「青紙」(右)と大量生産の「SK材」(左)の2種類から選べる。ともに切れ味鋭いが、前者は切れ味が落ちにくく結果的に長持ち。さほど使わないのなら後者でも十分だそう。

お手入れ

削れない状態から少しずつ刃を出す
刃の調整は、全く削れない状態から少しずつ出していく。数値にすると0.03〜0.04mmというレベルなので慎重に。抜くときは台の頭を叩くのだが、刃が飛び出してこないよう指で押さえること。

刃の角度に従い、平らな砥石を使う
切れ味が落ちたら、鉋刃の角度に合わせて、刃先に力を入れて研ぐ。歪んだ砥石だと均等に研げないので御法度。スライド幅を前後10cmほどに収 めると、適度に圧がかけられてムラもできにくい。

使い方

鰹節の頭の方から勢い良くプッシュ
鰹節はくびれが目立つ頭部分から、少し立てて斜めに削る。その際、力を入れて握るのではなく、親指の付け根あたりを使って押し出す感覚で行うとラク。指は鉋からズレないよう添える程度で。

お手入れNG集

  • 刃の出し過ぎに注意。削り節が粉状になりやすく、削るときに強い力がかかり刃こぼれの原因に。
  • お手入れを忘れずに。台屋では職人によるメンテナンス(1,620円)もメーカー問わず受付中。
  • 水洗いしないこと。木材の風合いが損なわれるだけでなく、刃が錆びて機能まで失ってしまう。
  • 使用後はハケで細かい粉まで掃除を。削り節を残すと虫が沸く原因に。特に隅と刃まわりに注意。

予約してでも欲しい、もうひとつの銘品とは?

台屋の基本バリエーションは、初期から製造されている定番モデル(ウォルナット×青紙 15,120円、ブナ×青紙 12,960円)と、コンパクトに改良した赤香(ウォルナット×青紙 13,500円、ブナ×青紙 11,880円)、ノミ・鉋の名工である菊弘丸とのコラボ(21,860円)も存在する。鰹節削りにベストな刃先角度、高級鉋に使われる仕込みなど、職人のこだわりが詰まった傑作なのだが、現在は予約しても2〜3カ月待ちの状況だ。

「菊弘丸× 台屋の鰹節削り器」

見た目のシャープさからベテラン大工に好まれる「つつみぐち」を採用。手間が掛かる仕込みのため、全国でも数えるほどの職人しか施せないという。蓋の美しい曲線も高い技術の賜物だ。

通常品の仕込み。
「つつみぐち」の仕込み。

 

台屋(山谷製作所)
住所/新潟県三条市東新保12-19
TEL/0256-34-5989
営業/8:30〜18:00
休み/土、日、祝日
https://www.dai-ya.com/

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buono 編集部

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使う道具や食材にこだわり、一歩進んだ料理で誰かをよろこばせたい。そんな料理ギークな男性に向けた、斬新な視点で食の楽しさを提案するフードエンターテイメントマガジン。

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