ベベルからMotoGPマシンまで「受け継がれる最速のDNA」【L型編(1)】

デスモ、トレリス、L型エンジンなど、その時代ごとにドゥカティの最速エンジンは最新技術と独創性を積み重ね「最速のDNA」を今日まで築きあげてきた。その70年以上にも及ぶ歴史と最速のDNAを紐解く。今回は前回のデスモ編に続き、「受け継がれる最速のDNA」というエンジン特集でL型編だ。

270度-450度の不等間隔爆発がグリップ力を高める!

近年のドゥカティの市販車のエンジンは、2007年に発売されたMotoGPレプリカのデスモセディチRRと、2018年に登場したパニガーレV4を除けば、すべて『L型』。じつに50年近くもL型一筋でやってきた。

戦後間もないころの自転車用後付けエンジンの“クッチョロ”から始まり、1950年代からのカムのベベル駆動やデスモドローミック機構によって、レースでも市販車でも実績を上げたドゥカティ。しかし60年代半ばころから、とくに世界のバイクの主市場であるアメリカでは、日本製の2気筒に押され気味となる。そしてドゥカティだけでなく欧州メーカーに大打撃を与えたのが、69年に発売されたホンダのCB750Fourだ。

Lツインならではのトラクション特性

L型エンジン、すなわち「90度V型2気筒、同軸クランク」のエンジンは、爆発間隔が“270度-450度”の不等間隔で繰り返される。この広い爆発間隔とピッチが異なる爆発によるコッキングで、後輪がシッカリと路面を噛む。するとグリップ力と旋回安定性が強まり、高いトラクション性能を発揮するのだ。鋭くリーンしてグイグイ曲がる、このハンドリング特性こそ、昔からドゥカティが『コーナリングマシン』と呼ばれる所以だ。

バランサー不要!シンプルで速い!!

同じ2気筒でも“並列2気筒”の場合、ピストンの上下と爆発によって、一次振動/二次振動/偶力振動のどれか(クランク形式による)が発生する。コレは不快なだけでなくエンジンの耐久性や性能にも影響するため、重りの付いた軸(バランサー)を回すことで振動を打ち消すが、コレはもちろんパワーロスにつながる。ところがL型はどの振動も発生しないのでバランサーが不要。シンプルでパワフルなエンジンが作れるのだ。

国営企業となりL型エンジンの開発がはじまる

訪れた大排気量時代の69年、ドゥカティは国営企業となり経営陣も刷新され、アメリカ市場へのテコ入れとして大排気量&2気筒化がスタート。この時L型(90度V型2気筒)エンジンを開発したのも、デスモドローミック同様天才ファビオ・タリオーニ技師だった。またしてもハイスピードで開発し、2年後の71年にはL型エンジンの500レーサーがGPに参戦。MVアグスタに阻まれ成績は残せなかったが、500レーサーより先行して開発がスタートしていた750レーサーを元に、市販モデルの750GTも71年に販売を開始した。

そして72年、世界中の750ccが対決するイモラ200マイルレースでドゥカティが1-2フィニッシュを飾り、その勝利を記念して74年に稀代の名車、イモラレプリカの750SSが登場した。その後ベベルのL型ツイン排気量を拡大し、ヨーロッパの耐久選手権やアメリカのAMAスーパーバイク(フレディ・スペンサーも乗っていた)で活躍し、78年にはマン島TTのF1クラスでマイク・ヘイルウッドが勝利したのだ。

L型の可能性を信じて半世紀近く深化・熟成を重ねる

1970年頃に開発を始め、71年にGPレーサーおよび市販モデルに搭載されたL型エンジン。79年にはカム駆動をベベルギヤからコグドベルトに変え、コンパクト化したエンジンを搭載する500SLパンタが登場。この通称“パンタエンジン”は600TT2レーサーのベースになり、市販車750F1にも搭載され、現行スクランブラーの空冷デスモまで連綿と進化を続ける。88年には水冷4バルブDOHC化され、851から1198までスーパーバイクでも大活躍した!

1971 750GT

レーサーと同時に開発され、L型搭載の初の市販車となった750GT。翌72年には750Sも発売されたが、いずれもノンデスモ。74年に登場したイモラレプリカの750SSが、市販初のL型デスモ車となる

1971 500GP

L型750レーサーと同時に開発され、先にデビュー。初期はノンデスモで、2バルブと4バルブ、カム駆動もベベルギヤとコグドベルトと様々な仕様を試し、後のイモラレーサー(750)に引き継がれた。

※この記事はDUCATI Magazine 2019年5月号の記事をWEB用のまとめた内容となります。
(出典:『DUCATI Magazine 2019年5月号』

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