ベベルからMotoGPマシンまで「受け継がれる最速のDNA」【L型編(2)】

デスモ、トレリス、L型エンジンなど、その時代ごとにドゥカティの最速エンジンは最新技術と独創性を積み重ね「最速のDNA」を今日まで築きあげてきた。その70年以上にも及ぶ歴史最速のDNAを紐解く。今回は前回に続きL型エンジンの後編だ。

世界を席巻したL型エンジンが第2世代に突入し熟成を重ねる

大排気量の時代にL型エンジンの開発に成功し、世界でその実績を示したドゥカティ。そのL型エンジンは、さらに開発と成長をとげていく。そしてドゥカティは、かの500GPレーサーのノウハウを投入した、コンパクトなコグドベルト駆動の第2世代L型2気筒を生み出す。これもTT2クラスのレーサーと市販車を同時に開発し、79年に500SLパンタが発売され、TT2選手権のチャンピオンやマン島TTで幾度も勝利した。

そしてこの第2世代の通称“パンタエンジン”は、排気量を拡大しながら進化熟成を重ね、なんと現在のスクランブラーが搭載する空冷Lツイン(800/1100、もちろん400も)まで、基本レイアウトを変えていない。

4気筒よりも狭いクランク幅が軽快なバンクを生む

昔からドゥカティは“ハンドリングが軽快で、リーンが鋭い”と言われるが、コレは車体だけでなくエンジンの形式も大きく影響している。単気筒並みに幅の狭いL型2気筒のクランクは、横長の並列4気筒と比べてジャイロ効果がずっと小さい。さらにフレームも狭小に作れるため(パイプフレームは国産のアルミツインスパーより狭く作れる)、リーンが軽く鋭いのだ。コレはもちろん大きなメリットなのだが、ライダーが無駄な力をバイクに与えてしまうと、安定性の強い4気筒に比べて“余計な挙動”を起こしやすいので、そこはライテクを磨いて対処しよう!

L型エンジンは腕の短いヤジロベー

クランク幅の差は、ジャイロ効果(高速で回転する物体がその場にとどまろうとする力。L型の方がずっと小さい)に影響。腕の短いヤジロベーと同じで、わずかな重心移動で傾くので、ハンドリングが軽快な反面、ライダーの余計な入力にも反応してしまう。Lツインのクランク幅はおおむね300mmだが、国産スーパースポーツのコンパクトな4気筒でも400mmくらい。この差がドゥティの軽快で鋭いハンドリングを生む大きな要因になっている。

前後に長いデメリットを解消したV4エンジン

L型エンジンの数少ないデメリットの“前後の長さ”。パンタ系以降はクランクケースにピボットを配置してスイングアーム長を稼ぐ努力をするが、それでも前シリンダーが横に寝ているのでホイールベースが長い。そこでエンジンを完全刷新したパニガーレ(2気筒)では、エンジンを少し後傾させて対応。そしてパニガーレV4(上の写真)ではさらに搭載角を後傾させて相対的な前後長を短縮。真横から見ると“L”ではなく、完全に“V”字に見えるようになった。

今流行の逆回転クランク 実はベベルで採用されていた!

現行MotoGPマシンのすべてが逆回転クランクで、パニガーレV4も採用するが、コレは前輪の接地を高め、旋回力と安定性を向上するための最新トレンド……だが、じつは最初のL型2気筒で早くも採用していた。前後長のあるL型はホイールベースが長めな上、前輪をエンジン側(車体重心側)に詰められないため採用。現在と同じ効果を狙った、じつに先進的なエンジンだった。

今さらながらベベルって何?

カムシャフトを傘歯車(ベベルギヤ)で駆動するところから付いた愛称。機械ロスが少なく、正確に回せるのが特徴。

半世紀も第一線で活躍しているL型エンジン

スーパーバイクでいえば、88年の851から1198までのスーパーバイクの水冷4バルブDOHCエンジンも、腰下(クランクケース)は空冷のパンタエンジンがベース。さきほどのスクランブラーといい、パニガーレ(2気筒、4気筒)を除く、現行ドゥカティのエンジンは、すべて500GPレーサーのL型エンジンを祖とするワケで、半世紀も第一線のパフォーマンスを放っている。こんな凄いエンジンは、世界的に見ても類が無い。そういった意味でもL型エンジンは、実績はもちろん魅力にあふれた系譜なのだ。

※この記事はDUCATI Magazine 2019年5月号の記事をWEB用のまとめた内容となります。
(出典:『DUCATI Magazine 2019年5月号』

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