ベベルからMotoGPマシンまで「受け継がれる最速のDNA」【トレリスフレーム編①】

デスモ、トレリス、L型エンジンなど、その時代ごとにドゥカティの最速エンジンは最新技術と独創性を積み重ね「最速のDNA」を今日まで築きあげてきた。その70年以上にも及ぶ歴史をここでは特別にお届けしたい。前回までは、ドゥカティのエンジンを紹介してきたが、今回からはフレームにクローズアップ。同社のアイコン的な存在であるトレリスフレームのヒストリーとその特徴を紹介しよう。

アルミフレーム全盛の時代にスチールパイプを主軸にするドゥカティ

ドゥカティのフレームは、60年代までの単気筒時代は、アンダーループを持たないバックボーンフレームが主流。エンジンのクランクケースをフレーム剛体の一部に使う、いわゆる“ダイヤモンドフレーム”だが、小中排気量のバイクでは良くある形式だ。

続いて70年初頭にL型2気筒(通称“ベベル”)が登場するが、これまた鋼管バックボーンのダイヤモンドフレームだが、大排気量モデルの市販車では、しっかりエンジンを載せる形式のダブルクレードルフレームが主流だったから、ちょっと珍しかったかも。

当時珍しかったダイヤモンドフレーム

トレリスフレームって何?

トレリスとは“格子、格子状”の意味。スーパーバイクの916系などは上下の太いパイプの間に細いパイプを巡らせた、いかにも格子状のルックスから命名されたのだろう。近年ではメーカーのフレーム形式の表記がトレリスに統一されているが。パンタ以降(85年)~90年代後半頃までは“オーバーヘッドチューブラーラダー”と表記されることもあった。直訳すれば“頭上鋼管梯子型”で、この方がルックスと直結したネーミングでわかりやすい!?

格子状にパイプを組んだトレリスフレーム

 

トラスフレームとトレリスフレーム

ドゥカティのフレームを“トラス”フレームと表記しているコトがあるが、実は厳密には違う。トラスとは鉄橋などに多く用いられる構造で“三角形”が基本。力を加えても応力集中して歪むことのない三角形を組み合わせることで、軽量で強度や剛性を確保できる。例えばパンタエンジンを搭載するビモータDB1のフレームは、典型的なトラス構造といえる。

ビモータ DB1

エンジンの強度を利用して強固なフレームに仕上げる

昔の英国車やレトロなネイキッドに多いクレードル(“ゆりかご”の意味)フレームのようなエンジンを“載せる”形式と異なり、エンジンを剛体としてフレームの一部に利用する方式を、総称して「ダイヤモンドフレーム」と呼ぶが、ドゥカティはこの考え方が徹底している。とくに近年は写真のようにフレームは極小で、ライダーが乗るシートレールやスイングアームも個別にエンジンから生えていて、もはや“エンジン=フレーム”といって過言でない構造だ。

モンスター696のフレームはわずかコレだけ!

 

750FIパンタからはじまった市販車トレリスフレーム

そして第2世代のL型、いわゆるパンタエンジンが登場し、TT2レースでの活躍から750F1パンタが発売されたのが1985年。ドゥカティは初めて市販車にトレリスフレームを採用した。……が、85年と言えば日本ではアルミフレームのスズキGSX-R750が登場した年。すでに中型(250や400cc)はレプリカ化でアルミフレームが増加しており、ついに大排気量スポーツもアルミフレームだ! という機運が高まっていたから、当時はやっぱり外国車って旧態依然……と感じたライダーも少なくなかった。

初めてトレリスフレームを採用した750F1

さらに80年代終盤に登場した水冷スーパーバイクの851系もスチールパイプのフレーム。日本製スポーツはアルミの幅広なツインスパーフレームが主流なのに、まだイタリアではアルミフレームを作る技術が無いのか……と思った人は、さすがに少ないだろう。燃料供給にいち早く電子制御FIを取り入れたり、スーパーバイクレースでドンドン成績を出すマシンを、「時代遅れのパイプフレーム」などと言えるワケがない。そして“もしかして、ドカのパイプフレームって凄いのか?”という想像は、94年に登場した916で“確信”に変わったライダーも多いのではないだろうか。

最初のスーパーバイクとなった851

そんな秀逸なドゥカティのトレリスフレームだが、初期のレーサーやパンタ系のフレームを開発したのは、またしてもファビオ・タリオーニ技師。そしてスーパーバイク916を生み出したのは、かのビモータ創始者のひとりであるマッシモ・タンブリーニというから、古くからのバイクファンなら、それだけで“凄いフレーム”とイメージするのではないだろうか。

 

 

 

■この記事はDUCATI Magazine 5月号82号の記事をWEB用のまとめた内容となります。

 

 

 

SHARE

PROFILE

FUNQ

趣味の時代に読むメディア

FUNQ

趣味の専門誌を届けてきた私たちが世界中の人に向けて、趣味の世界への入り口をつくりました。彩りに満ちた人生の新たな1ページが、ここから始まります。

趣味の専門誌を届けてきた私たちが世界中の人に向けて、趣味の世界への入り口をつくりました。彩りに満ちた人生の新たな1ページが、ここから始まります。

DUCATI Magazine TOPへ

No more pages to load