ベベルからMotoGPマシンまで「受け継がれる最速のDNA」【トレリスフレーム編②】

デスモ、トレリス、L型エンジンなど、その時代ごとにドゥカティの最速エンジンは最新技術と独創性を積み重ね「最速のDNA」を今日まで築きあげてきた。その70年以上にも及ぶ歴史をここでは特別にお届けしたい。前回からドゥカティの最大の特徴のひとつといえる「トレリスフレーム」をお伝えしているが、今回はその二回目だ。

性能と合理性には裏付けがあった強い拘り

パンタエンジンといわれる750F1パンタでのトレリスフレームの市販車発売から、スーパーバイク851、916までパイプフレームを貫いてきたドゥカティ。そして03年から参戦を始めたロードレース最高峰のMotoGPでも、あろうことか!? このマシンにもパイプフレームを採用。コレにはさすがに驚いた。さらに07年にケーシー・ストーナー選手がデスモセディチD16GP7(パイプフレームがもっとも極小化したマシン)でチャンピオンを獲得したのだから、このフレームのパフォーマンスは折り紙付き。 そのコンパクトなパイプフレームの構想は、現行市販車のモンスターやスーパースポーツ、最新のディアベルなどにシッカリと反映されているのだ。

MotoGPマシンの市販バージョンとして発売されたデスモセディチRR。フレームの小ささがよく分かる

パイプフレームは形状の自由度が高い

パイプなのでエンジンのシリンダーヘッド側面のギリギリまで寄せることができる。また、幅広なアルミツインスパーフレームと異なり、パイプとパイプの間に吸気ダクトや冷却水の配管、ハーネス類等を簡単に通せるため、軽量でコンパクトな上に場所ごとに必要な剛性に設計しやすいメリットもある。ただし溶接個所が多いので、生産するのにコストがかかるのがデメリット。自転車のフレーム作りなどが盛んで、細いパイプを繊細に溶接できる職人が多いイタリアだからこそ可能なのだ。

パイプフレームはエンジン形状に沿ってデザインされ、ホースなどの取り回しの自由度も高い

車体の幅はエンジンと同じくらいのスリムさ

そもそもドゥカティのエンジンは“単気筒+α”の幅しかないL型2気筒。そこに持ってきてシリンダーの側面にギリギリ沿うようなレイアウトだから、フレーム幅も猛烈に狭い(成人男性の肩幅より狭いくらい)。一方、日本車に多いアルミのボックス材や鋳造パーツで構成するツインスパーの場合、放熱も含めてエンジン側面から相応にマージンを取る必要がある。しかもエンジンが並列4気筒なら当然幅広になるし、スイングアームピボット周辺を強固にすると幅狭にするのが難しい。
バイクのハンドリングは、じつはフレームの幅に大きく影響される。もちろん各部のディメンション(ホイールベースやキャスター角等々)も、関係するが、大元のフレーム幅が狭いほど、基本的にリーンが軽く鋭くなる。この車体幅の差は、実際に乗るとかなり大きいのだ!

車体の幅は非常にスリム

スリムな車体が可能にする鋭いリーン

市販車からMotoGPマシンにまで採用されたトレリスフレームが、ドゥカティならではの鋭いリーンを生んだ。その鋭さは一方で、、ライダーのわずかな動作に敏感に反応してしまう難しさ併せ持っている。これこそ、ドゥカティがスパルタンで難しいバイクと言われる理由のひとつ。ストイックなまでに速さに繋がる合理性を求めた結果なのだ。

トレリスフレームが時代遅れではないことをWSBでの活躍で証明した

■この記事はDUCATI Magazine 5月号82号の記事をWEB用のまとめた内容となります。

 

 

 

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藤田佳照

永遠のライテク初心者

藤田佳照

ライダースクラブ編集部員。ツーリングやキャンプからバイクの世界に入り、ハーレーを中心としたカスタムカルチャーに染まる。高性能パーツよりもツーリングに便利なアイテムを好む、永遠のライテク初心者

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