ドゥカティ パニガーレ V4 衝撃のデビュー  その①エンジン編

DUCATI SPECIAL ISSUE : PANIGALE V4 第1回/全4回シリーズ

ドゥカティの歴史を語る上で、2018年は後世まで語り継がれることになるだろう。新生パニガーレに搭載されたV 4エンジンには、それほど強烈なインパクトがあった。そこで改めて、パニガーレV4の「凄さ」を紐解いていく。全4回シリーズの第1回となる今回はエンジン編。

スペイン・ヴァレンシアサーキットで開催されたワールドローンチ試乗に参加した『ドゥカティマガジン』誌編集長の小川と、ライターの伊丹とで交わされたマシン・インプレッションを振り返っていこう。

今回の発表会はスペイン・ヴァレンシア市内にある博物館「シティ・オブ・アート&サイエンス」で開催された。二輪に対する理解と人気の高さが伺える演出だった

 

スーパーバイクの勢力図を変える超絶パフォーマンス

スペイン・ヴァレンシアサーキットで試乗会を開催 V4で見えたドカの真髄 マシンインプレッション・トーク

伊丹:なんだか久しぶりに凄いバイクに乗ったね。15年にヤマハからYZF︲R1Mが出た時も驚いたけど、パニガーレV4Sのインパクトはそれ以上だった。「怒涛の加速」っていう表現はこのエンジンにこそふさわしい。

小川:同感です。ライディングモードがなんであれ、最初はストレートでさえ全開にできませんでした。今時のエンジンはどれだけパワフルでもある程度フラットに回るじゃないですか。でもV4Sのエンジンは露骨に高回転型で、特に1万回転を超えてからのパワーの立ち上がり方と回転数の跳ね上がり方はちょっとおかしい。慣れるまで相当時間がかかりました。

伊丹:ライディングモードにはレース/スポーツ/ストリートの3種が用意されているものの、どれを選んでも結局214㎰に到達するという罠(笑)。そりゃ、どれでも速いよね。裏を返せば、電子制御に対する自信の表れと言えるんじゃないかな。加速感には怯まされるものの、コーナリング中のスタビリティは抜群だった。ストレートよりもフルバンクの方が安心できるスーパースポーツっていうのもある意味、画期的。

小川:その安定性の高さは減速からすでに始まっていて、フルブレーキングでもノーズダイブは穏やかで、ABSの介入も自然ですね。しかもリヤタイヤが微妙に振り出してくれるため、車体をリーンさせる時には向きが変わり始めている。そんなイメージです。

『パニガーレ V4 衝撃のデビュー  エンジン編』

衝撃!『PANIGALE V4 Desmosedici Stradare』量産市販車最高の出力214ps パワーウエイトレシオ0.91kg/ps

パニガーレV4が発揮する214㎰という最高出力は量産市販モデルの中ではぶっちぎりの数値だ。1299パニガーレRファイナルエディション(209㎰)や1299スーパーレッジェーラ(215㎰)がこれに追随、もしくは超えているものの、台数も価格もスペシャルなことを踏ま
えると、やはりこのモデルのスペックは突出。いずれにしてもドゥカティ同士で凄まじいスペック競争が繰り広げられているというわけだ。しかも装備車重は195㎏に抑えられているため、パワーウエイトレシオも0.91㎏ /㎰という驚異的なレベルを誇る! !

衝撃!驚異のパワーはデスモドローミック機構だから実現した

4ストロークエンジンの吸排気バルブを閉じる時、スプリングの反力を利用するのが一般的だ。ところがドゥカティはロッカーアームでバルブを強制的に開閉するデスモドローミック機構を採用。そのメリットは駆動ロスが少なく、高回転域まで回り、精密なバルブ駆動が行えることにある。設計とメンテナンスがシビアになるため、他メーカーは見送っているものの、ドゥカティは60年以上の積み重ねでこれを克服。MotoGP マシンのエンジンにも採用されているのだ。ドゥカティが見せつける圧倒的なトップスピードはこの機構によるところが大きく、今やなくてはならないアイデンティティのひとつになっている。※MotoGPもドゥカティ以外はニューマチックバルブ

 

衝撃!『GP18Desmosedici GP』MotoGPマシンと同じV型4気筒

上の写真を見比べてもらうと分かる通り、MotoGP 用のエンジンとパニガーレV4のエンジンはかなり似ている。それもそのはずで、シリンダーの挟み角はともに90度でピストンのボア径も同じ。セミドライサンプ式のオイル潤滑システムも共通している。ちなみに、これまでドゥカティは90度のことを「L」と称していたが、このエンジンに関しては「V」と表現。その理由は真横から見れば納得で、これまでのLツインに対してかなり後方に傾けられているため(地面に対し42°)、確かにVと呼ぶ方が自然だ
(※MotoGP用のエンジンがデスモセディチGPと呼ばれているのに対し、パニガーレV4のそれはデスモセディチ・ストラダーレ(=公道用デスモドローミック16バルブ)と名づけられた。ストリートでの使用も前提とされているため、高いパフォーマンスのみならず耐久性やメンテナンス性にも配慮。パワーのカギを握るバルブクリアランスの点検&調整は24000km という長いサイクルが保証されている)

衝撃!細かく可変するファンネルが可能にした

ドゥカティの市販車に初めて採用された機構がこの可変吸気システムだ。これは楕円型スロットルボディ(口径はφ52mm相当)に備えられた可動ファンネルが上下動することによって、エアインテークの長さが変化。エンジン回転数やスロットル開度がECUと連動し、常に最適な吸気量をエンジンに送り込むことを目的に開発された。結果的にリニアなスロットルレスポンスがもたらされ、コーナリング中のスタビリティも向上している

伊丹:走行前のブリーフィングで電子制御のレクチャーがあったでしょ?「進入スライドを試すならココ、スライドコントロールならコッチがおすすめ」みたいな。半分ジョークのつもりで聞いていたけれど、いざ走り出すとその領域がちょっと分かった。

衝撃!MotoGPマシンと同じ逆回転クランクを採用

今、MotoGPマシンには逆回転クランクシャフトが採用されている(KTMは未確認)。進行方向とは逆に、つまり後ろ向きに回転するこの機構にはいくつかのメリットがある。まずは車体をリーンさせたり、切り返したりする時のハンドリングの軽さだ。例えばホイールやクランクといった大きくて重いパーツが同一方向に回転すればジャイロ効果は高まって車体は安定する。逆に言えばハンドリングはどんどん重くなる傾向にあるが、その力を相殺してくれるというわけだ。これは加減速時にも効き、後ろ向きに発生する慣性力が加速中のウイリーを抑制し、ブレーキング中はその力がリヤタイヤの接地感に作用。パワフルなマシンになればなるほど、アドバンテージを発揮する。直進安定性の低下や重量増などのデメリットはあるが、それを補って余りある効果があるのだ。(※実はベベルも逆クランクだった)

衝撃!爆発の順番や間隔もMotoGPマシンと同じ

上の数値は各気筒の点火順序を示している。まず左側バンクが短い間隔で爆発し、少し間を置いて右側バンクがやはり短い間隔で爆発。数値的には、0°→90°→290°→360°という不等間隔が与えられMotoGPマシンと共通だ。ツインパルスと呼ばれるこの点火タイミングは2気筒に近いフィーリングを再現していることが特徴で、実際アイドリング付近の排気音は音圧こそ違うがかなり似ている

衝撃!爆発の順番や間隔もMotoGPマシンと同じ

MotoGP マシンとの共通項はまだある。それがφ81mmのピストン径だ。この数値はレースのレギュレーションで定められている最大ボアでもあり、その一方でストロークを53.5mmに設定することで1103ccまで排気量を拡大(MotoGP マシンは1000cc以下だ)。これはパワーのためというよりも低回転域でのフレキシビリティを重視した結果だ。ピストンのスカート高と上面の肉厚は極めて薄く、フリクションの軽減と軽量化を実現。圧縮比は14対1にまで高められている

 

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