ドゥカティ パニガーレ V4 衝撃のデビュー  その②ボディワーク編

DUCATI SPECIAL ISSUE : PANIGALE V4 第2回/全4回シリーズ

ドゥカティの歴史を語る上で、2018年は後世まで語り継がれることになるだろう。新生パニガーレに搭載されたV 4エンジンには、それほど強烈なインパクトがあった。そこで改めて、パニガーレV4の「凄さ」を紐解いていく。全4回シリーズの第1回となる今回はエンジン編。

スペイン・ヴァレンシアサーキットで開催されたワールドローンチ試乗に参加した『ドゥカティマガジン』誌編集長の小川と、ライターの伊丹とで交わされたマシン・インプレッションを振り返っていこう。

パニガーレV4Sはヴァレンシア市内のミュージアムで披露。敷地内の池に車体が浮かんでいるかのように展示されるなど、凝った演出が光った。試乗会はMotoGPも開催されるヴァレンシアサーキットを舞台に開催された。全長4051mと比較的短いテクニカルコースゆえ、高い旋回力と効率のいい加速性能が試されるレイアウトだ

MotoGPの開催コースが狭く感じられるほどのパフォーマンス

スペイン・ヴァレンシアサーキットで試乗会を開催 V4で見えたドカの真髄 『パニガーレV4 インプレッション・トーク第2回』

 

小川:新型キャリパーはコントローラブルですし、丸1日レーシングスピードで走ってもフェードする気配はまったくなし。それにダウン側のシフターもスムーズに入って良かったですね。ブレーキングからターンインに至る挙動がとても軽く、それでいてタイヤの接地感はしっかりある。あらゆる電子制御が相互に作用していることに加えて、逆回転クランクも恩恵も大きいと感じました。

伊丹:加速中も減速中も不用意にタイヤがリフトしないのは確かにそうだと思う。理屈で言えば、前後ホイールのジャイロ効果を逆回転クランクが打ち消そうとするため、直進安定性は劣るはずだし、実際そうだった。それ以外のメリットがあまりにも大きいから、それくらいのネガはガマンしろってことだと思う(笑)。

小川:でもそれだけの価値は確かにあります。エンジンは大きく重たくなっているのに、ハンドリングのシャープさは2気筒と遜色なく、強大だったトルクがほど良く軽減されているのでスロットル開け始めのレスポンスはスムーズ。純粋に走行ラインをトレースすることに集中できました。

伊丹:ま、重たくなっていると言ってもエンジン単体での重量増はわずか2・2㎏だし、車体全体でも5㎏。それだけアップしても車重195㎏(STDのV4は198㎏)に留められているから4気筒エンジンを搭載するスーパースポーツの中では最軽量の部類。214㎰の最高出力の前ではそんな重量増なんてなんの影響もない(笑)。それよりもコーナリング中の振る舞いが洗練されていて、挙動がほとんど乱れないからどこに限界があるのか探りたくなるんだよね。ブレーキングポイントは奥になるし、バンク角も深くなる一方。しかも立ち上がりでスロットルを開けるポイントも早くなる……といった具合にどんどん操作が積極的になり、身体のオフセット量も増えていくので体力の消耗がハンパない。でも、走行中に「今の俺、なんかモトGPライダーっぽくない!?」って思える瞬間が度々あって、それが結構気持ちよく、ライディングの満足度は極めて高い。趣味としてバイクを楽しむわけだから、こういう感覚に浸れるかどうかはとても大切。

パニガーレ V4 衝撃のデビュー ボディワーク編』

衝撃! 『エンジンはシャーシの一部』 1299パニガーレよりわずか5.5kg増

2気筒だったエンジンが4気筒になり、ドゥカティファンが最も懸念するのが車重の増加だろう。しかしながら心配は無用だ。エンジン単体重量は1299パニガーレ比で2.2kg増に抑えられ、車体全体でも5.5kg増に抑制。195kg(パニガーレV4S)と198kg(同V4)という装備重量は他メーカーのスーパースポーツの多くが200kgを超えていることを思えば、いかに軽量に仕上げられているかが分かる。そこに大きく貢献しているのがモノコックを進化させた「フロントフレーム」で、その重量はわずか4.0kg。剛性バランスの最適化によってハンドリングも向上しているのである

衝撃!専用キャリパーで軽量かつ耐フェード性を向上

07年にデビューした1098に初めて採用されたのがラジアルマウントされたブレンボのモノブロックキャリパーだ。以来それはモデルチェンジ毎にアップデートされ、もちろん今回のパニガーレV4でも大きく進化。Stylema(スティルマ)と呼ばれる新しいタイプのキャリパーが装着されることになった。前作M50と比較するとコンパクトになり、左右それぞれで70gずつの軽量化を達成。内部のベンチレーション機能も見直され、耐フェード性が大きく向上している(剛性を犠牲にすることなく軽量コンパクトになった新型キャリパー。ボッシュのシステムによって制御されるコーナリングABS EVOとの相性も抜群だ)

 

衝撃!専用タイヤでエアボリュームを稼ぐ

ブレンボと同様、ドゥカティはピレリとも密接な関係にあり、これまでさまざまなタイヤを車種専用で開発してきた。今回特に注目すべきはリヤタイヤで、市販車初となる200/60-17というサイズのディアブロスーパーコルサSPV3を採用。これはWSB用スリックタイヤとほぼ同一サイズとなる。その目的は接地面積とエアボリュームの確保にあり、グリップ力と衝撃吸収性が引き上げられているのだ。(※200幅の扁平率は55が一般的だがこちらは60。プロファイルが広げられ、限界域の掴みやすさやコントロール性が向上している。試乗会にはピレリのテストライダー達も来場)

衝撃!軽量なリチウムバッテリーを採用

パニガーレV4Sと同スペチアーレには軽量コンパクトなリチウムイオンバッテリー(写真の赤い部分)が標準装備され、軽量化に大きく貢献。スタンダードモデルであるパニガーレV4の装備重量が198kgなのに対し、この2機種は3kg軽いがその大部分はこのバッテリーによるものだ。本体はタンク脇に設置され、マスの集中化と重量バランスにも配慮されている

衝撃サイドスタンドにアシスト”ポチ”がある!!

ドゥカティのスーパーバイクシリーズといえばパフォーマンスありきであり、利便性や快適性は二の次。そんなイメージが少なからずあるが、パニガーレV4のサイドスタンドには突起が備えられ、発進時や停車時に出し入れがしやすいようにひと工夫凝らされている。小柄なライダーは特にありがたいはず

衝撃リヤサスペンションをエンジンにマウント!

一見しただけでは見過ごしそうだが、パニガーレV4のかなりユニークなポイントはリヤサスペンションのマウント方法だ。本体そのものはオーリンズの電子制御式TTX36だが、その上下に備えられたアルミ鍛造のブラケットを介し、エンジンの後方シリンダーに直接ボルトオンで結合されるというもの。シンプルと言えばシンプルだが、大胆と言えば大胆。1199や1299パニガーレのサイドマウント方式とアジャスタブルリンクにも驚かされたが、こちらのインパクトはそれ以上だ。実車を見る機会があれば、ぜひじっくりと観察してみてほしい。もちろんリヤホイールのトラベル量は130mmと充分な数値が確保されている

衝撃燃料タンクをシート下にしてマスの集中化

アルミ製燃料タンクの容量は16リットル。給油口直下とその前端の大部分は各種電子部品やバッテリー、エアクリーナーボックスに占められている。ではガソリンがどこに入っているのかと言えば、タンクがシート下に潜り込むような形で延長されていることが分かる。ガソリンの増減によって変化するハンドリングを最小限に留めるための措置でレーシングマシン由来の技術でもある。パニガーレV4ではその存在が見えるようにデザインされている。

衝撃スイングアームは1299より長い?

パニガーレV4が装備する鍛造アルミ片持ちスイングアームの長さは1299パニガーレの533mmから大幅に延長され600mmに到達。これによって主にコーナリング時のスタビリティが引き上げられている。その一方でホイールベースそのものが1469mm(1299パニガーレは1437mm)に抑えられているのは、無駄なく配置されたリヤサスペンションの効果が大きい。ピボットを持たず、クランクケース後端に結合される構造は従来通りだ

衝撃フレーム剛性に頼らないハンドリング性能作りを一貫

まずはフレームや足周りを頑強に作り、そこにエンジンを搭載する。それが多くのバイクメーカーの考え方だが、ドゥカティはエンジンにフレームや足周りをくっつけ、バイク全体で剛性バランスを取るという独特の哲学がある。それはパニガーレシリーズも同様で、実際フレームにはさまざまな素材がトライされてきた。たとえばLツインのモノコックフレームだけでも左の3種があり、このあたりの柔軟な発想は他メーカーでは見られない。その進化版がパニガーレV4のフロントフレームだ(写真上、1199Superleggeraマグネシウム、写真中、1299Superleggeraカーボン、写真下、1299PanigaleS アルミ)

 

 

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池田大二郎

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