プレイバック対談!ついに復活したオールラウンダー・スーパースポーツ

SUPER SPORT/S SS復活!! いま、必要なバイクは何かドゥカティの答えがここにある 対談インプレッション

かつてドゥカティの主力でもあったSS(=スーパースポーツ)の名が復活。しかし、それは単なるリバイバルモデルではなかった!!

今回はドゥカティの人気カテゴリーとなるスーパースポーツの復活劇、その後編をお届けする。惜しまれつつも一度カテゴリーから消えたドゥカティの主力分野。2017年に復活したその模様を2回に分けてプレイバックレポート。今回は現地での試乗会後に行われたフリーライター伊丹孝裕氏とライダースクラブ編集長小川とのインプレッション対談だ。

「2017年はこの顔に注目ですね」 フリーライター 伊丹孝裕とライダースクラブ編集長 小川勤が試乗会に参加

フリーライター 伊丹孝裕
30歳当時、ある出版社が所有していたSS1000DSでドゥカティカップに参戦したことが縁で、ほどなく編集者生活をスタート。もしもあれがなければ、こうして新型SSの試乗会に来ることもなかったかも!?

編集長 小川勤
ライダースクラブ編集部にやってきて約22年が経過。 その間に旧車も含めてさまざまなドゥカティに試乗してきた。ワールドローンチにも積極的に参加。ドゥカティ専門誌の製作を手掛けるくらいドゥカティ好き

小川:試乗のコンディションとしてはかなり悪い条件でしたが、だからこそエンジンや車体の素性がよく分かりましたね。これはもちろんいい意味で、最初からかなりのペースで不安なく走らせること ができました。
伊丹:外装のデザインはパニガーレ風だから一見手強さを感じさせ たものの、跨ればポジションはかなりアップライトでコンパクト。身体のどこにも無理な力が入らず、最初から一体感が高いことが印象 的だった。パニガーレはペースを上げれば上げるほどしっくりくる反面、例えばモンスターをその領 域まで押し上げるとフロントの接地感が希薄になっていく。つまりそれぞれに得意なスピードレンジがあるってことだけど、SSはどんなコンディションで、どんな風に走らせても手応えや挙動がほとんど変わらず、とにかくナチュラルだった。
小川:1本目の走行が終わった後、 他のテスターもSSに対してポジティブな印象を抱いたようで、雨の中にもかかわらず笑顔。こういうことはドゥカティでは珍しく、特に今回の日本人メンバーは小柄なライダーが多かったのに、不安なく攻め込んでいました。それが可能だったのはバランスの取れたポジションに加え、きちんと躾けられたエンジンの良さでしょうね。ベースはハイパーモタード939に搭載されている937㏄の水冷 Lツインながら、既存のものと大きく異なるのはライド・バイ・ワイヤの制御にコンチネンタルの技術が盛り込まれたこと。スロットルの開けやすさといい、回転が上昇していく時のパワー特性といい、2気筒のいいところだけを抽出して後輪に伝えてくれる。そんな 印象でした。

ライディングモードは3種類 トラコンやABSもモードに連動

お馴染みのライディングモードはスポーツ/ツーリン グ/アーバンの3種から選べ、それにともなってトラ コンやABSの介入度が変化。スポーツが最もダイレクトなレスポンスを見せるが、神経質さはない

アップダウンのクイックシフトを装備

Sにはクラッチ操作なしでシフトアップもダウンも可 能なドゥカティ・クイック・シフト(DQS)を標準 装備。その作動はスムーズかつ正確ゆえ、スポーツ性の向上のみならずツーリング時の疲労軽減にも貢献

毎日をもっとスポーティに!! byドメニカーリ

伊丹:SSのエンジンは最大トルクの 80 %をわずか3000回転で発生するらしく、高回転まで回した時のトルク変動もほぼフラット。だからスロットルワークが少々ラフになったとしても変な挙 動が出にくい。そういう根本的な部分がしっかりと作り込まれているから、極論を言えばスポーツ、 ツーリング、アーバンと3種類あるライディングモードの内、どれを選んでも神経質過ぎることも、 パワーが間引かれ過ぎることもなく走れてしまう。実際、今回はウ エット路面の中でもスポーツモードを試してみたけれど、109hpのフルパワーを恐怖感なく引き出 せた。最もマイルドなアーバンを選んでも(75hp程度に制限される)、スロットル開度に対して無反応になる領域はほぼなく、このあたりのサジ加減は本当に上手い。
小川:そういう意味ではトラコンの作動感も絶妙でした。メーターパネルに介入を示すインジケーターがあり、その点滅が制御を教えてくれますが、見ていなければまったく気がつかないほど。必要以上に抑制するのではなく、車体を前へ、前へと進めようとするスー パーバイク仕込みのノウハウを感じさせてくれる部分でした。
伊丹:スーパーバイク仕込みと言えば、上級グレードのSに標準装備されるクイックシフトもまさにそう。シフトアップはもちろんダウンにも対応し、その時の精度や変速の速さ、ショックの無さはほとんど文句なし。特にダウン側はスリッパークラッチとも連動しているから、機械任せにしておいた方が多くの場面でスムーズに減速することができた。
小川:ライン取りや向き変えに集中できるのでサーキット走行時に有効なことはもちろん、普段の街中やツーリングにも便利。使うのと使わないのとでは疲労感に大きな差が出てきそうです。 伊丹:排気量とパワーとその制御系がバランスすると、Lツインがこんなに気持ちよくなるというお手本のような仕上がりだよね。
小川:しかもハンドリングもよく、 まさにフレンドリー。リーンする時のきっかけやコーナリング中の 荷重の掛け方、立ち上がりでのトラクションといった小難しさから 解放されていて素直に楽しめます。
伊丹:本当にそう。特にタイヤからの接地感は高く、バンク角は浅くても深くても自然に舵角が付き、ニュートラルに旋回。だから車体に身を任せて流すことも、積極的にコーナリングスピードを追求することも許容してくれる懐の深さがSSならではの魅力だと思う。

スクリーンは2段階に可変。シーンに合わせて使いたい

フロントスクリーンは50㎜の幅で上下2段階に高さ調整が可能(手動式)。ウインドプロテクションがさらに引き上げられたツーリングスクリーンもオプションで選べる

Sとスタンダードはサスが異なる

グレード間にある最大の違いはサスペンションの銘柄だ。前後オーリンズのSに対し、STDは前マルゾッキ、後ザックスの組み合わせ。やはりSの方が確実にしなやかだ

Sにはリヤシートカバーを標準装備  シート下にはUSBポートも用意

スポーティなスタイルを演出するボディ同色のリヤシートカバーはSに標準装備。またいずれのグレードもシート下に防水タイプのUSB充電ソケットを備え、さまざまな電子機器との接続や拡張が可能になっている

タイヤはピレリ製のディアブロ・ロッソⅢ

扱いやすいハンドリングと高いグリップ力、耐ウエット性能など、その優れたバランスで人気のピレリ製ハイグリップラジアル「ディアブロ・ロッソⅢ」を新デザインの軽量アルミ3本Y字ホイールに組み合わせる

オプションでブルートゥースと連動 グリップヒーターも装着できる

液晶メーターパネルはドゥカティ・マルチメ ディア・システムにも対応し、ブルートゥースを経由することによってミュージックプレイヤーの操作の他、スマートフォンでの通話やメッセージの受信が可能になる

小川:ここまではオーリンズ製サスペンションとクイックシフトを標準装備するSのインプレッションですが、ワインディングで乗ったSTDの印象はどうでした?
伊丹:エンジンのフレキシビリティや快適なポジションはSと同等だから、基本的にはもちろん好印象。だけど、路面のギャップが増えるシチュエーションだったからこそ、オーリンズのしなやかさに軍配が上がるし、それがハンドリングの軽快感にもつながっている。小川君が言ったようにクイックシフトはツーリングにも恩恵があるため、SとSTDの間には約20万円の差があることを踏まえても「お薦めは?」と聞かれるとやはりSだね。
小川:同感です。ただ、いずれを選んだとしても過去のドゥカティのラインナップ中、最もオールラウンドに使える1台になるかと。 特に平均的な体格の日本人が日本の道路を走らせることを想定するとベストな選択になるのは間違いなく、街乗りもツーリングもサーキットもそのままカバーしてくれるだけでなく、豊富なアクセサリーでカスタマイズすればロングツアラーに仕立てることもレースに参戦するのも自由自在。ドゥカティの開発陣はプレゼンの際、「多様性」という言葉を使っていましたがその通りだと思います。
伊丹:確かにこの十数年の間、ド ゥカティのラインナップはかなり 振り幅が大きかった。モンスターはさておいてもハイパーモタードにムルティストラーダ、ディアベル、スクランブラー…と個性派シリーズが揃えられ、王道のスーパーバイクはどんどん先鋭化。気がつけば、なんにでも使えるごく普通のスポーツバイクが手薄になっていたことは否めない。
小川:で、「今のドゥカティに足りないのは一体どんなバイクなのか?」とみんなが真剣に検証した結果、SSに行き着いたと。
伊丹:ユニークなのは、過去のSSはその時代のフラッグシップだったり、その下に属するエントリーモデルだったりと明確なヒエラルキーの中にあった。だけど、新型SSはあらゆるモデルのイイトコ取りを狙った最大公約数的な キャラクターを持っているのが大きな違いだと思う。その意味で今後のドゥカティの中心になるべき 存在であり、この完成度を見ればそれを実現する可能性は極めて高い。「街中で扱いやすく、ロングランは快適で、ドゥカティらしいスポーティさも忘れていないスタイリッシュな1台」というテーマに対する最良の回答がまさにこれ。 日本で走れる日が待ち遠しいね。

ミラノショーで人気をひとり占め!?

SSの存在は2016年夏のWDWで明らかにされていたものの、広く一般に公開されたのは11月に開催されたEICMA(ミラノショー)でのこと。この時、来場者の人気投票によって「最も美しいバイク」に選ばれ、その人気を裏付けた

かつてのSSは名車ばかり。4代目は名車になれるか?

初代SSは生粋のレーサーレプリカとして開発され、ドゥカティの代名詞的な存在として君臨。時代とともにそのポジショニングやコンセプトは変化してきたものの、その名は常にドゥカティを支え、ブランド力の向上とマーケットの拡充に貢献してきた大切な存在だ。

初代 1st 伝説のレース「イモラ200マイル」での優勝を記念して製作された750SSがスーパースポーツの名を持つ初代モデルだ。’73年から’77年にかけ、400台程度が生産された
二代目 2nd レースを前提にしたWSB用マシンが先鋭化される中、その雰囲気をより手軽に味わえるスポーツモデルの基盤として’89年に登場。これによってドゥカティのシェアが一気に拡大した
三代目3rd ピエール・テルブランチに よってデザインされ、’98年に登場。750㏄と900㏄の2本立てで始まったラインナップは後に1000DSまで進化し、’06年まで生産されて一度その名が消えた

レースにもツーリングにも対応

SSにはドゥカティパフォーマンスから豊富なアクセサリーが準備され、ファクトリーレーサーのようなチタニウム製レーシングエキゾースト(上)やサイドパニア(下)など走る場所や目的に応じて、好みのスタイルに仕立てられる。

 

 

 

 

 

 

 

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PROFILE

小川 勤

RIDERS CLUB編集長

小川 勤

ライダースクラブ編集長。18歳からSRを所有し続け、カスタムと走りを探求。世界各地で行われる試乗会に参加し、最新モデルの進化を熟知する。現代のバイクに合ったライテクや最新パーツにも精通する

ライダースクラブ編集長。18歳からSRを所有し続け、カスタムと走りを探求。世界各地で行われる試乗会に参加し、最新モデルの進化を熟知する。現代のバイクに合ったライテクや最新パーツにも精通する

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