業界イチ ドカを愛するモータージャーナリスト伊丹先生のパニの乗りこなし術はコレだ!

もっと気持ち良く!もっとドゥカティらしく! パニガーレ乗りこなしテクニック

業界イチ ドゥカティを愛するモータージャーナリスト 伊丹孝裕先生がパニガーレの乗りかたをアドバイス。15年程前に出場したドゥカティカップが縁で二輪雑誌業界へ転身。以来、なんやかんやあって鈴鹿8耐には1198とパニガーレで4度出場するなど、スーパーバイクのキャリアはそれなりに豊富な45歳。射手座のB型。

今回お届けするは好評だった「パ二ガーレ」のテクニック企画だ。プレイバック的な要素もあるが、パニガーレの特徴はもちろんだが、スーパースポーツモデルに共通する内容も多いので是非とも参考にしてみよう。アドバイスは、ドカ好きで有名なモータージャーナリストの伊丹孝裕さんで、本誌のライター兼ライダーでもある。

パニの乗りこなし術ちょっとだけ教えます

乗り手のスキルや好みによって、評価がかなりわかれるのがパニガーレだ。そのポテンシャルを引き出すには一体どうやって乗ったらいいのだろう!?

パニガーレの乗りこなしテクニックというお題であれば、本来はチャズ・デイビス様にでも登場して頂くのが筋というもの。とはいえ、ああいう領域の天才達は「ブレーキは気合いのクソ握り。んでもってズババーンとリヤタイヤを滑らせておけば、あとはノリとか勢いでイケんじゃね?」とか言い出しかねないので、ここはひとつその遥か手前の領域でのハウツーをお届けしよう。

そもそもパニガーレは難しい。正確に言うと「メッチャ乗りやすい!」と嬉々として走り回れるライダーと「一体どうやって乗れば……」ととまどいを覚えるライダーとに分かれ、一般的に前者に属するのはビギナーと超上級者。後者はそれなりにサーキット走行やレース経験がある中級者と上級者予備軍であることが多い。

その要因はいろいろあるものの、パニガーレは基本的に軽く、細く、コンパクトに設計されているため、普通に走らせるなら他メーカーのスーパースポーツと比較して容易だ。だから、下のクラスからステップアップしてきたライダーや大型バイクを持て余していたライダーは乗りやすいと感じ、低中回転域を多用するケースが多いのでエンジンの過敏なレスポンスも気にならないというわけだ。

反対に4気筒感覚でエンジンを回したり、躊躇なくバンクさせられるライダーにとっては突如手強さが顔を出す。なぜなら、独特のアルミモノコックはブレーキング時には高い剛性を発揮する一方、ガンガン荷重を掛けてバンクさせていくとそれを受け留めるメインフレームがないため、なんとも言えない挙動を示すからだ。しかもそこに超ショートストローク&ビッグボア特有の過激さが加わり、悩みは深まっていくのである。

ここからはそんなライダーの手助けとなるワンポイントアドバイスをお届けしよう!

ポイントはコレ 『頭はあまりインに引き込まない』『上半身は軽く覆い被せるように』『ハンドルには手を添える程度』『トラクションをお尻で感じよう』『スロットル操作はジワジワ、グイッ』『フロントは放任してクルリと旋回』

パニガーレを乗りこなす基本3カ条

パニガーレ特有のコツというよりもまずは基本中の基本をチェック。走り慣れてきたライダーほど、おろそかになっているかも!?

その1 シートの後ろ寄りに座る

1198と比較して、パニガーレのライディングポジションはグッとコンパクトになった。そのため、つい身体も車体の中心に寄せたくなるものの、コーナリング中はリヤに座り、しっかりトラクションを確保しよう。デイビスらは前乗りだが、あれはディメンションやデバイス、身体能力も含めた別次元のスタイルであることを忘れずに。

その2 ニーグリップでバイクと一体に

車体の細さはドゥカティの伝統でもあるが、メインパイプが無くなったパニガーレはそれがさらに際立ち、ニーグリップがおろそかになりやすい。ただし大きな面でタンクを押さえたり、挟んだりする必要はなく、太腿や膝の一部、あるいは足首など、点で構わないのでバイクに身体を引っ掛けられる場所を作ってあげよう。

その3 スロットルはゆっくりと操作

基本にも程があるが、特にパニガーレのエンジンにはこれが大事。というのもドゥカティ以外のメーカーのマシンを引き合いに出しても過去例がない程、パニガーレは超ショートストローク&ビッグボアエンジンを持つため、トルクの立ち上がりはかなりピーキーな部類。ラフに操作すると車体にすぐ影響し、挙動が乱れてしまうからだ。

スムーズな重心移動が気持ちいいコーナリングの鍵

ここからはコーナリングを細分化しながら操作の流れを紹介。やはりスムーズ&スローな入力がカギだ!

KEY POINT 01 ブレーキングは奥までがんばり過ぎない

パニガーレは頑強なアルミモノコックを持つため、基本的にブレーキングは得意。それを活かすためにしっかりとニーグリップし、足首でもステップをホールドしながら減速。ただし、ここでがんばり過ぎると車体をリーンさせる時に一転して、しなるような動きを誘発するため、突っ込み過ぎに注意。

ブレーキング!コーナリングABSが備わり、IMUによってリヤのリフトも抑制されるため、基本的に電子デバイスに任せて握り込んでも大丈夫だ。

KEYPOINT 02 コーナー手前で徐々に体重を移動

ある程度まで減速できたなら、次に考えるべきはコーナリングフォームだ。車体をリーンさせる瞬間にそれを作るのは難しいため、その手前から腰をズラし、体重を移動。ブレーキングで高まった減速Gが収まっていくのを感じつつ、その反力でお尻をイン側&リヤ寄りにスッと動かし、準備を整える。

この時、ブレーキは徐々にリリースを開始。体重はズラしながらもイン側の膝を軽く閉じておけば、腕に無駄な力も入らない

KEYPOINT 03 膝を開きコーナー進入の準備完了

減速Gがほぼ収まり、フロントフォークにグッと載っていた荷重がリヤに移行し始める瞬間が車体をバンクさせるポイント。できればこの時、腰をさらにリヤ側に移動させ、シートのエッジ部分に尾てい骨を引っ掛けるようなイメージで座ると、その後のトラクションが感じやすくなるはずだ。

リリース…車体をバンクさせる時にはブレーキをリリース。ただし、パッと唐突に離すのではなく、ジワッと指を開いていくイメージで。

POINT1 状況に応じてエンジンモードを活用!

エンジンモードは出力特性が変化するだけでなく、エンジンブレーキやダンパーの減衰力にも連動。つまり、RACEではなくSPORTやWETを選択することで、少ない荷重でもサスペンションがストロークするようになり、車体姿勢がより変化。コーナリングのきっかけが掴みやすくなるのだ。

え!クラッチいらない!? プロに迫れる魔法のデバイスがこれだ!!ドゥカティ・クイック・シフトのギヤチェンジはプロライダーより上手い!?

パニガーレが1199から1299に進化した時、新たに採用された電子デバイスがシフトアップにもダウンにも対応してくれるDQS(ドゥカティ・クイック・シフト)だ。シフトチェンジの際にクラッチレバーの操作が不要になることはもちろん、特にダウンの時にはブリッピングも勝手に行ってくれるため、減速時の挙動はスムーズそのもの。シームレスとまでは言わないが、コーナー進入時にブレーキングやライン取りに集中できる恩恵はかなり大きい。一度でもこれを体感すると、もう手動のクラッチには戻れないかも!?

POINT2 腰をズラして走ってみよう!

腰を大きくズラすハングオフは上級者だけ、と思うのは間違い。これは膝を擦るためのテクニックではなく、身体の重心を低くすることによってバイクとの一体感を高め、バンクした時の安定性を向上させる意味もある。恐怖感なくコーナーをクリアするためにもぜひ試してみてほしい。

身体はまっすぐホールド(写真左)上体をやや起こし、しっかりと下半身でニーグリップしながらブレーキングを開始。この時はまだお尻はまっすぐシートの上に置いておく → お尻だけ軽くイン側へ(写真中)減速Gが落ち着いたところを見計らって、お尻を拳ひとつ分くらい移動。最も不安定な瞬間でもあるため、膝は閉じたままタンクをホールド → いよいよリーン開始(写真右)イン側にズラしたお尻をシートの後ろ側に軽く引き、最後の位置決めを終了。車体をバンクさせる直前に膝を開き、バランスを取ろう

POINT3 パニガーレのおいしい回転数を使おう!

パニガーレのエンジンは7000回転付近でトルクがグッと増すため、中途半端にこの領域をキープしようとすると挙動が神経質なものになりがち。そのため、4000回転付近を目途にスロットルを開け始め、ジワッと回転を上昇させることがスムーズな加速とトラクション確保のコツだ。

 

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PROFILE

伊丹孝裕

メインテスター

伊丹孝裕

ライダースクラブのメインテスター。アマチュアレースに熱中した後、バイク雑誌編集者に。鈴鹿8耐やマン島TTなど、国際的なレースに参戦し、近年はオフロードも本格的に。何にでも積極的に首を突っ込むスタイル

ライダースクラブのメインテスター。アマチュアレースに熱中した後、バイク雑誌編集者に。鈴鹿8耐やマン島TTなど、国際的なレースに参戦し、近年はオフロードも本格的に。何にでも積極的に首を突っ込むスタイル

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