
『TIO×ベベル=スクランブラー』名車のベベルエンジンと最新パーツによる傑作
- 2019年12月19日
『ドゥカティ×TIO』これまで多くの名車を生み出してきたTIOのその独特な高い技術。今回はあの名車ベベルエンジンをトレンドであるスクランブラーとして仕上げた話題のマシンを紹介しよう。伝説の名車の心臓を最新パーツでスクランブラーとして生まれ変わらせる、その発想と技術に注目だ。
TIO Bevel SCR 音、味わい… すべてに深みがある
前企画のパンタもそうだが、こちらのベベルスクランブラーもTIOが製作
ベベルエンジンと最新パーツの融合は、ドゥカティの新しい味わいを教えてくれた。

いままでにないパッケージがエキサイティング!
これまでに何度もベベルのドゥカティに乗ってきたが、今回のベベルスクランブラーほど軽いバイクは1台もなかった。取り回しはまるでエンジンの中身が入っていないように軽い。現行のスクランブラーよりも軽く感じるのは、余計な物を一切省き、さらにホイールやサスペンションに最新パーツを奢っているからに他ならない。そしてハンドリングの軽さにはノーマルよりも短くされたワンオフのスイングアームも効いている。
水色の外装はオーナーさんのセンス。タンクはワンオフだが、ヘッドライトやウインカー、リヤのオーリンズ製サスペンションにはあえて現行スクランブラーのパーツを使い、それがひと目で“ドゥカティのスクランブラー”と思わせることに貢献している。とてもバランスがよくてカッコいいし、どこか可愛らしいスクランブラーテイストに溢れている。
フレームはベベルのフレームをベースにモノサス化。オーリンズ製の倒立フロントフォークはワンオフのトリプルツリーを介して装着している。フロントキャリパーはブレンボ製をラジアルマウントし、ホイールはビトーR&D製のマグネシウム鍛造ホイールを奢る。フロント周りだけを見るとパニガーレにも負けていない装備。しかし、エンジンは存在感抜群のベベルなのだ。このギャップが面白い。市街地でバイク好きがこのバイクを見たら思わずハッとして見入ってしまうに違いない。それほどこのパッケージは斬新だ。


「ちゃんと走るのかなぁ」とてもチャレンジングなカスタムだけに、正直、走る前はそんな気持ちだった。それに、バイクは組み上がったばかりのシェイクダウン……。
セルを回すとエンジンは簡単に目覚め、ブリップングするとさすがFCRと思わせる鋭さがある。NCR製の2︲1マフラーはいかにもいい音を奏で、それだけで酔えるほど気持ち良い。
走り出しても異質な軽さは健在。しかし、ひとつ目のコーナーで不安は払拭された……ふたつ目のコーナーで不安は楽しさに変わり、3つ目のコーナーからはその先のハンドリングや加速感を見てみたい期待感が芽生えてきた。
そして、ベベルスクランブラーはその期待感を裏切らず、走るほどにワクワクさせてくれる楽しさを提供してくれたのだ。
信じられないほどにスポーティで軽快なハンドリングで、アップライトなポジションと合わせてコーナリングの自由度はかなり高い。旋回中のライン修正も容易で、常に前後タイヤのグリップを感じながら走れるのだ。
そして、特筆すべきはエンジンだ。ティオの川瀬さんの組んだエンジンはいつも完璧だが、ノーマルをフルオーバーホールしたR1エンジンは、どこにもフリクションがなく、ベベルギヤ特有の唸りを感じながら、回転を上げていく。スロットルを開ける度に大きな鼓動の波が迫り、その波に打たれるのがとても心地良いベベルスクランブラーだった。




- BRAND :
- DUCATI Magazine
- CREDIT :
-
PHOTO/T.HASEGAWA TEXT/T.OGAWA
取材協力/TIO TEL045-721-5708 https://www.tio-bike.jp/
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PROFILE

編集長
小川 勤
ライダースクラブ編集長。18歳からSRを所有し続け、カスタムと走りを探求。世界各地で行われる試乗会に参加し、最新モデルの進化を熟知する。現代のバイクに合ったライテクや最新パーツにも精通する
ライダースクラブ編集長。18歳からSRを所有し続け、カスタムと走りを探求。世界各地で行われる試乗会に参加し、最新モデルの進化を熟知する。現代のバイクに合ったライテクや最新パーツにも精通する