プロが教えるビールの基本|おいしくなる注ぎ方、各種による違い、ペアリングのコツ

日本国内で生産されているご当地ビールや海外のビールには、フルーティーなものや口当たりがやわらかいものなど、ビールといっても様々な種類があるのをご存知ですか?そこで今回は、知っているようで知らなかった「ビールの基本」から、今日の晩酌からすぐ使える「おいしさを引き出す注ぎ方」、ビールの用語集などたっぷり解説します!

ビールを造る5つの要素

ビールの構成要素は、麦芽、ホップ、水、酵母、そしてときに入ることのあるその他の副原料。使う種類や分量次第でさまざまなビールができます。

麦芽

麦芽は麦を発芽・乾燥させたもので、ビールの主原料。味や香りの決め手となります。造りたいビールのスタイルや色、味によって、使う麦芽や組み合わせ方が変わります。

ホップ

ホップは、ビールに苦味と香りを与えるつる性の植物。ビールの濁りを取り除いたり、泡の形成や泡もちをよくしたり、雑菌を抑える作用も合わせ持っています。

副原料

味わいの調整などに活躍する、4つの基本原料以外の原料。日本では米やとうもろこしなど使用できる副原料が酒税法で定められていて、その他を使うと発泡酒扱いに。

水はビールの原料の約90%以上を占め、水の違いでビールの特徴も変わります。一般的に、淡色のビールには軟水、濃色のビールには硬水が適するといわれています。

酵母

麦芽から生成された糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスを作る微生物。主に上面発酵(エール)酵母と下面発酵(ラガー)酵母があり、使う種類や量で味が変わります。

ビールの造り方

麦からビールができるまでの間には、大きく6つの工程があります。造り手は、それぞれの工程で工夫を重ね、独自のビールを造り出します。

[1]製麦

大麦を発芽させて麦芽を作ります。約15度の水に2日間ほど漬けた後、発芽床で発芽させ、温風で乾燥して芽の成長を止めたものが麦芽です。

[2]仕込み

酵母が発酵するために必要な糖やアミノ酸が豊富に含まれた麦汁を作ります。麦芽の粉砕、糖化、ろ過、煮沸、冷却の工程があります。

[3]発酵

麦汁中の糖を酵母が食べてアルコールと炭酸ガスを生成。アルコール度数の高いビールを造るためには、濃度の高い麦汁が必要になります。

[4]熟成

発酵が終わると「若ビール」と呼ばれる香りも味わいも未完成なビールができます。これを低温で熟成させ、香りや味わいを調整します。

[5]ろ過・熱処理

品質を保つため、ろ過して酵母を取り除くか、熱処理で酵母の活動を止めます。どちらも行わず、酵母が生きた状態で出荷するものもあります。

[6]パッケージング

でき上がったビールを瓶や缶、樽などに詰めていきます。ビールと酸素の接触を極力少なくし、酸化によるビールの品質の劣化を防ぎます。

おいしく味わうポイント

五感をフルに活用して楽しめば、おいしさがぐっと増します。まずは音、続いて色と泡、そして香り……と、ビールとじっくり向き合いましょう。

聴覚

王冠やプルタブを引くときの「プシュッ」という炭酸の抜ける音に、シュワシュワと泡の弾ける音。まずは耳で堪能します。

視覚

グラスにビールを注いだら、おいしさを視覚で味わいます。ビールの色はもちろん、泡の様子もじっくり確認しましょう。

嗅覚

鼻で感じられるビールの香りを“アロマ”と呼びます。缶や瓶のまま飲まず、グラスに注いで広がる香りを楽しみましょう。

味覚

甘味や苦味などの味わいを感じます。ビールを口に含み、口から鼻に抜ける香りを“アフターフレーバー”と呼びます。

触覚

泡のクリーミーさ、炭酸の強さなどを、口からのどにかけて感じます。グラスが変わるとビールの印象も変わります。

料理とのおいしいペアリング

食事をしながらビールを飲むと、舌に残った味や油分をビールで洗い流してリセットできます。同じ味の成分を持つビールと料理を合わせて相乗効果を出したり、相性のいい味を組み合わせて新しい味わいを作り出したり、ペアリングの奥深い世界を楽しみましょう。

国で考える

一つ目のキーワードは“発祥国”。同じ土地が育んだビールと料理を組み合わせれば、その相性のよさは言わずもがな。さまざまな国に思いを馳せて楽しみましょう。

[例]
ジャーマン・ピルスナー(ドイツ)×ポテト料理(ドイツ)
ペールエール(イギリス)×フィッシュ&チップス(イギリス)

色で考える

二つ目は“色”で考えること。濃い色のビールほど麦芽がしっかり炒られていて、ロースト香が立っています。そのため、焦げ感のある色の濃い料理と合います。

[例]
ホワイトエール(白)×ホワイトアスパラガス(白)
ペールエール(茶色)×フィッシュフライ(茶色)

味で考える

三つ目のキーワードは“味”。同じ味を組み合わせることで相乗効果が生まれます。逆に、違う味同士を組み合わせて互いを引き立てたり抑えたりする方法もあります。

[例]
甘味×甘味
苦味×苦味
甘味×苦味

おいしくなる注ぎ方

泡にはビールを空気から守り、香りの成分を閉じ込める役割があります。おいしさを引き出す注ぎ方を習得し、いつものビールをグレードアップ!

ビールと泡が7:3

ピルスナーの場合、ビールと泡が7:3の割合がより美しく、よりおいしいとされています。泡は大きすぎずきめ細やかな状態が理想。

グラスの側面に泡はナシ

グラスに泡がついてしまうのは、汚れている証拠。下記の洗い方を参考に、ビールにとって一番いい状態のグラスに注ぎましょう。

グラスの洗い方

[〇]洗ったグラスは自然乾燥
油汚れがうつらないよう、できればグラス専用のスポンジを使い、そのまま自然乾燥。

[〇]水をきってそのまま飲んでも
グラスをすすぎ、軽く水気をきるだけでもOK。内側に少し水が残っていても大丈夫です。

[×]内側を布巾でふくのはNG
グラスの内側を布巾でふくと、汚れや繊維が残ってしまうので避けましょう。

3度注ぎ

[1度目]勢いよくビールを注ぐ
最初は少し高いところから、グラスの半分程度まで勢いよくビールを注ぎます。注いだら、泡が落ちつくのを待ちます。

[2度目]ゆるやかに注ぐ
下から少しずつ泡が上がり、泡がきめ細かくなっていくのがわかります。泡とビールが半量ずつになったら、2度目は少し低いところからゆっくり注ぎます。

[3度目]泡を持ち上げるよう注ぐ
9割程度まで注いだらいったん止めて泡が落ちつくのを待ち、最後はゆっくり注ぎます。3度注ぎだと、泡が苦味成分を吸収しやすくなり、よろまろやかな味わいに。

1度注ぎ

[1]グラスにビールを注ぐ
立てたグラスにまっすぐにビールを注ぎます。下から1/4程度が目安です。

[2]グラスを倒しながら注ぐ
グラスを手で持ち、少し倒しながらビールを注ぎ続けます。

[3]グラスを徐々に立てる
泡を壊さないよう、グラスを徐々に立てながら泡を押し上げます。

[4]ビールと泡が7:3
ビールと泡が7:3になれば完成です。3度注ぎに比べて、よりシャープな味わいを楽しめます。

知って差がつく12のビアスタイル

造り方の違いで140以上のスタイルがあるビールのうち、覚えておきたい12のスタイルを紹介。気分で選べたら世界が広がります。

これぞ、日本の“いつもの”ビール「ピルスナー(PILSNER)」

黄金色で、爽快なのどごしと苦味のキレが特徴。日本の大手メーカーのビールのほか、チェコの『ピルスナー・ウルケル』も有名。

ロースト感とシャープさが同居「シュバルツ(SCHWARZ)」

シュバルツとはドイツ語で「黒い」を意味し、肉料理によく合います。代表銘柄はベアレン醸造所(岩手)の『シュバルツ』。

柑橘のアロマと風味が特徴「ペールエール(PALE ALE)」

色は琥珀色。フルーティなアロマとシトラスの香りが持ち味。代表銘柄はヤッホーブルーイング(長野)の『よなよなエール』。

クラフトビールの定番スタイル「インディアペールエール(IPA)」

ホップを豊富に使い、柑橘系の香りと強い苦味が特徴です。代表銘柄はスコットランドの『パンクIPA』。

クリーミーな甘味の一杯「ホワイトエール(WHITE ALE)」

乳白色で濁りのある色合い、オレンジの香り、コリアンダーのスパイシーさが特徴。ベルギーの『ヴェデット』が有名。

ホップの苦味とドライな味わい「セゾン(SAISON)」

ベルギーの農家が夏の農作業中に飲むために冬の農閑期に仕込んだビールがルーツ。代表銘柄はベルギーの『セゾンデュポン』。

苦味が少ない優しい味わい「ヴァイツェン(WEIZEN)」

小麦麦芽を50%以上使用。バナナのような香りが特徴です。銀河高原ビール(岩手)の『小麦のビール』が有名。

色は非常に濃い茶色から漆黒「ポーター(PORTER)」

ココアを思わせる風味とシャープでキレのある苦味が特徴。代表銘柄はベアード・ブルーイング(静岡)の『黒船ポーター』。

ローストした大麦を使用「スタウト(STOUT)」

クリーミーな泡が特徴。ほのかな甘味とドライな苦味が持ち味です。アイルランドの『ギネスエクストラスタウト』が有名。

フルーツが香り、飲みやすい「フルーツビール(FRUIT BEER)」

チェリー、ラズベリー、オレンジなどを麦汁に漬け込んだり、果汁として加えるビール。代表銘柄はベルギーの『リーフマンス』。

醸造に修道士がかかわる「トラピストビール(TRAPPIST BEER)」

ビールのスタイルではなく、トラピスト会系修道院で造られるビールの統制呼称。ベルギーの『シメイ・ブルー』などが有名。

既存のスタイルに入らない個性派「その他の個性的なビール(OTHER)」

スタイルにとらわれない個性派ビール。さつまいもを使ったコエドビール(埼玉)の『COEDO紅赤–Beniaka–』が有名。

覚えておきたいビアカクテル

ビールには“割る”楽しみもあります。ここでは2つの代表的なビアカクテルを紹介します。まずはビールと1:1で割ってみましょう。

ピルスナー×レモネード

ドイツでもよく飲まれているビアカクテル。同量のレモネードで割ればビールの苦味がやわらぎます。

ホワイトエール×オレンジ

オレンジピールを使って造るホワイトエールに、オレンジジュースを合わせて。オレンジを飾っても。

ビールがわかる用語事典

ビールにまつわる特有の言葉や表現をまとめました。わからない言葉が出てきたら、ここをチェック!ビールがぐっと身近に感じられます。

【IBU(国際苦味単位)】

International Bitterness Unitsの略で、ビールの苦味をはかる単位のこと。

【アロマ】

口に含む前に、鼻から入る香りのこと。ビールを評価する際に重要な項目の一つ。

【色合い(SRM、EBC)】

ビールや麦芽の色度数を表す単位。SRMはアメリカで、EBCはヨーロッパで使われる。

【エステル】

発酵中に生じる揮発性の風味。バナナやりんごなどのフルーティなアロマをもたらす。

【エール】

上面発酵酵母を使ったビールの総称。フルーティで奥深い味わいのものが多い。

【外観】

ビールをグラスに注いだ状態の特徴。透明感、色合い、泡の状態をさす。スタイルにより、よいとされる基準は異なる。

【カラメル香】

チョコレート、コーヒー、はちみつ、しょうゆなどに似た香りのこと。

【キャラクター】

モルトやホップの個性を表すときに使う、持ち味のこと。

【クラフトビール】

流通量や万人に受ける味にとらわれず、ビール職人によって造られるビール。日本では今のところはっきりとした定義がない。

【酵母】

糖分をアルコールと二酸化炭素に分解する微生物。

【コク・キレ】

複雑で重層的な味わいのあるものを「コクがある」、後味が残らないものを「キレがいい」と表現する。

【小麦ビール】

ドイツのヴァイツェンなど、大麦麦芽のほか、小麦麦芽や小麦を使ったビール。

【コリアンダー】

香菜のこと。果実や葉を乾燥させて使用し、独特な香りを持つ。

【ジアセチル】

バターのような風味をもたらす発酵生成物。

【自然発酵】

エールやラガーなどの培養酵母を使わず、自然界に存在する天然酵母を使った醸造方法。

【酒税法】

酒税の税率や製造、販売業免許などを定めた日本の法律。

【酒類製造免許】

酒造免許ともいう。酒税法で定められている酒の製造ができる免許のこと。

【新ジャンル】

第3のビールと呼ばれるアルコール飲料。麦芽を使わず発泡酒にスピリッツを混ぜて作る。

【スタイル】

原料、製法、色、香り、苦味、アルコール度数などによるビールの分類法。世界中で140以上のビアスタイルがある。

【スモーク香】

麦芽をいぶすことで付加されるスモーキーな香り。

【タップ】

ビールサーバーの注ぎ口のこと。

【炭酸ガス】

発酵の際に生成される二酸化炭素のこと。ビールの口当たりやのどごしに影響を与える。

【タンニン】

麦芽などに含まれるポリフェノールの一種。酸化すると、ビールが変色したり、渋味が発生したりする。

【低温白濁】

冷やしすぎたビールに現れる濁り。タンパク質が凝固して起こり、品質低下の原因にも。

【糖化】

麦芽中の酵素の働きにより、でんぷんを分解して糖に変えること。

【糖質オフ】

炭水化物から食物繊維を除いた、糖が主成分の物質の総称が糖質。この糖質をカットしたものが糖質オフ。

【ドラフトビール】

「draft」とは汲み出すという意味で、樽から注がれるビールのこと。

【トースト香】

ダークエールやスタウト、ポーターなどにみられる、トーストのような芳ばしい香りのこと。

【生ビール】

熱処理をしていないビールのこと。熱処理をしていなければ瓶や缶に入っていても生ビールとされる。

【日光臭】

ゴムが焦げたような不快なにおい。ビールを直射日光に当てると発生する。

【熱処理】

熟成したビールを製品化のために熱殺菌すること。熱処理により長期保存が可能になる。

【ハイブリッド】

醸造方法の一つで、原料や醸造方法を混合させ、スタイルを限定しないもの。

【パイント】

容量の単位。イギリスのUKパイントは568ml、アメリカのUSパイントは473ml。1パイントの容量で作られたグラスをパイントグラスという。

【麦芽(モルト)】

麦を発芽させたもので、ビールの主原料の一つ。

【バートン化】

軟水を硬水に変える工程のこと。バートナイズともいい、イギリスの都市バートン・オン・トレントに由来する。

【瓶内発酵】

一次発酵を終えたビールを瓶詰するときに酵母と砂糖を加えることで、瓶の中で二次発酵させたもの。

【副原料】

ビールの原料の一つで、味の調整に使う。日本の酒税法ではビールに使用できる副原料が定められていて、その他を使うと発泡酒となる。

【ブルーパブ】

醸造所を備えたビアパブのこと。店と同じ場所で造っているため、できたてのビールを味わうことができる。

【フレーバー】

鼻で感じる香りと舌で感じる味を合わせたもののことで、ビールを表現する用語の一つ。

【ペアリング】

マリアージュと同義語でビールと食のおいしい関係を表す。

【ボディ】

ビールがのどを通る感覚など、甘味やアルコールの強弱をさす。

【無ろ過】

ビール酵母のろ過工程を省いたビール。色に濁りが残るが、酵母による味わいを残せる。

【ラガー】

下面発酵酵母で造られたビール。すっきりシャープな飲み口。

 

ここで紹介したビールの基本を押さえておけば、今まで以上にビールを飲むのが楽しくなること間違いなし!ぜひ新たなビールの楽しみ方を見つけてください。

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