ゴルフIQに直結する『スイングの本質』とは?
FUNQ
- 2018年03月01日
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アマチュアゴルファーが良いショットを打てない原因の一つは、正しいクラブの振り方を知らないことである場合が多い。スイングについてしっかり理解しゴルフIQ(ゴルフの知能指数)を高めておけば良いスコアで回ることができる。今回はスイングの本質に重点を置いて紹介してゆこう。
【1】振り子運動の原則を正しく理解しよう!
1、先を丸めたロープを振り子になぞらえる。これを右手に持ち、アドレスの姿勢をつくる。
2、振り子運動をスタートさせるには、手元を先に横方向に動かすことが絶対条件だ。
3、ロープ先端の遠心力が働き、ロープ全体が右へ。
4、ロープ先端が遅れて下り、ハンドファーストの形が自然につくられる。
ゴルフのスイングは時計の振り子のイメージだ。しかし、最初から支点を固定して一定に動いている振り子のイメージは、スイングには当てはまらない。
先端を丸めたロープを右手に持ち、ロープを動かし始めるにはどうすれば良いかを考えてみてよう。ロープの先端の稼動をできるだけ大きくするには、最初に右手を横に移動させるのが理にかなっていることが分かる。同様に、アドレスで体が完全に静止した状態からクラブをスムーズに始動させるには、手元を先に動かすファーストアクションがポイントになる。スイングは、手元が左右に動く『支点スライド式』の振り子のイメージなのだ。
【2】テコの原理で動きに柔軟性を出せば、最大のパワーが生まれる!
ゴルファーの多くはフェース面を固定しようとしてグリップを強く握り、インパクトでボールに合わせるようなスイングになってしまう。この動きが間違いなのだ。
森氏のレッスンスタジオにはインパクトバッグという練習器具が用意しており、これをクラブで思い切り叩くドリルで正しいスイングの感覚をマスターする。
右手にクラブを持ち、インパクトバッグを思い切り叩くには、手元から始動してスナップを利かせるようにクラブを振り上げるのが合理的だ。グリップを柔らかく握り、ヒジや手首の関節を柔軟に使えばヘッドの重さが使えて、最大のパワーを発揮できる。
【○】手元を先に動かしてテコの原理で金づちを引き上げると、反動を利用できるので
さらに強く釘を叩ける。
【×】金づちで釘を叩く時に手首を固定すると強く叩けない。
【3】メカニズムよりも『重さ』や『遠心力』を感じてみよう
1、両手を柔らかく握ってクラブの重さを感じよう。これほど極端でなくても良いが、テイクバックでは手元を先に動かすイメージをもつことが大切だ。
2、手元を先に引き戻すようにダウンスイングすれば大きなタメが生まれる。フェース面をボールに合わせようとせずに、インパクトバッグを叩くイメージでクラブを振り下ろそう。
3、ヘッドが加速しながらハンドファーストのインパクトがつくられる。
4、クラブの遠心力が大きく働き、クラブに引っ張られるように体がターンしてフィニッシュへと振り抜ける。
振り子運動の原則を理解し、テコの原理で体の動きに柔軟性を出す感覚がつかめたら、実際にボールを打ってみよう。グリップを強く握って、フェース面をスクエアにキープしようとしたり、スイングの形にこだわったり、メカニズムに神経質になったりせずに、両手をソフトに握ってクラブの重さを利用してスイングすることを第一に考えよう。
クラブヘッドに遠心力を働かせるということは、クラブヘッドが動きやすい環境をつくること。両手に思い切り力を込めてボールを打とうとすると、クラブヘッドの運動量を抑制するのでリキミは禁物なのだ。
【4】ヘッドの重さを利用してフェースを自然にターンさせよう!
インパクト以降はクラブの遠心力にまかせて振り抜くだけで良い
ゴルフのスイングは「クラブありき」で考えよう。自分で何かを色々やろうとすると、クラブがもっている機能を封じ込めてしまう。まっすぐ飛ばしたい心理から、両手を強く握ってフェース面を固定したり、ボールをつかまえようとして意図的にフェースを返すのも逆効果になるのだ。
クラブの重さにまかせてスイングすれば、インパクトエリアでヘッドが加速し、フォロースルーでフェースが自動的に返ることがわかるはずだ。
【5】デンデン太鼓のイメージで連続素振りをして『軌跡』を見よう!
1、両手をソフトに握り、トップとフィニッシュの間を往復させる連続素振りを繰り返そう。
2、インパクトエリアの『軌跡』が見えてきたら、ボールを打つ時もこの軌跡をイメージしよう。
3、フィニッシュまで振り抜いたら、ヘッドの重さを使いながらトップへと上げていく。
ヒジや手首の関節を柔軟に使い、クラブヘッドの重さを利用してスイングする感覚をつかむには、連続素振りが効果的。自分の体を軸にして、祭りでよく見るデンデン太鼓のイメージで体を左右にクルクル回転しながらクラブを振ってみよう。
素振りを繰り返すとインパクトエリアにおけるクラブヘッドの軌道が見えてくる。実際のショットでも、この『軌跡』のイメージをボールに重ねてボールをしっかりと打ち抜けばグッドショットの確率が上がる。連続素振りはラウンド中に調子がおかしくなった時のスイング修正法としても役立つのでぜひ取り入れよう。
今回紹介したスイングの本質は全てゴルフIQに直結するものだ。ミスをメンタルに責任転嫁しない技術と知識をしっかり身につけてラウンド時に役立ててほしい。
●森 守洋(解説)
1977年生まれ、静岡県出身。高校時代にゴルフを始め、1995年に渡米。サンディエゴにてミニツアーを転戦しながら腕を磨く。帰国後、陳清波に師事。現在は東京都三鷹市内の「東京ゴルフスタジオ」で多くのアマチュアを指導する傍ら、原江里菜らツアープロのコーチも務めている。
(出典:『EVEN 2018年3月号』、文:三代崇、イラスト:庄司猛)
(ヤマダタケシ)
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