新発想!“汚れない”ではなく“キレイに落ちる”ウェアのテクノロジーが秀逸
EVEN 編集部
- 2020年03月16日
「キープクリーン」開発の中心を担ったデサント R&Dセンター大石晃三氏(左)と東レ テキスタイル・機能資材開発センター浅井直希氏(右)
スポーツメーカー「デサント」が、新しい発想の防汚テクノロジー「キープクリーン」を開発した。「ルコックゴルフ」、「デサントゴルフ」、「マンシングウェア」、「ランバンスポール」等々、同社が展開するゴルフウエアブランドに今シーズン早速投入されるそれは、繊維メーカー「東レ」との共同開発で生まれたもの。発想の新しさはつまり〝汚れが良く落ちる〞ということにあるという。東レのテキスタイル・機能資材開発センターの浅井直希氏に訊いた。
「今までの防汚加工というのは汚れを寄せ付けないものでした。強力な撥水加工を施してガードする〝ソイル(汚れ)ガード〞という考え方です。とはいえ、それでもゴルフなど汚れますし、色の薄い生地ではかなり目立ちます。そこで、汚れてしまうのであればそれを除去しやすくすれば良い。〝ソイルリリース〞という考え方で開発を行いました」。
「この加工はポリエステル生地に施す加工ですが、ポリエステルは耐久性が高いものの、油汚れが蓄積しやすいという性質を持っています。この加工により繊維一本一本に吸水性の被膜を形成することで、洗剤が入りやすくなり、油汚れが良く落ちるのです」と浅井氏は続ける。
一方、その優れた機能を誇る生地を製品に落とし込む役割を担ったのがデサントである。R&Dセンターで機能・品質開発課の課長を務める大石晃三氏はいう。「非常に面白いと思いました。特に生地色の薄いアイテムが多くなる夏に防汚加工はかなり有効。とはいえ今までのそれは撥水の膜を張るようなもので生地内の湿気が逃げづらい。それに対してこの技術は吸水性や速乾性が付与しやすく、ポリエステルの強みが生かせるのです」。
さて、そうやって始まったキープクリーンを採用した商品開発。それは2018年にデサントが開発力強化のために設立したR&Dセンター〝DISC〞を中心に行われた。大阪府茨木市に建てられたこの施設は、〝世界一速いウエアをつくる〞というテーマのもと、100分の1秒に挑む速さ、常に時代の先を行く先進性を表す速さを追求する。気象室、全天候型測定スタジオ、生地の流水抵抗を測る装置、人工降雨室、フットサルなどが行えるコートなど、多種多様な競技の実験設備が整い、パターンからカット、縫製まで行えるプロダクションスタジオも備わる。およそスポーツメーカーの研究開発施設に必要なものは全て揃っているといっても過言ではないし、この最先端の施設を十二分に使って製品化されたのがキープクリーンである。
「DISCが出来てすぐにこの話をいただいた。非常にいいタイミングでしたし、ここの設備を活用できたのは大きい。でもこの施設内のブッシュを歩き回ったり泥の付いた手で汚したり、地味な努力もしているんですよ。文字通り泥臭い話ですが(笑)」、と大石氏は相好を崩す。
日本が誇る二大メーカーが互いの最先端テクノロジーを持ち寄り、手に手を携えて創り上げたキープクリーン。盛夏の白パンファンが抱える積年の悩みを一気に解決する秀逸なテクノロジーなのだ。
今回の「KEEP CLEAN」に関してさらに詳しい内容は下記URLをチェックしてもらいたい。
https://store.descente.co.jp/column/column_golf_keepclean.html
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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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