サーフカルチャーが生んだ独特なカラー[CA.GOLF STORY-TravisMathew vol.2]
EVEN 編集部
- 2021年05月11日
アメリカ南カリフォルニア生まれのブランド「トラヴィスマシュー」その魅力は、アメリカ西海岸のもつポテンシャルや物語そのものだ。だが、なぜトラヴィスマシューはこれ程の存在感を持つに至ったのか。カリフォルニア在住のライター槙野が彼らを紐解く連載2回目は、ブランドを象徴する色使いについて。
サーフカルチャーが生んだ独特なカラー
公式にサーフシティUSAと命名された街“ハンティントンビーチ”。トラヴィスマシューはアメリカ西海岸を代表するこの街で生まれた。ゴルフ・ブランドながら、それまでのスポーツウエア然とした硬いルックスを避け、普段の暮らしの中でもサラっと着こなせる馴染みの良いデザインや色使いの方向性は、創業メンバーが育ってきたこの街ハンティントンビーチのサーフカルチャーに大きくインスパイアされている。
ハワイからアメリカ本土に伝わったサーフィンは、ワイキキにもその銅像が建てられるデューク・カハナモクによって広められたが、彼の活動拠点がハンティントンビーチだった。黎明期には古い電柱などから波乗り用の板を削り出していたが、20世紀が中盤に差し掛かる事にグラスファイバーを使った現在の基本構造が考案され、このサーフボードの誕生をきっかけに、身近になったサーフィンカルチャーはブレイクする。
折しも時代は第二次大戦後の高度成長期にあり、人々のファッションも一気に近代的なスタイルへと変化を遂げていた。ミッドセンチュリー文化に端を発した、現職を多用したサイケデリックなグラフィックが流行った60~70年代初頭…、そしてさらなる経済成長と共に独自進化を遂げた80~90年代。それぞれユニークなファッションが登場した時代として、皆さんもご存知の事だろう。
変化の時代に求められる“ライフスタイル”
流行に敏感なサーフカルチャーは、そうした流れを常に汲み取り、各ブランドのグラフィックやアパレルデザインもそれを追いかけていた。ところが、90年代後半からミレニアムを境にした新デジタル時代の誕生に反比例するように、ファッショントレンドを含むライフスタイルは転換期を迎える。技術的に便利になったテクノロジーの蔓延とは逆に、人々はスローな暮らしを求めるようになったのだ。ナチュラルなテイストやオーガニックなモノ、さらに近年ではサスティナブルである事が重視され、それによってキーとなるカラースキームやファッショントレンドは、大きな変貌を遂げ続けている。
トラヴィスマシューというブランドが大切にしているのも、もちろんこの日々の暮らし“ライフスタイル”を大切にするという価値観だ。ゴルフシーンだけでなく、毎日の生活にも馴染むアウトフィットである事が、デザインの基本的なディレクションとなっている。結果としてその表現方法はアースカラーやグレイッシュな色合いをデザインに取り入れるようになり、スポーツウエアでありながら、完璧に普段使いができるアパレルとしてのポジションを確立している。特に近年のラインナップにはサーフカルチャー感を強く意識したデザインのモノが豊富に揃えられ、そこにトラヴィスマシューが提案する“ライフスタイル”そのものが存在している。
注目したい日本専用モデル
リモートワーク時代に合わせ、ビジネスシーンにもバランス良く使える、日本専用モデルにも注目したい。遊び心のある色合いが楽しいカラードシャツ、リラックスできるデザインのスウェットボトム、さらにカジュアルビジネスにも十分マッチするセットアップスーツなどなど、ボクたちの今の暮らしにフィットするアイテムが、しっかりと揃えられているのも嬉しい。
常に時代の流れを作り出してきた、サーフカルチャーの在り方。一方ゴルフアパレルブランドとして立ち上がり、人々が求める心地良さを提案するという、トラヴィスマシューの徹底したモノ作りのディレクション。この2つから、カリフォルニアという底抜けに明るい土地が生み出してきた大きなクリエイティビティの真髄をしっかりと感じ取る事ができる。
トラヴィスマシュー https://www.travismathew.jp/
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EVEN 編集部
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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