大原・御宿ゴルフコース（千葉県）｜井上誠一設計コースを巡る

日本を代表するコース設計家・井上誠一。生涯で手掛けたコースは42、そのうち38コースが現存しているが、いずれもが異彩を放ち、時を経たいまなおナショナルオープンの舞台として競技者の前に立ちはだかる。そこでプレーすれば必ず設計の力を思い知るだろうし、貫かれている美学に気づくことだろう。今回は千葉県の大原・御宿ゴルフコースを紹介する。

母親の胎内にいるような錯覚に陥る事実上の遺作

実際に現場に立った最後のコースで事実上の遺作である大原御宿ゴルフコースは1年を通じて温暖な房総の丘陵地に造られた。童謡「月の砂漠」発祥の地とされる御宿にちなみ、それ自体が広大な砂漠を彷彿とさせる大地に110ものバンカーを配置。高低差を巧みに使ったルーティングと相まって、18ホールのプレーは極めてドラマティックで人生の縮図さながらだ。

おそらく自らの最期を予期していたのだろう、井上は自分の造形の根本である女性美を余すことなく詰め込んでいて、それがこのコースを独特なものにしている。井上の描く女性は浮世絵や名画の裸婦になぞられるが、大原御宿に残した曲線には母親の面影のような優しさも貫かれ、その胎内にいるようなやすらぎさえ覚える。ともかく女性の乳房を象った4番ホールのツーグリーンはインパクト大で、これを見るだけでも価値があるといえよう。周辺に宿をとる際にはぜひ名物の伊勢海老をご堪能あれ。

大原・御宿ゴルフコース

井上が最後に手掛けた、南房総の高台に広がるエキサイティングな18ホールは、要所に配した110のバンカーが名物。初心者にはやさしく、しかし上級者には難しくがコンセプト。

【data】
住所：千葉県いすみ市大原台200
TEL：0470-62-2111
https://www.princehotels.co.jp/golf/ohara/