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青木瀬令奈&大西翔太がEVENだけに語ったスペシャルトーク

好評発売中のEVEN11月号(10月5日発売)に掲載している「青木瀬令奈&大西翔太スペシャルトーク “二人三脚で再び世界へ”」。ページの都合で載せることができなかったトークの続きを公開します。一度は引退まで考えた青木プロが、涙のツアー2勝目を挙げるまでの軌跡は必読です!

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変化の先に進化があると信じて突き進んだ

編集部 まずはツアー初優勝を振り返ってもらいたいと思います。2017年の「ヨネックスレディス」でしたね。

大西 コンビを組んで3年目、2017年は勝てそうで勝てない試合が続いていました。優勝争いに加わった試合もありましたし、調子自体は良かったんですけどね。

青木 そんな中、初優勝の1カ月ぐらい前にクラブを少し短くしたんです。メーカーの担当者からは反対されましたね。今より飛ばなくなる可能性があると。

大西 青木プロは背が小さい割に腕が長いので、手元が下にいきやすい。手元が下がれば下がるほどフェースを開閉する動きは強くなります。そうすると、球の高さを維持できなくなるんです。しっかりデータを取りながら考えて、少しクラブを短くしたほうが球が上がると判断しました。

青木 そうしたら、一発目から本当に弾道が高くなったんです。しかも、バランスを取るために重くなったはずなんですけど、軽く感じて振りやすいし、飛距離もぜんぜん変わりませんでした、こっちのほうが良いねと。このセッティング変更も1カ月後の初優勝につながっていると思います。

大西 水城高校時代、ゴルフ部の石井貢監督(当時)に「変化の先に進化あり」と言われたことがあるんです、内容が良いからといって満足するのは停滞でしかない。毎日頭をフル回転して行動しなさいと。だから僕は常にアンテナを張って、新しい情報をインプットして、青木プロに合うと思ったことは積極的に取り入れていきました。もちろん実際には合わないことのほうが多くて、10個のうち1個ハマればいいぐらい。でも、クラブを短くしたのは見事にハマりました。

青木 初優勝は(悪天候による競技短縮で)2日間でしたし、強い選手が出場していないとか、いろいろ言われたのも事実です。でも、コーチの「大変な中で勝った試合だから自信をもとう」という言葉に励まされました。3年前にゼロからスタートして、スイングを作り直して、二人三脚でやってきたひとつの結果ですから本当にうれしかったですね。

青木瀬令奈/1993年2月8日生まれ、群馬県出身。2011年プロ転向。今年6月の「宮里藍 サントリーレディスオープン」でツアー2勝目を挙げ、若手が台頭するツアーで存在感を見せた。

あきらめることをあきらめさせてくれてありがとう

編集部 それから4年。今年6月の「宮里藍 サントリーレディスオープン」でツアー2勝目を挙げるわけですが、その前に引退を考えたことがあったそうですね。

青木 去年、コロナで試合がなくなって、自粛期間もあって、将来のことをいろいろ考える時間ができてしまったことが良くなかったんですね。今までは毎週試合があって、勝つために練習して、余計なことを考える時間がありませんでしたから。それと、しなくても良い成長というか、ちょっと落ち着いてしまって、今までだったら勝てなくて悔しかったのに、若手選手が頑張っていることをうれしく感じてしまったり。

大西 そばで見ていて心の灯火が小さくなっていくのを感じました。そして4月だったと思いますが、青木プロが「辞めたい」という言葉を口にしたんです。でも、今辞めたら必ず後悔すると。絶対にまた優勝できると背中を押し続けました。そうしたら5月ごろから明らかに吹っ切れたのがわかりました。プレーの内容もガラッと変わったんです。

青木 ちょうどその頃、同じリシャール・ミル ファミリーでレーシングドライバーの松下信治さんと話す機会があったんですけど、いろいろ見抜かれていて、「自分から舞台を降りることはない。目の前のことだけを考えてやったほうがいい」とアドバイスされました。前のホールで打ったボギーを引きずるでもなく、このホールでバーディを取ることを意識するでもなく、目の前の一打に集中する。ゴルフもそうだなと。

大西 言葉にするのは簡単ですけど、18ホール、3日間4日間と集中し続けるのは難しい。でも、それを徹底できたのがサントリーレディスでした。あの試合は、とにかく勝ちにこだわってプレーできました。

青木 とにかく“無”でしたね。次の一打に集中して、インパクトのイメージをつくって、ひたずらそれを繰り返す。だから、(同組で優勝を争った稲見)萌寧ちゃんのプレーはまったく見てないし、意識していませんでした。正直、しんどい4日間でした。とくに最終日は苦しかったですけど、苦しんだ先に優勝がある、苦しいのが当たり前だと思ってプレーしていました。そこまで徹底的に自分を追い込んでプレーしたのは初めてかもしれません。

大西 表彰式が終わった後に、青木プロから「あきらめることをあきらめさせてくれてありがとう」と言ってもらいました。一生忘れられない言葉です。

青木 泣かせにいったわけじゃないよ(笑)。でも私が奮い立つことができたのは、2015年からずっと二人三脚でやってきて、君ならできると言い続けてくれたコーチのおかげ。励まし続けて、背中を押してくれて、あきらめないでまたやってみようと声をかけ続けてくれたことは本当に大きかったです。今いる場所が、自分の行きたかった場所だよねと。それで覚悟を決めることができました。

大西 今の目標はツアー3勝目です。同級生で何でも言いたいことを言い合える関係で、ケンカをすることもありますけど、それはお互いにもっと良くしていこうという気持ちがあるから。これからも二人三脚で頑張っていきますので応援よろしくお願いします!

大西翔太/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。PGA認定ティーチングプロA級。青木瀬令奈や渋澤莉絵留のコーチを務める。ジュニアゴルファーの育成にも積極的に取り組んでいる。

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EVEN 編集部

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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。

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