キャロウェイ「PARADYM(パラダイム)」シリーズのモデル選びは試打して選ぶが鉄則って本当?
EVEN 編集部
- 2023年03月03日
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キャロウェイ「パラダイム」でゴルフクラブ選びは大転換
飛びの「エピック」、やさしさの「ローグ」に次ぐキャロウェイ第3のブランド「パラダイム」が先日発表された。ここ数年、ゴルフクラブ選びの本命のポジションをキープしているキャロウェイだけに、乗り換えを考えているゴルファーや、昨年リリースの「ローグST」シリーズからの買い替えを検討している方も多いだろう。
だが、パラダイムをクラブスペックやこれまでのキャロウェイ製品のモデル選びの感覚で選ぶのは早計かもしれない。まずは、先入観を持たずに試打すべき。そう思う理由は、素材や構造の進化が劇的すぎるからだ。
パラダイムドライバーは標準モデルも超低スピン、ドローバイアスモデルは劇的やさしさ!?
まず、パラダイムのドライバーには、ヘッド中間部をトライアクシャルカーボンのクラウンとフォージドカーボンのソールという2種類のカーボン素材を筒状に成形した業界初(※特許出願中)の360°カーボンシャーシが採用されている。ボディの中間部が従来のチタン製から大幅に軽量化したことで、余剰分の重量をフェース側とヘッド後端という前後に分配することができ、かつてないほどの高慣性モーメントな重心設計を実現しているのだ。
また業界内で他社に先駆けて導入してきたAI技術による練度はさらなる熟成をみせており、モデル別にフェースの肉厚を最適化させた「AI FLASHフェース」や、フェース裏の柱やフレーム状の構造「ジェイルブレイク・テクノロジー」がフェースのたわみを拡大、ターゲットゴルファーの打点傾向から打ち出し角やスピン量を補正するばかりか、今回、打点のバラつきまでをも勘案し、着弾点のバラつきまでをも抑制させているという。
また、新発想のパラダイム アイアンも圧巻だ。これまでになく美しい”顔”で、シンプルなバックフェースとなった本作では、その形状からは想像できない、いわゆるブッ飛び系アイアン級の飛距離性能と球の上がりを両立させてる。これは、新開発のスピードフレーム構造の恩恵によるもので、いわゆる軟鉄の単一構造や中空構造とも異なる、フレーム状の構造が、高い反発性能を備えたウッド譲りのフォージド455フェースカップの搭載を可能とし、さらにモデル別のAI FLASHフェースとタングステンウェイトの搭載による低重心化が、飛んで球が上がってミスにも強い性能を実現させたのだ。
パラダイム(スタンダード)アイアンのアドレスカット。バックフェースも同様、すっきりした顔だちは、いわゆる飛び系アイアンのそれと一線を画す昨年発表されたローグSTシリーズが”近年のキャロウェイのテクノロジー全部入り”とすれば、本シリーズは”未見のキャロウェイ最新テクノロジー全部入り”とでもいうべきだろうか。とにかく、ベースとなるヘッド性能が大幅に底上げされているのは間違いない。本稿の冒頭で「パラダイムはエピックとローグの中間」というポジショニングを説明したが、実はこれにより、例えば”ローグST ♦♦♦(トリプルダイヤモンド)では球がつかまらなかったゴルファーが、スイングタイプにもよるが、性能が爆上がりしたパラダイムの ♦♦♦ではやさしく感じる”といった逆転現象を生みだしているのだ。つまり、キャロウェイを長年使っているゴルファーであっても、従来のモデル区分のイメージや性能だけでは、適正クラブの判断ができない可能性があるのだ。これが、「パラダイムは試打して選ぶべき」という発言の意味だ。
タイプの違う2名のテスターがパラダイムドライバーを試打
今回、その真相を確かめるべく、ゴルフ雑誌「イーブン」ではスイングタイプもヘッドスピードも異なる2名のテスターに、パラダイムのドライバー4種とアイアン3種の試打テストを依頼した。弾道計測器「GCクワッド」を設置した都内のゴルフスタジオ「浜松町ゴルフ倶楽部(https://hamamatsuchogolfclub.jp/)」のレンジをお借りして計測したデータが示したのは、球のつかまり具合やヘッドスピードから想定した対応モデルでは推し量れないという、噂通りの興味深いテスト結果だった。
[テスタープロフィール]
中本裕基(右)
スタジオ「ProAma Golf」所属のゴルフインストラクター、クラブフィッター。日大ゴルフ部出身。HSは48m/sのアッパーブローでドローヒッター。クラブは軽・硬、長尺を好む。
中嶋タカシ(左)
映像クリエイター、モデルにしてゴルフインストラクター資格ももつ。HSは43m/sで、ややダウンブローでスピンは多め。マイクラブのアイアンは10年以上愛用するマッスルバック。顔がいいモデルが好き。
パラダイム(スタンダード)ドライバー
青く透過するマーブル柄の素地が新鮮なシリーズの標準モデルは、ソール後方に13.5gの可動式ウェイト「ペリーメーターウェイト」機構をシリーズで唯一搭載しているモデル。
「スタンダードがアベレージ向きで、Xがアスリート向き、という”ゴルフギアあるある”には当てはまらず、スタンダードは低スピンの左に行かない系。フェーダーの自分はやや球のつかまりが欲しかったのでウエイトをドロー側に調整したらバラつきが抑えられました。カーボンボディと聞いていましたが、いわゆるカーボンヘッドのような打感の違和感はまったく感じないし、顔も良い。自分のようにバックスピンで飛距離をロスしてしまう人で、丸顔が苦手な人に合うような印象です」(中嶋)
PARADYM(STANDARD) DRIVER
[spec]フェース素材/構造:鍛造FS2S チタン/ NEW FLASHフェース/ フェースカップ ボディ素材:8-1-1チタンボディ+トライアクシャル・カーボンクラウン&フォージド・カーボンコンポジットソール+ペリメーター・ウエイト約13.5g ロフト角(°):9、10.5、12 ヘッド体積(cm3):460 シャフト/クラブ重量(g):VENTUS TR 5 for Callaway (S)/約307 価格(税込):\96,800~
飛距離(キャリー)データ
Nakamoto : 287yds
Nakajima : 232yds
パラダイム X ドライバー
丸形のヘッドで安心して構えられるドローバイアスの高弾道モデル。ヘッド後部の搭載ウェイトは5g。昨年の『ローグST MAX/MAX D』比較で格段にやさしさを感じると両名の見解は一致。
PARADYM X DRIVER
フェース素材/構造:鍛造FS2S チタン/ NEW FLASHフェース/ フェースカップ ボディ素材:8-1-1チタンボディ+トライアクシャル・カーボンクラウン&フォージド・カーボンコンポジットソール+スクリューウェイト約5g ロフト角(°):9、10.5、12 ヘッド体積(cm3):460 シャフト/クラブ重量(g):VENTUS TR 5 for Callaway (S)/約307 価格(税込):\96,800~
飛距離(キャリー)データ
Nakamoto : 282yds
Nakajima : 235yds
パラダイム ♦♦♦(トリプルダイヤモンド) ドライバー
キャロウェイのツアーモデルを表す「♦」マーク、中でも3つ並んだ「♦♦♦(トリプルダイヤモンド)」は最もハードな特性を示す証。ソール側、フェース直前と後端にウェイトを搭載、360°カーボンシャーシによる特性が最大限に生かすような構造が見て取れる。
「全般的に低スピンな傾向で、中間部がカーボンのためかフェースのたわみを感じます。左に行かない『スタンダード』と『♦♦♦』、つかまり系の『X』と『MAX FAST』に大別できますが、自分が良かったのは♦♦♦。小ぶりで操作性が良く、シャフトの違いもあるのかスタンダードよりフェースが返って振り抜きも良好、低スピンなので球筋も安定しました。これも対象ゴルファーの弾道のブレ幅を抑制するAIフェースの賜物。 プロユースの♦♦♦が一段手の届く存在になった印象」(中本)
PARADYM ♦♦♦ DRIVER CALLAWAY SELECTED STORE限定製品
フェース素材/構造:鍛造FS2S チタン/ NEW FLASHフェース/ フェースカップ ボディ素材:8-1-1チタンボディ+トライアクシャル・カーボンクラウン&フォージド・カーボンコンポジットソール+スクリューウェイト約2g+バック約14g ロフト角(°):8、9、10.5 ヘッド体積(cm3):450 シャフト/クラブ重量(g):TENSEI 55 for Callaway(S)/約308 価格(税込):\96,800~
飛距離(キャリー)データ
Nakamoto : 293yds
Nakajima : 237yds
パラダイム マックスファスト ドライバー
丸形の安心感のあるヘッド形状。シリーズで唯一接着型のホーゼルでヘッドもシャフトも軽量化された軽い振り抜きでヘッドスピードが向上。中嶋は4種中で最長飛距離を記録。
PARADYM MAX FAST DRIVER
フェース素材/構造:鍛造FS2S チタン/ NEW FLASHフェース/ フェースカップ ボディ素材:8-1-1チタンボディ+トライアクシャル・カーボンクラウン&フォージド・カーボンコンポジットソール+スクリューウェイト約5g ロフト角(°):9.5、10.5、12 ヘッド体積(cm3):460 シャフト/クラブ重量(g):SPEEDER NX 40 for Callaway (S)/約280 価格(税込):\96,800~
飛距離(キャリー)データ
Nakamoto : 274yds
Nakajima : 242yds
下はキャロウェイ公式のドライバー4モデルの「フィッティングガイド」。こちらも参考にしながら、実際の試打で適正モデルを選ぶべきだろう。
シンプルな”良い顔”アイアンを試打したら「エピックスターアイアン」を思わせる飛びだった
パラダイム(スタンダード)アイアン
キャビティよりブレードが薄く、中空よりも低重心という理想をスピードフレーム構造で実現。すっきり見た目の飛び系アイアンはパラダイムシリーズのもう一つの革新だ。
「中空なのにフィーリングが良いですね。マイクラブの#7と飛距離を比較すると『スタンダード』でキャリーが+20yd、『X』や『MAX FAST』では見たことないような数値(笑)。#7アイアンなのにミート率が平均して1.45程度でていました。シリーズ全般を通して、バックスピン量というよりは、高い打ち出し角で止めるタイプのアイアンだと思います。自分なら#7アイアンで5500rpm前後のスピンが入ったスタンダードが一番使いやすく感じました」(中嶋)
PARADYM(STANDARD) IRONS
フェース素材/構造:カーペンター455スチール/ FLASHフォージド フェースカップ(I#4~8)、カーペンター455スチール/FLASHフォージドフェースプレート(I#9)、17-4 ステンレススチール/フェースプレート(PW、AW、52°) ボディ素材:17-4 ステンレススチール+ ウレタン・マイクロスフィア+ MIMタングステンウェイト+ タングステンメダリオン(I#4~8)、17-4 ステンレススチール+ ウレタン・マイクロスフィア+ タングステンメダリオン(I#9、PW、AW、52°) ロフト角(°):29(I#7) クラブ長(inch):37(I#7) シャフト/クラブ重量(g):VENTUS TR 5 for Callaway(R)/約370(I#7) 価格(税込):5本セット(I#6~9、PW)\148,500~
飛距離(キャリー)データ
Nakamoto : 175yds
Nakajima : 158yds
パラダイム X アイアン
シリーズ中最もオフセットが大きいキャロウェイらしいオーバーサイズモデル。
「見た目も構えた印象も多少グースはありますが、一般的なアイアンと遜色ないレベル。それでいて飛距離はぶっ飛び系で、フェースに粘つくような打感も好み。#7で27.5°のストロングロフト設計ですが、183ydでのスピン量が5600rpm出ており、グリーンで止まってくれる実戦力もありそう」(中本)
PARADYM X IRONS CALLAWAY EXCLUSIVE限定製品
フェース素材/構造:カーペンター455スチール/ FLASHフォージド フェースカップ(I#4~9)、17-4 ステンレススチール/フェースプレート(PW、AW、51°、56°) ボディ素材:17-4 ステンレススチール+ ウレタン・マイクロスフィア+ MIMタングステンウェイト+ タングステンメダリオン ロフト角(°):27.5(I#7) クラブ長(inch):37(I#7) シャフト/クラブ重量(g):VENTUS TR 5 for Callaway(R)/約370(I#7) 価格(税込):5本セット(I#6~9、PW)\148,500~
飛距離(キャリー)データ
Nakamoto : 183yds
Nakajima : 170yds
パラダイム マックスファスト アイアン
飛び系アイアン界の自主規制限界(!?)、名器「エピックスターアイアン」同様、#7で26°のシリーズ中最もストロングロフト設計で軽量なブッ飛び系モデルは、面長で安心して構えやすい形状。
PARADYM MAX FAST IRONS
フェース素材/構造:カーペンター455スチール/ フォージド フェースカップ(I#5~8)、カーペンター455スチール/フォージドフェースプレート(I#9、PW、AW、50°、56°) ボディ素材:17-4 ステンレススチール+ ウレタン・マイクロスフィア+ MIMタングステンウェイト+ タングステンメダリオン(I#4~8)、17-4 ステンレススチール+ ウレタン・マイクロスフィア+ タングステンメダリオン(I#9、PW、AW、50°、56°) ロフト角(°):26(I#7) クラブ長(inch):37(I#7) シャフト/クラブ重量(g):SPEEDER NX 40 for Callaway(R)/約360(I#7) 価格(税込):5本セット(I#6~9、PW)\148,500~
飛距離(キャリー)データ
Nakamoto : 187yds
Nakajima : 163yds
下はキャロウェイ公式のアイアン3モデルの「フィッティングガイド」。こちらも参考にしながら、実際の試打で適正モデルを選ぶべきだろう。
パラダイムはFWで4タイプ・UTで3タイプを用意
今回はテストを行わなかったが、FWやUTもバリエーション豊富で、こちらも適正モデルは、しっかり試打して選ぶべきだろう。
パラダイムフェアウェイウッド シリーズ
#3、W#3HL、W#5にドライバーと同一の流れを組んだ、トライアクシャルカーボンクラウンとフォージドカーボンソールを採用し、さらなる高MOI化を実現。新開発のジェイルブレイクとフェアウェイウッド用にAIが新設計したAI FLASHフェースで曲がり幅の抑制とフェースの反発性向上も成し遂げている。ドライバー同様、スタンダード、X、マックスファスト、トリプルダイヤモンドの4モデルで展開。各\60,500(税込み)
パラダイムユーティリティ シリーズ
ヘッド形状が往年のキャロウェイ的シェイプから、ツアープレイヤー好みのシャローで丸みのあるフェアウェイウッド型に進化。ソール後方に2つの波状の溝をもたせた「カットウェーブソール」も採用し抜けの良さも追求、振り抜きの良さ、拾いやすさを追及した新設計となっている。スタンダード、X、マックファストの3タイプをラインナップする。各\50,600~
従来、ゴルフクラブのモデルバリエーションといえば、ヘッドサイズや重量、重心設計の違いがほとんどだった。だが、AI FLASHフェースをはじめ、クラブ設計へのAI技術の導入に先鞭をつけたキャロウェイは、今回、ターゲットゴルファーの飛距離の最大化だけでなく、ミスショットでのバラつきまで抑制させるなど、一歩先の領域まで踏み込んだといえるのかもしれない。彼らがアイアンのレギュラーモデルで10モデル以上のバリエーションを可能にしているのも、こうした人智を超えたテクノロジーを導入している賜物だろう。だが、最も重要なのは、それによりゴルファーにとって最適な一本を提供できる、という事実だ。
実際に試打しなければ、適正モデルがわらかないというパラダイムの可能性とは、つまり、キャロウェイからのゴルファーへの誠意といえるものかもしれない。
Information
(問) キャロウェイ ゴルフ https://www.callawaygolf.jp/
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- 写真〇六本木泰彦 文〇藤井順一 撮影協力○浜松町ゴルフ倶楽部 https://hamamatsuchogolfclub.jp/ (問)キャロウェイゴルフお客様ダイヤル 0120-300-147
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EVEN 編集部
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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