【アパレル部門】EVEN オブ・ザ・イヤー 2023-24
EVEN 編集部
- 2023年12月25日
INDEX
EVEN APPAREL OF THE YEAR 2023–2024
好調のゴルフ関連市場の中で、ここ数年最も勢いがあったのがメンズのゴルフアパレル。ゴルフファッションのトレンドに“いっちょ噛み”し続けてきた本誌の編集長と売れっ子スタイリスト3名が、スタイル別にコロナ明け後初のゴルフアパレルを大ボリュームで総括します。
ゴルフウェアに一家言持つ面々
スタイリスト 中村祐三
ゴルフメディアや広告、ファッション誌などで活躍。
プレスから直接依頼も多い、多分世界一ゴルフウェアのコーディネートを組んでる人。
EVEN編集長 ミズカミ
本誌編集長。雑誌の他、リアルイベントの企画&MC、アパレルのプロデュースなど業務拡大で多忙を極めるも年間100近いラウンドをこなす。
スタイリスト 吉野誠
ファッション誌、ラグジュアリー誌、ブランドのカタログ企画、パーソナルスタイリングなどで活躍。
毎回出演を固辞するも編集長の召喚で参戦。
スタイスト 尾後圭太
ラブラドゥードルをこよなく愛するやさしい一面を持つ強面スタイリスト。
リメイク古着のゴルフウェア「FLOG GOLF CLUB」をプロデュース。
夏ゴルフは専業メーカーのゴルフウェア以外着ない
中村(以下N):今年の印象は海外ブランドが買いやすくなったこと。
吉野(以下Y):確かに国内の代理店や扱うショップが整ってきた印象。
ミズカミ(以下M):海外とは違うけど「ドムドムゴルフ」は気になる。
Y:何それ、アメリカのブランド !?
M:ドムドムは元々日本初のファストフード店なんだけど、そこのウェアやキャディバッグが面白かった。
尾後(以下O):ロゴが良いんすよ。
M:ブランドの選択肢が増えるのは良いけど、ボックスシルエットばかりだから自分はアスリートな「アディダス」や「デサント」を着てた。
Y:自分も昔買った「ナイキゴルフ」のブレードカラーをよく着ました。日本の夏はもはやスポーツ専業メーカーのウェア以外厳しいですね。
M:半袖モックネックも流行りだけど正直夏は熱いし。ところでそんな吉野クンはゴルフアパレル始めたね。
Y:やっぱ認められたいので(笑)。
O:湘南の風のレッドライスさんなど著名人のプロデュースも目立った。
2023 スタイリスト吉野氏のワードローブ
ナイキゴルフが“ブレードカラー”と呼んだヘンリーネックのシャツと、ゴルフモチーフの古着ニットがお気に入り。「『ゴルフ好きなの?』とか着るだけで会話が弾むんですよ」
2023 スタイリスト中村氏のワードローブ
自身も運営に関わる「NEW VINTAGE GOLF」のポロやアディダスのクラシックシューズなど、ベーシック&トラッドなコーデに小物をアクセントとするチョイスが中村氏らしい。
2023 スタイリスト尾後氏のワードローブ
リメイク古着を主とした自身のブランド「フログゴルフクラブ」に加え、スケボーの「TIRED(@tiredskate boards)」など、普段着のゴルフ転用がやっぱり好きなご様子。
2023 編集長ミズカミのワードローブ
「コースの行き帰りはコレばっかり着てた」と挙げたのは、今年本格ローンチした「5525 gallery」のゴルフライン「5525golf」による機能素材のテーラードジャケット。
KEYWORD 業界人のブランド
KEYWORD ブリーフィング ゴルフ
KEYWORD テーラーメイド
ブランドもスタイルも以前より多様化してる
M:〝コロナバブル〞が終焉を迎えて淘汰が始まってる。
Y:オゴちゃんトコ(「フログ ゴルフクラブ」)みたいにコンパクトなら成立しても、大手のような在庫を抱える商売は厳しい。
O:小規模だからトガったものが作れるというのは確かにあるね。
Y:「ブリーフィング」や「TFW 49 」がお手本の〝モダン・化繊系〞は今、地方の需要が大きいみたいよ。
M:酷暑だったから涼しい機能素材のブランドが売れるのは納得。
N:機能系でいえば「デサントゴルフ」の「DSG」も良かった。
O:似たアプローチなら「アンパスィ」からの「& GOLF」もあり。
Y:アンパスィはいい。何より契約女子プロがカワイイ(笑)
M:契約プロの可愛さなら「ラルフ ローレン」。イベントでご一緒した新垣比菜プロ美人だった。
O:単に好みの話なってます(笑)。ボクは元「ハイプゴルフ」の笹川さんの「ディボット」とかショップの出店なんかも新しい動きかなぁと。
N:コラボを糧に「テーラーメイド」が存在感出てきて、特に「UA」コラボはかなり良かったです。
O:アレは良い。ほぼ完売らしいね。
M:テーラーは近々「キャプテンズヘルム」ともコラボするみたいよ。
O:コラボといえば関西の「クラブハウス」もハズせないですよね。
Y:クラブハウスは完全に独自のカルチャーを作れたと思う。
KEYWORD MC80
KEYWORD ミズノ × ニューヴィンテージゴルフ
KEYWORD ハンパ丈ソックス
M:あと、今気づいたら、今回集まった3人のスタイリスト全員が自分のブランドあるんだね。ユーゾー(中村)が関わってる「ニューヴィンテージゴルフ」、発売前だけど「ミズノ」のコラボは良作だよ。
Y:コラボが増えたのは良いと思うんだけど、個人的にはテイストが近いブランドと組むのではなく、異ジャンルとの化学反応みたいなのを期待したいかなぁ。
M:そろそろまとめますよ。今年よく履いたシューズはアディダスの『MC 80』で、久しぶりにドレスっぽくて履きやすくてヘビロテしてる。まぁ、一番履くのは22年モデルの『コードカオス』なんですけどね。あとヘッドウェアでいえばジェットキャップが増えてきたかなぁ。バケットハットも相変わらずも多いしね。
O:数年前にツアープロが被ってから長ツバのアドベンチャーハットも、よく見るようになった気がします。いずれにしても暑さ対策が重要ってことなんでしょうね。
M:流行りもあるけど、ブランドもスタイルも、以前より多様化したのは間違いない。
N:スタイリングだと、半端丈のソックスをよく提案しました。
Y:長ソックスは確かに見る。ただ、コレってひざ下が長くて脚が細い外国人はいいけど、ふくらはぎが太めな典型的な日本人体型には似合わないアイテムなんですよ。
KEYWORD ヘッドウェアの変化
KEYWORD グリーンのアイテム
M:あと、カラーだと、グリーンのアイテムが異様に多く感じた。今年の流行色でもあるけど、元々がゴルフとの相性が良いしね。アースカラーやくすみカラーも増えてる印象。コースで若いゴルファーを見かける頻度は増えたけど、そういう子たちは「キャロウェイ」や「ニューバランス」の人気が高い。
KEYWORD キャロウェイとニューバランス
KEYWORD ジャックバニー!!の安定感
O:同じブランドの全身コーデの子をよく見かけますね。
Y:確かに堅実なブランドを選んでますよね。自分が昔から推してる「ジャックバニー!!」も強い。値ごろ感とデザインのバランスが◎。
M:定番を挙げるなら「パーリーゲイツ」は相変わらず直営店が強かったし、「マーク&ロナ」も青山のショップは凄かった。あと今年は関西で人気のブランドも存在感があった。「ダンスウィズドラゴン」と「ムータマリン」が沖縄でやった合同のコンペはかなり盛り上がってたよ。
KEYWORD イーストサイドゴルフ
KEYWORD ショップ発の動き
N:ストリート系の躍進もあると思います。「イーストサイドゴルフ」も本格的に日本に上陸しましたし。あと、先ほどショップの話が出てましたが、東京・聖蹟桜ヶ丘のゴルフ工房「グリニッジゴルフ」のウェアも良かった。来年はショップ発信の地クラブならぬ〝地ウェア〞が来るかも。
M:場が温まったところで、最後にスタイル別に今年のベストブランドを選出しましょう。
カジュアル&ストリート部門
ここではスタイル別に今年活躍が顕著だったブランドを優秀賞として選出。
スケーター系の隆盛など話題が多かったストリート系から。
“Adress” スケーター系がカジュアル化を牽引
スケート&ゴルフがテーマのショップ「ペンデュラム」も含め、スケーターブランドのゴルフ進出が進む中、「アドレス」に注目と尾後氏。
“FLOG GOLF CLUB × EDIFICE GOLF” ゴルフセレクトとのコラボを実現
尾後氏がディレクションを担う「フログゴルフクラブ」。リメイク古着で一点もののゴルフウェアという特異な存在ながら、今年デビューの「エディフィスゴルフ」とコラボも果たした。「ペインティングによる買えるゴルフアートという意味でも◎」とミズカミ。
“STUDENTS GOLF” 西海岸発の新参はポスト「マルボンゴルフ」
既存ブランドのアンチテーゼのようなTシャツやグラフィックを多用したLAを拠点とするライフスタイルブランドを推したミズカミ。「TSIの新業態『オーサムゴルフ』でも扱ってて気にいったのがコレ。取材で着てたら某男子プロも「いいですね」って言ってた」
“GHOST GOLF GANG” ロリポップマーカーがゴルフ業界に蔓延
アパレルアイテムに加えて“ぺろぺろキャンディ” マーカーが有名なブランド。選者全員が「ラウンドでよく見る」として受賞。
“5525 golf” 編集長ミズカミのゴリ推し
21年にデビューし、今年から本格稼働。機能素材、モダンシルエット、ミニマルデザインという旬のど真ん中に加え、「エディフィス」でのポップアップ、アイテム展開の豊富さなども評価。前頁のとおり編集長ミズカミはココのテーラードジャケットを愛用中。
新ブランド部門
近年に比べれば落ち着いたが今年も新ブランドが多数デビュー。中でも動きが目立った期待の星を選出。
“renoma golf” ゴルファー世代に刺さるIPをウェアに
「タングラム」や「ウィンダンシー」のディレクターとしても活躍するスタイリストの熊谷隆志氏を招聘したブランドづくりのスキームやシルエットなどを選者たちは評価。
“DEVEREUX GOLF” カジュアルスタイルの注目株
スカルがモチーフの「デヴァローゴルフ」は米国アリゾナ生まれのゴルフブランド。「写真のようにサッカージャージを思わせるデザインなど既存ブランドにはないセンスが秀逸で、デイリーユースでも違和感のないシームレスな存在」とミズカミ。
“Awesome Golf” TSIのセレクトショップは今後の展開にも注目
米国のLAやNY発のライフスタイルゴルフウェアを扱うセレクトショップ。TSIが手掛けるストリート系ゴルフウェアというだけで注目。
“and per se & GOLF” アンパスィの兄妹ブランドは実力派
“ライフシーンでも着られる” をコンセプトにデビュー。「端的に言えばカジュアルなアンパスィ。契約女子プロがカワイイからつい贔屓目で見てしまいますが(笑)、機能やデザインは本格的で高評価」と吉野氏。
今年デビュー&気になったブランド
Mid 90s Club
bagjack golf
Local Golf
VIOLA&ROSES
Maison Kitsuné Golf
NBB Weekend
NAKED GOLF
FOURTEEN
KBS
スポーティ&アスリート部門
契約プロの活躍が人気に直結するゴルフウェアの王道は、新展開こそあるが作りや機能性に定評のあるメーカーが独占!
“DSG” カジュアルだってデサントゴルフ
“大人が着る上品なストリートモードテイスト”を謡う「デサントゴルフ」の新展開。「デザインはカジュアルでも機能性はデサントゴルフそのまま。選手もコレを着てほしい」とミズカミ。
“adidas Golf” スポーツメーカーの高機能ウェアしか勝たん
苛烈な異常気象に毎年苛まれる近年の日本のゴルフ事情にあって「真冬や真夏はゴルフウェア以外着なくなった。そうした中でアディダスはやっぱり良い」と選者たちは満場一致。ストリート系の「アディクロス」も評価。
“J.LINDEBERG” 困った時のリンドバーグの安心感
「この間カミロ・ビジェガスが着てた」、「なんだかんだ好き」と時代に流されない「J.リンドバーグ」の存在感を選者それぞれが推していた。
クラシカル&トラッド部門
上品コーデの定番は若年世代のナインティーズ回帰で復活の兆し。名門とコラボしたカプセルコレクションを推す声が顕著だった。
“adidas × Bogey Boys” 90年代ゴルフスタイルの決定版
「今年のこのカテゴリーはボギーボーイズが席巻した」と選者全員の意見が一致。ゴルフ好きな米国人ラッパーが設立、どこかクラシックなスタイルとモダンな機能性、ウェアからシューズまでトータルな展開、アディダスとのコラボで売れるべくして売れた。
“FootJoy × Todd Snyder” 単なる懐古主義ではないモダンなコラボ
「ラルフローレン」、「Jクルー」などでデザイナーをつとめたトッド・スナイダーによる東海岸系ブランドとの好コラボは「フットジョイ」の価値を高めたと中村氏。
“MAGGIA” 次代のクラシックはイタリア発スポーツブランド
ウール中心の老舗テキスタイルメーカーで70年代にテニスウェアとして一世を風靡したイタリア発のブランド。昨年からゴルフウェアを展開。「機能性とレトロなデザインが新鮮」と中村氏が太鼓判。
“GB GOLF” タウンユースでも活躍するウェア
クマのアイコンで知られるゴールデンベアのゴルフウェアラインとしてデビューしたGB GOLF。
誰でも似合うベーシックさにモダンなセンスを加え古豪復活を果した。
サングラス部門
シューズに並びラウンドを支えるギアでありファッションであるサングラスは定番ブランドの一人勝ち状態から細分化が進んだ。
“OZNIS by TALEX” 軽さと偏光レンズをミズカミが評価
芝や水面の乱反射を抑え、距離感やアンジュレーションの視覚情報をアップさせる偏光レンズメーカー「TALEX」 によるサングラス。「ハイカーブの装着感と視覚を妨げないフチなしが良い」と編集長ミズカミも購入の逸品。
“Eyevol” スポーツグラスをお洒落にした先駆者
国内メーカーならではの日本人の顔に合う形状と付け心地、圧倒的な軽量さにプロが試合で使える性能、何より普段使いできるデザインがブランドの強味。
“Oakley” ワンレンズタイプをアスリートが支持
昨年からPGAツアーで人気の一枚レンズのフレームレスモデル。スポーツサングラスの雄「オークリー」もしっかりツボを押さえていた。「スイングの時に邪魔にならなくて良い」と吉野氏が出来を賞賛。
“Zoff× UNITED ARROWS GOLF” 普段使いもイケる選びやすさ
好コラボ連発の「ユナイテッドアローズゴルフ」の中でも「ゾフ」とのサングラスは、デザインといい買いやすさといい納得の選出。専用ケース付きでこの価格はえらい。
映えあるグランプリは・・・!
最後に選者それぞれが今年を象徴するブランドから23年度のベストチョイスを忖度なしで発表してもらった。
Mizukami’s Choice
Non Professional Golf Clubのポロシャツ
「数年前からブランドやるやる詐欺だった吉野クンがついに重い腰を上げて関わったブランド。刺繍入りの凝った つくりのボーリングシャツは、彼らしいセンスで文句なしに今年を代表する一枚」(ミズカミ)
Ogo’s Choice
CHARI&COのスタンドバッグパック
西海岸発アウトドアブランド「PoLeR」と東海岸発のバイシクルブランド「CHARI&CO NYC」によるバックパックのようなスタンドバッグ。「背負って自転車やバイクでゴルフに行けるアイデアに脱帽」(尾後)
Yoshino’s Choice
Bogey Boysのポロシャツ
「老若男女に響くトレンドを押さえたデザインと機能性、大手メーカーのアディダスとのコラボを始めとしたプロ モーションなど、売れるべくして売れたブランド。単純にこのレトロな感じが好きというのもありますが、作り手 としても羨ましい」(吉野)
Nakamura’s Choice
TaylorMade × UNITED ARROWSのコラボ
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PROFILE
EVEN 編集部
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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