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プロゴルファーも太鼓判の圧倒的な存在感 コースデザインの最前線

プレーヤーの印象に残るゴルフコースとはどんなコースだろう。
感動的な絶景も、コンディションの良さも、実は設計段階からゴルファーにそう感じさせるよう緻密に設計されたものであると聞いたらどう感じるだろうか。世界で活躍するゴルフコース設計事務所代表とイリゲーション(灌漑)デザイナーに、深淵なるコースデザインの極意を聞いた。

ボナリ高原ゴルフクラブ 磐梯山や磐梯吾妻連山を望む標高850mに広がる7,010ヤード、18ホールの丘陵コース。3番崖越えのロングパー5は、一度は訪れるべき国内屈指の絶景ホールだ。福島県耶麻郡猪苗代町沼尻2855

Course Design ボナリ高原GCがメモラブルな理由

絶景ホールを印象付ける緻密なストーリー

下の写真を見て、ここが日本に実在するゴルフコースだとわかる人がどれ程いるだろう。そう感じるのも無理はない。なぜなら手がけたのは日本人ではなく、海外の有名コース設計事務所だからだ。福島県猪苗代町。ここに2005 年に開場したゴルフ場「ボナリ高原ゴルフクラブ」がある。設計したのはコース設計事務所「ゴルフプラン」社を率いるデイビッド・デール氏だ。

シグネチャーホール3番のグリーン周辺。周囲を崖に囲まれた立地、グリーン奥が16番グリーンとの共用となる構造など、日本のゴルフ場ではあまり見かけない景色だ。
1番ホールはグリーンに向けてコースを絞る演出。

これまで世界60ヵ国以上でゴルフコースの土地利用計画や建築、設計開発、施工図の作成、検査を取り仕切り、米国「ゴルフマガジン」誌の世界トップ50にランクインしたコースを手掛けた設計家の内、存命している6名のうちのひとりである。

大学でランドスケープを学んだ後、ゴルフプラン社へ。世界60 ヵ国以上でプランニングを行なってきたコース設計の匠。

昨年11月末、当時コース設計の実務担当だった同氏が講演のため来日した際、ボナリ高原GCをゴルファーが特別に感じる理由を聞いた。

「ボナリ高原ゴルフクラブの設計は、1988年頃にスタートし、設計の全体像であるマスタープラン作成まで足掛け10年以上、開場まで20年弱の時間を費やすプロジェクトでした。この場所は元々が硫黄の採掘場だったことで、草木が生育しにくく、開場に当たっては、米国最先端の土壌改良による土を約1m客土する大工事を行い、フェアウェイからグリーンまでをオールベント芝、ラフはケンタッキーブルーグラス、ローメンテエリアはフェスキューとしている。これらの芝種と、白いバンカー、広葉樹のコントラストが、印象的景観を形成する礎となっています」

更地に図面を引く場合やあるがままの自然を生かすコースとは違い、元採掘場という逆境で、いかにしてプロは魅力的な18ホールを描くのか。

「深い崖を超えた先に広がる土地と、その先に望む磐梯山。3番パー5のティからの情景を生かす、ドラマティックなルーティングをまずは考えました。アウト1番はパーンと開けて、プレッシャーを感じずに打てますが、グリーンに近づくにつれ、木々がコースを絞り、森の中へとゴルファーを誘います。そうすることで、3番ティに立った際、より景色の雄大さを感じることができるからです。また、日本の一般的なゴルフ場のように、ホールを木々でセパ レートするのではなく、部分的に木々を抜き、隣り合うホールとの繋がりを見せることも重要。ホールそれぞれでなく、コース全体を一つの塊として捉えられるとコースは記憶に残りやすくなります。崖越えの3番ホールと16番のパー5は共用グリーンとなっていますが、3番から4番、16番から17番へ続くインターバルはコースの全体像を掴めるようにしています。記憶に残るコースにはドラマチックな演出があります。セント・アンドリュースリンクスのオールドコース、ペブルビーチも、サイプレスポイントも然りです」

ホール間の木々を間引き隣接ホールの繋がりや後ろの景観を意識させるのがデイビッド流。

新興のアジア諸国に比べ、日本もアメリカも、コース設計事務所の仕事は、新規の設計からリモデリング(コース改修)の依頼が大部分を占めるという。世界の名コースを手掛けた設計家で存命しているのはデビッド氏を含む6名。今後新たに優れたゴルフコースを生み出していくためにも、彼らの叡知を継承する仕組みが早急に必要なのかもしれない。

韓国・済州島にある「ザ・クラブ・アット・ナインブリッジ」は韓国国内では初めて米国ゴルフマガジン社の「世界のベストコース50」にランキング。シンガポールのゴルフコースで、アジアナンバー1コースとの呼び声もある36ホール「セントーサゴルフクラブ」は、「SMBCクラシック」やLPGAなど男女トーナメントが開催で知られる。い ずれのコースもゴルフプラン社の設計だ。

Irrigation Design 灌水デザインがプレーを変える

米ツアー屈指の舞台「ペブルビーチGL」の名物ホール7番パー3。海沿いの厳しい条件にあればこそ、高度に管理された灌水設備が世界最高峰の舞台装置として機能している(※写真は灌水設備メーカーレインバー ド社提供)

灌水設備とそのデザインがコンディションをかえる

米ツアーの中継を眺めていると、選手のティショットがフェアウェイをよく転がっていく光景を目にする。あれはプロだからできること、という反応は間違いではないが、正解とも言い切れない。「日本のゴルファーはコースの灌水設備の不備により、飛距離をロスしているかもしれません」。そう警鐘を鳴らすのは、「アクアターフインターナショナル」社代表のジム・シューマッハ氏。コース内に水を送る配管やスプリンクラーレイアウトなどを決めるゴルフ場専門の灌水(イリゲーション)デザイナーだ。

タイを拠点に世界のゴルフ場で活躍している灌水デザイナーのジム・シューマッハ氏

「ゴルフ場の散水は、量と場所とタイミング、この3つが適切でなければなりません。PGAのメジャー大会では、2ヵ月前から芝のコンディションを整えますが、まずやるのは散水を止めることです。ランを出すためには芝を乾燥させる必要がありますが、一方で芝が枯れないように、散水しなければなりません。ただし、ゴルフコースには起伏もあ れば、ハザードや木々もあり、ラフやグリーンもあります、これらへ均一に水が行き届くようにするには、適切にスプリンクラーを配置し、それらを個別に管理し、散水する量を調整しています。世界的に知られるアメリカの「ペブルビーチ」やスコットランドの「カーヌスティリンクス」まで、名コースのプレイヤービリティにおいて、最新の灌水設備と灌水デザイナー、高度に制御された散水の管理は不可欠なのです」

そこで、気になるのは日本のゴルフ場の灌水設備やデザインだろう。

「私の肌感覚では、日本にあるおよそ9割のゴルフコースでは、前述したような世界標準の灌水設備を備えていません。一般に日本のゴルフ場は、フェアウェイを中心に2列にスプリンクラーを配置し、それらをいくつかのブロックごとに一元的に管理します。効率には優れいていますが、残念ながらゴルフコースには起伏があり、日陰や日向があり、フェアウェイやラフがあります。一元管理で水をまけば、当然水やりが足りない場所や、水たまりのように水や りが過剰な場所ができます。乾いた場所に水をまけば、水が過剰な場所にはさらに水が溜まります。これを防ぐには人海戦術でホースで水やりできれば良いですが、日本のゴルフ場は常に人材が不足しています。イリゲーションデザイナーはゴルフ場に最適な灌水設備や位置、管理方法をまとめ、そのゴルフ場の最高のコンディションでプレーしていただくために尽力しているのです」

日本の一般的なゴルフ場の散水設備であるブロックシステムの問題点について図で説明してくれたシューマッハ氏。
ペブルビーチの灌水デザイン。ランダム配置や規則的な配置でなく、高低差や目的、方角や風向きなどを考慮した灌水デザインが見て取れる。
ペブルビーチGLが採用しているレインバード社のスプリンクラー。
ベトナムの最新リンクスコース「ホイアナーショア」。自然のリンクスのようで高度な灌水設備を備える。
全英オープン開催コースの「カーヌスティリンクス」も灌水設備でオートメーション化。

昨年末、千葉県・幕張で開催された「ジャパンターフショー」の開催に合わせ、世界的灌水設備メーカー「レインバード」社の招きで来日したジム氏。適切な灌水デザインはターフコンディションの向上はもちろん、エネルギーや無駄な人的コストの削減、さらに農薬や肥料の削減といった環境にも貢献するサスティナブルに欠かせない設備だ。一刻も早く、日本のゴルフ場でも灌水設備を見直して欲しいと思うのは自分だけではないだろう。

レインバード社の日本担当、森山正志氏。
世界シェアを2分するレインバード社の灌水設備。

名古屋の名門コースに世界標準の英知が結集

今回本誌が取材した世界でも著名なゴルフコース設計家と灌水デザイナーの両名が日本に集まったのには深い理由がある。実は業界が注目するプロジェクトが日本のゴルフ場で進んでいるからだ。

場所は中部エリアの名門「春日井カントリークラブ」。巨匠、井上誠一設計でも知られる36ホールの東コースが開場60周年を記念し、来年10月のオープンに向け、コース改修から灌水設計、ランドスケープまで全方位で改修し、持続可能な世界標準のゴルフ場へと生まれ変わらせるというプロジェクトだ。
詳細など詳しくは公式WEBサイトを確認してほしい。

春日井カントリークラブ公式HP

デーヴィッド・デール氏がリデザインする春日井CCのマスタープランは、日本の巨匠「井上誠一氏が現代に生きていたらどんなコースにするだろう」と思いを馳せながら描いた。戦略性と美観と持続可能性のバランスを追求した21世紀型のゴルフコースだ。

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EVEN 編集部

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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。

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