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再ブームの予感!地クラブに世界が注目!パーツブランドのシン・流行

今年の「マスターズ」でも話題になったパーツブランドや地クラブ。最近はギアの有識者や女子プロを取材してもパーツブランドの話題になることが多い。パーツブランドといえば「エポン」や「ミウラ」などが有名だが、新興メーカーも続々と台頭している。そんなパーツブランドの最新トレンドを追った。

TREND_1「エポン」の新ジャパンフォージドと世界に誇る「ミウラ」の新鋳造

鹿又芳典が語るパーツブランドの潮流①

日本を代表するパーツブランドと言えば「東のエポンと西のミウラ」。2大ブランドの最新トレンドについて、1990年代からパーツブランドを扱ってきた鹿又芳典氏に解説してもらった。

鹿又芳典

プロも信頼するカリスマフィッターとして多くのゴルフメディアで活躍。店長兼クラフトマンを務めるゴルフショップ「マジック」では多くのパーツブランドを取り扱っている。


EPON

世界に誇る超精密鍛造

世界トップレベルの超精密鍛造技術をもつエポン。同社を訪れてアイアンをオーダーするトップ選手も多い。ジャパンフォージド製法のパター『Fortune』は新潟工場で熟練の金属加工職人が手がけている。

問い合わせ:エポンゴルフ (0256-64-5551)


鍛造産業が栄えた地域で誕生

日本だけではなく、世界的な評価も高いエポンと三浦技研。その理由について鹿又芳典氏に話を聞いた。「エポンのある新潟県燕市も三浦技研がある兵庫県の市川町も鍛造産業で栄えた地域です。その技術をベースにした鍛造工程のノウハウがあり、職人達の技術が高いため、海外からも認められています」(鹿又)

エポンは遠藤製作所が1977年に立ち上げた自社ブランドだ。「2024年モデルのドライバー『AF―157』は、今までのエポンに比べて明らかにやさしくなりました。重心角が大きいのでつかまりが良い。『AF―507』のアイアンもポケットキャビティで寛容性が高く、エポンらしい柔らかい打感でありながら、飛距離性能が高くてミスヒットにも強い。ドライバーもアイアンもやさしくなっているのが最近のエポンです」(鹿又)

もうひとつ、鹿又が最新のエポンで注目しているアイテムがある。「パターは新潟の自社工場で鍛造・加工しています。マスターと呼ばれる職人が0.1㎜単位までこだわったジャパンフォージド製法で1本1本作られています」(鹿又)


三浦技研

3回鍛造と摩擦圧接方式

三浦技研は3回鍛造で、3回目を低温で仕上げることで三浦独自の打感を生んでいる。ホーゼルを摩擦だけで圧着溶接しているのも三浦独自の製法。アダム・スコットは『CB302』と『KM700』のコンボセットを使用。

問い合わせ:三浦技研 (0790-26-0773)


三浦技研といえば創業者でありゴッドハンドと呼ばれた三浦勝弘氏が有名だが、現在は2代目の三浦信栄氏が社長業を引き継ぎ、三浦由貴が研磨技術を継承している。三浦技研はアダム・スコットなどが使っている鍛造アイアンが人気だ。「今発売されている鍛造の『CB―302』もすごく人気がありますが、最新トレンドとして注目したいのは4月に発売された『IC―602』です。このアイアンは鋳造で中空構造という珍しいカテゴリー。開発に6年かけた新世代の鋳造アイアンで、とても打感が良いです」(鹿又)

昨年末には8年ぶりとなるユーティリティ『H―100』も発売した。「ウッド型なのに、アイアンからの流れが良い顔(形状)をしていて、やはり打感が素晴らしい。中空アイアンもユーティリティも今までの三浦にない新カテゴリーに挑戦しているのが最近のトレンドです」(鹿又)

TREND_02 大手メーカーのパーツブランドに未知なるテクノロジーあり

鹿又芳典が語るパーツブランドの潮流②

これまでパーツブランドの主役は地クラブと呼ばれる中・小メーカーだったが、最近は大手メーカーもパーツブランドを展開するようになってきた。その狙いと最新トレンドについて探った。


PRGR TUNE

ヘッドの種類が豊富!アイアンは飛び系が人気

ドライバーで4タイプ、アイアンで5タイプなどヘッドバリエーションが豊富。ドライバーは5つの可変ウェイトで重心位置を調整できる。『プロギア チューン 05 CB』は飛び系アイアンとして人気。
問いあわせ:プロギア (0120-81-5600)


フィッティングを究めるとパーツに

プロギアが全国にある約100店舗の工房に向けたパーツブランドである『プロギア チューン』を展開し始めたのが2016年のこと。2020年にはキャスコがパーツブランドとして『VATIC』を立ち上げている。「10年くらい前からアマチュアゴルファーでもフィッティングをする人が増えてきましたが、フィッティングを究めていくとヘッド、シャフト、グリップで自分に合ったモデルを選べるパーツブランドに行きつきます。そのニーズに答えるために大手メーカーがパーツブランドを展開するようになりました」(鹿又)

大手メーカーのパーツブランドがもつメリットはどんなものだろうか。「一番のメリットは大手メーカーならではの技術を活かして、メインブランドにはまだ採用されていない最新テクノロジーや新素材を使えることです。例えば『プロギア チューン 05 ドライバー』では斬新なカップフェース構造によって、反発係数0.81を超えるエリアを大幅に拡大。大手メーカーのドライバーは高初速エリアが170㎟といわれていますが、『プロギア チューン 05』は200㎟を超えています」(鹿又)


VATIC

人気プロコーチが監修した チューニング系パター

人気プロコーチの南秀樹が監修した『VATIC パター』。ジュラルミン、ステンレス、樹脂インサートの3つのフェースに5、10、15グラムの可変ウェイトを組み合わせることで、世界に一つだけのパターを作れる。
問い合わせ:キャスコお客様相談窓口 (0120-371-562)


キャスコの『VATIC』からは昨年10月に画期的なチューニングパターが発売された。「ウェイトを調整できるパターはありましたが、『VATICパター』は3つのフェースに交換できます。フェースはステンレス、樹脂インサート、ジュラルミンの3タイプ。それぞれ打感と転がりが異なるので自分に合ったタッチに調整できます」

RODDIO

カーボンクラウンで軽量ヘッドを実現

最新モデルの『ロッディオ F-Tuning』ドライバーはヘッド体積440㎤のミッドサイズ。カーボンクラウンを採用して軽量ヘッドに仕上げたことで、シニアゴルファーや女性ゴルファーでも使える。
問い合わせ:スポーツライフプラネッツ (042-538-7794)


大手ブランドがパーツブランドを展開するトレンドで、忘れてはいけないのが『ロッディオ』だ。「女子プロにも人気の『ロッディオ』は、『オノフ』と『ダイワ』の技術を結集して誕生したパーツブランドです。『ロッディオ』の特徴は性能だけではなくて、デザイン性にも力を入れていること。新作の『F-Tuning』はロッディオ史上初となるカーボンクラウン構造を採用。余剰重量を確保したことで、さらにチューニング機能を充実させました。その上で8色のカラフルなソールプレートを選択できます」(鹿又)

「パーツブランドはフィッティングをしながら作っていくので、一人一人に合わせたクラブを組みやすい」(鹿又)

TREND_03 米国発の新興メーカーが世界のツアーで大人気

日本だけではなく、最近は米国のパーツブランドも盛り上がっている。大手メーカーと契約していたPGAツアーやLIVゴルフの選手たちも、新興パーツブランドのクラブを使い始めている。

JP GOLF

一つ一つ手作業で研磨

新モデルの『JP キャンバー』はワンピースの軟鉄鍛造でありながら、ロフト別にバックフェースの削り方を変えている。また、全てのヘッドを一つ一つ手作業で研磨することにより仕上げを美しくしている。
問い合わせ:ハスラック(06-6827-0303)


マスターズで5人以上が使ったパター

米国の新興パーツブランドのキーマンになっているのは、大手メーカーから独立した有名クラブデザイナーだ。2022年から正式に日本でも購入できるようになった『JPゴルフ』は、タイトリストでも活躍していたジェームス・パトリックが立ち上げた。最大の特徴はヘッドにタングステンと独自の樹脂による「JPインジェクションウェイト」を採用していること。このウェイトによってロフトが異なるウェッジでも重心位置を調整して、振り感を揃えることができる。つまり、52度も56度も60度も同じフィーリングで振れるのだ。

最新モデルの『JPキャンバー』ではバックフェースの形状や削り方をロフト別に全く違うものにすることでロフト別の最適重心を実現した。モデル名にもなっている『キャンバー』はソール形状のこと。湾曲していて接地面積の少ないソールが、あらゆるライに対して抜けの良さを体感できる。これまでの『JPウェッジ』はヘッド単体で8万円〜10万円台のシリーズが多かった。それに比べると最新モデルの『JPキャンバー』は約5万円。米国では“ウェッジ界のスコッティ・キャメロン”と呼ばれる同ブランドのアイテムとしてはかなり手頃な価格だ。

ARTISAN

ハイバンス設計のツアーモデル

『アーティザンウェッジ』の特徴はツアーモデルでありながら、ハイバンス設計になっていること。バンス角が大きくてもフェースを開いて使える形状が、研磨師マイク・テーラーの真骨頂だ。
問い合わせ:インフィニット(0985-86-7180)


ブライソン・デシャンボーやパトリック・リードのメジャー制覇に貢献したことで話題になったのが『ARTISAN(アーティザン)』だ。ナイキゴルフでタイガー・ウッズのクラブを削っていた研磨師マイク・テーラーと数名の技術者によって創立された。ツアープレーヤーとの親交が深いテーラーの知見と技術を生かしたウェッジを展開していたが、2021年にはアイアンが初めて発売された。日本ではややワイドソールのキャビティアイアン『LS720CB』が最も人気がある。

そして、今年最も話題なのは『L.A.B. GOLF』だろう。4月のマスターズではフィル・ミケルソン、アダム・スコット、ウィル・ザラトリス、ルーカス・グローバー、アン・ビョンフンなどが使ったことで話題になった。最大の特徴はトルクがゼロになっていること。通常のパターはトルクがあるのでフェースが回転する方向に力がかかるが、トルクフリーの『L.A.B. GOLF』は常にフェースをスクエアにキープできる。長年、パターに悩んでいた43歳のグローバーが昨年8月に『L.A.B. GOLF』のパターを使ってPGAツアーで2週連続優勝を達成したことがきっかけとなり、世界中のツアーで使用者が増えた。

L.A.B. GOLF

ライ角バランスによるトルクフリー設計

長年、オデッセイのL字パターを使っていたフィル・ミケルソンが使い始めた『DF3』。ライ角バランスによるトルクフリーだけでなく、素材は航空機などにも使用されている6061鍛造アルミニウムを使用している。
問い合わせ:アジルパートナーズ(03-6386-4980)

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PROFILE

フクダトモオ

EVEN / EVEN副編集長

フクダトモオ

1973年生まれ。業界紙記者、フリーライター、ゴルフ週刊誌編集を経て枻出版社へ。187センチの長身で、自称“用賀のビッグイージー”。スイング理論からPGAツアー、ギア、コース、さらにはゴルフ女子に至るまで守備範囲は広い。ベストスコア78、平均スコア90。

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1973年生まれ。業界紙記者、フリーライター、ゴルフ週刊誌編集を経て枻出版社へ。187センチの長身で、自称“用賀のビッグイージー”。スイング理論からPGAツアー、ギア、コース、さらにはゴルフ女子に至るまで守備範囲は広い。ベストスコア78、平均スコア90。

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