「スリクソン」の『XmaX』驚異のぶっ飛びボールはいかにして生まれたのか？

EVEN /

シミズ

SPONSORED

2017年に初代が登場して以来、モデルチェンジを重ねるごとに飛距離性能を更新してきた飛距離特化型ボール『XmaX（エックスマックス）』。最新モデルの商品企画と開発を担当したキーマン2人に話を伺った。

スリクソン『XmaX』

飛距離追求型スリクソンXシリーズがさらに進化。独自配合「エックスマックスコア」が、柔らかいのに高反発・高初速を実現。外剛内柔度を高めたことにより、高打ち出し・低スピンの大きな飛びを生む。オープン価格。

R&Aが定めるボールの反発係数に関するルールを度外視して飛びを追求する非公認球とは一線を画し、ルールを順守した上で他を上回る飛びを実現してきた「スリクソン X」の歴代モデル。その第4弾として人気を博す『スリクソン XmaX』の商品企画を担当した清水祐希氏と、前作に続き開発を担当した児島大二郎氏に話を伺った。

スリクソン『XmaX』
製品情報はこちら

左：清水祐希住友ゴム工業スポーツ事業本部ゴルフビジネス部ゴルフボールビジネスグループィング等を経験したのち、2022年入社。以来、スリクソン・ブランドのゴルフボールの商品企画を担当。右：児島大二郎住友ゴム工業スポーツ事業本部商品開発部ゴルフボール技術グループ 2020年入社。1年目よりディスタンス系ゴルフボール開発に従事。大学・大学院時代に培った化学知識を生かしてゴルフボール各部材の設計を担当。

編集部：まずは、今作の商品コンセプトについてお聞かせください。

清水氏：〝飛びの力でゴルファーに驚きを〞。それが「XmaX」の商品コンセプトです。企画検討時に調査、分析した結果、過去モデルは競合モデルよりも多くのシニアが使ってくださっていることが分かりました。それならば、シニアだけでなく女性にももっと使ってもらえるはずだと考えました。また、ゴルフでもっと上達したい方やラウンド回数を増やしたい方など、ゴルフへのモチベーションの高い方が多いことが、既存ユーザーの深堀りで分かりました。冒頭のコンセプトを打ち出したのは、より幅広い層のゴルファーに、飛距離と直進性が売りのXmaXを使ってもらうことで、驚きやレベルアップする喜びを体感していただきたいと考えたからです。

児島氏：これまでの「X」は、漠然とドライバーで飛ばしたい、という方をターゲットにしていました。そのため私たち開発陣も、ヘッドスピードが速い方が使うのだろうと想定していたのですが、実際はそうではなく、飛距離に悩んでいる方がターゲットだ、と企画チームから言われました。そこから、シニアや女性を含めた幅広い層のアベレージゴルファーをターゲットに開発を進めることになりました。

編集部：実際に開発をスタートするにあたり、まず着手した点は？

清水氏：ユーザーとして新たに増やしたいシニアや女性には、ヘッドスピードが速くない方も多いので企画チームから開発チームに要望したのは、ヘッドスピードが速くない方にも好まれやすい〝柔らかい打感を目指してほしい〞ということでした。

児島氏：ソフトにして、なおかつ今までより飛ぶようにしてほしい……。これはモデルチェンジのたびに出てくる無理な注文なのですが（苦笑）、それを実現するには、やはり初速のアップが不可欠です。そのために着目したのがコアでした。

編集部：そこから新素材の発見に繋がるわけですね。

児島氏：〝柔らかいのに初速は速いコア〞は、ボール開発の永遠の課題といってもよい難題です。それを実現するために、我々研究チームでもコアの材料に何を配合するかという研究を長年行ってきました。そのような基礎研究を約10年にわたり続けた結果、今回、ベストといえる材料を見つけることができました。それに加え、打感がソフトながら高反発のコアを作るために、今作で一番拘ったのがコアの硬度分布です。

「XmaX」のコア（左）と、新たに配合された材料（右）。試した材料は200種類。その中から開発チームが選んだ材料で設計したコアのテストも数十回行った。

編集部：前作のコアは、中心が柔らかく表面に近づくにつれて硬くなる設計と伺った記憶がありますが……。

児島氏　そうですね。硬度差をつけたコアは、インパクトで潰れやすく、それによってエネルギーが逃げてしまい、初速が落ちるというネガティブな要素があります。そこで、今回初速を最大限に高めるために、コアの中心と表面側とで、できる限り硬度差をつけない構造に設計しました。それにより、ボールはインパクトでエネルギーをロスすることなく打ち出されるので、柔らかくても高初速になるコアができました。

インパクトから0.007秒後の「XmaX」（上）とスリクソンの他のディスタンス系ボール（下）の初速比較。

清水氏　〝打感を柔らかく〞という要望を実現するために、3つある層の中で最も硬いミッド（中間層）も、前作より柔らかくすることを開発チームが狙ってくれました。

児島氏　ミッドを柔らかくすると、それだけスピンがかかりやすくなります。アマチュアの方はスピンが多いとショットが曲がって飛距離が落ちてしまうので、余分なスピンを抑える解決策として採用したのが、材料開発チームが新たに発見した材料をミッドに配合することでした。一般的に中間層やカバーを硬くすればスピンを抑えることができますが、今回発見した材料は、柔らかいのにスピンを抑えることができるというもの。それをミッドだけでなくカバーにも加えることで、打感として柔らかくしつつ、前述の通り今までよりスピンを抑えることができました。