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タクミのカクゲン ハイサイゴルフガールズ代表 呉屋ありさ

タクミのカクゲン

ゴルファーのために活躍するゴルフ界の匠から、それぞれの仕事に賭けた誇り高き言葉を頂く誌面連載企画。
その他バックナンバーはEVEN BOXでチェックできる。
今回は、沖縄で女性ゴルファー限定コミュニティを主宰する代表が登場。

ハイサイゴルフガールズ代表 呉屋ありさ

ゴルフに興味をもつ女性のためのコミュニティ

放っておけない人だった。突拍子もない書き出しなのは承知しているし、この感想を彼女に伝えた時も、小さな顔の真ん中に「?」を浮かべて困惑していた。それでもとにかく、この個人的な結論は揺るがない。沖縄の北谷町で生まれた呉屋ありさは、沖縄在住女性ゴルファー限定のコミュニティ『ハイサイゴルフガールズ』の代表だ。ゴルフに興味をもつ女性をサポートするため、自ら率先してコミュニティを立ち上げた。現在の主な活動は、女性限定コンペやキッズゴルフスクール、ラウンドマナーレッスンなどのフィジカルイベントの開催、さらにはメディアと連動したゴルフイベントのサポート等々。設立当初から実施しているクラブやウェアのリサイクル提供は、多大な手間をかけながら今も継続しているそうだ。

ゴルフと出会えた喜びや続ける楽しみを、ゴルフに興味を持つ沖縄の女性たちと共有したいという願いのもと、呉屋が立ち上げたのが地域コミュニティ『ハイサイゴルフガールズ』だ。現在、約250名を超えるメンバーとともに活動中である。

大好きなゴルフが女性の輝くきっかけになれば

年々増える参加メンバーは約250名。年齢層は20代から80代。およそ3年前からは地元企業のサポートが受けられるようになったという。それほどの成長理由をたずねたら、自分たちの努力を一切口にせず、ただ飄々と、または微かな戸惑いを浮かべながら、

「他ではできない細かなことをやっているからだと思います」と答えた。「沖縄って、男女問わず肥満が多いんですね。とくに女性は観光産業に関わる飲食店勤めが多く、生活時間が不規則になりがち。それを改善するため手軽に運動したい人はたくさんいて、中でもゴルフは注目を集め続けているんです。沖縄はプレーフィが安いゴルフ場がたくさんありますし、練習場も1球5円で打てるところばかりで、バッティングセンター感覚で楽しんでいる人が少なくありません。だからこそ、ゴルフをやってみたい女性のきっかけづくりをしたかったんです。私の大好きなゴルフが、女性の輝くきっかけになればと思って」。

コミュニティのモットーは「ゴルフを通して女性が輝き、可能性を広げ、健康に」。まさにこの言葉は、呉屋の人生そのものを体現しているように感じる。彼女が自らの経験を通じて築き上げたこのモットーは、多くの女性たちに新たな挑戦や成長の機会を提供し続けている。

ゴルフ中心の生活が私の生き甲斐

Uターンで知った沖縄の豊かなゴルフ環境

呉屋が女性のためのハイサイゴルフガールズを開くには、誰もが触れやすい沖縄特有のゴルフ環境が必要だった。しかし彼女がその事実を実感するためには、故郷を一度離れなければならなかったようだ。

今年39歳の呉屋は、先述の通り北谷町で生まれ育ち、19歳で結婚して男児を授かった。3年後の離婚を機に、幼い子供と親しい友人とともに東京へ。タレント業とアパレル会社の仕事を手に入れ、22歳という若さで第二の人生を歩み始めた。ゴルフと出会ったのも同じ年だった。子供の頃からのスポーツを楽しみたい夢を叶えられると思い、会社が催す会に積極的に参加してみた。ところが接待中心でカートにすら乗せてもらえないこともあり、当時を振り返ると、「ステータスは感じたけれど、楽しくはなかった」らしい。

転機は未曽有の災害とともに訪れた。2011年3月11日の東日本大震災。原発事故による放射線被害が関東にも及ぶという噂を耳にして、子供の成長を危惧した母親は北谷町に戻る決心をする。26歳で島に帰った呉屋は、またしても同年、後に『美らLady』と称するゴルフコンパニオン業を立ち上げた。これがハイサイゴルフガールズの原点になった。「ですが、コンパニオンにいかがわしいイメージがついてしまったんです。偏見に過ぎないんですけれど、そんな風に見られてしまうメンバーに申し訳なくて、2018年に現在の『ハイサイ』へと事業転換しました」。

呉屋はそれ以前より、深くゴルフを知るために国頭郡恩納村にあるPGMゴルフリゾート沖縄に勤め、生計の拠り所とした。さらに競技ゴルフにも挑んだのも、プレーヤーとしてゴルフの深淵に触れるためだったという。それら彼女の行動が沖縄県ゴルフ協会や九州ゴルフ連盟との縁を紡ぎ、ハイサイゴルフガールズの信用度向上へとつながっていった。

先に呉屋は「事業転換」と口にしたが、ハイサイゴルフガールズは有志メンバーによるボランティアに支えられており、地元企業のサポートが始まってようやく活動資金の実費がまかなえるようになったそうだ。ゆえに代表であれ、本業を持たなければならない。

そして彼女は、ゴルフ場の他に5年前から児童指導員としても働いている。「息子が発達障害で、医師の話を聞いていてもよくわからなかったから、自分で資格を取れば理解が深まると思ったんです。知らないことを知りたくなるのも性格なんですよね」。このエピソードも、放っておけない人と思わせる理由になった。

人を放っておけない彼女が島を離れない限り

2020年に始まったコロナ禍によって、アウトドアで展開するゴルフがブームに。その定着に奔走すべく、ハイサイゴルフガールズの活動が隆盛を極めた2024年の今年、二つの大きな出来事があった。

一つは、9月5日〜8日に名護市のかねひで喜瀬カントリークラブで開催された『ソニー日本女子プロゴルフ選手権大会』でのチャレンジだ。呉屋とハイサイゴルフガールズのメンバーは、8月に行われたハウスキャディの研修に参加し、呉屋を含む2名が合格。本戦ではプロアマのキャディと、大会を通じたボランティアに参加。この体験は格別だったという。「連日朝の5時から夕方6時まで本当に大変でしたけれど、メンバーの女の子と最後までやりきれたのがうれしかったです。ハイサイの他のメンバーも試合に興味をもってくれて、今後の活動に新しい風を吹かせられたと思いました」。

呉屋にとっても、ハイサイゴルフガールズにとっても大きな挑戦となったのが、女子プロトーナメントでのハウスキャディ&ボランティア体験だ。メンバーの神山りさと共に最後まで大会をやり切れたことが特に嬉しかったという。これは、コミュニティ全体にとっても大きな自信と成長の機会となったようだ。

その一方で呉屋は、今年いっぱいで『ハイサイゴルフガールズ』をたたむことを検討していたらしい。「長くやってくると、いろいろ考えるんです。コミュニティは年々大きくなり、報酬案件も少しずつ増えてきましたが、将来的な活動維持が見込める確かな収入があるわけじゃない。だから自分がすべての現場に率先して向かうのは良いとしても、仲間を巻き込み続けて良いのかと。それを主要メンバーに話したら『残したい!』と言ってくれたんです」。

おそらく、ただひたすら女性たちを輝かせたかった呉屋によるコミュニティが、いつしか誰にとってもかけがえのない存在になったのだろう。それゆえ、代表の業務と責任を分配してでも存続させたいと思ったのではないだろうか。「沖縄に戻ってゴルフに触れてから、マリンスポーツやキックボクシングなど、他のスポーツを楽しめる機会にも恵まれました。いわばゴルフ中心の生活が私の生き甲斐になり、そのための時間が欲しくなったところもあったんですね。けれどメンバーが続けたいと申し出てくれて、これからは現場の多くを皆にお任せしようと思いました」。

その発想の転換が今後のハイサイゴルフガールズに何をもたらすのかはまだわからない。しかし、ゴルフに興味を持つ女性を放っておけない呉屋が沖縄を離れない限り、地域コミュニティの火は消えないはずだ。なぜなら、行動力を伴った世話好きの自分自身を何より放っておけないのが、彼女の揺るぎなき性分に違いないと思うから。

ハイサイゴルフガールズの活動風景は、多岐にわたる。女性限定コンペやキッズゴルフスクールの開催をはじめ、クラブやウェアのリサイクル提供も行っている。また、年に一度は県外でのイベントも実施しており、ゴルフを通じた交流を広げているのが特徴だ。さらに、土地の文化に馴染めない沖縄移住者のサポートも欠かさず行っており、地域に根ざした幅広い活動を続けている。

ハイサイゴルフガールズ公式HP

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EVEN 編集部

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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。

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